旋法とは?様々な旋法を分かりやすく解説!
みなさん、旋法という音楽用語を聞いたことはありませんか。音階とよく似ているのですが、旋法と音階はどのように違うのでしょうか。また、旋法はどのように使われているのでしょうか。今回は、旋法の意味や使われ方についてご紹介します。
旋法とは?分かりやすく解説!
「旋法」とは、音の配列のことです。
それぞれの音がどのように音が並べられているか、という音の並び方のことです。
決められた順序で、音が並べられているものです。
「音階」とよく似ています。
「音階」は、西洋の協会音楽に用いられた「教会旋法」から発達してきました。
「音階」には、長調や短調といった調性がありますが、「旋法」には、長調・短調といった調性の判定はできません。
その代わり、旋法の音の響きがあります。
また、「音階」のように正確な音の高さは決められていません。
音と音の関係性を表すものであり、「音階」と表さず、「旋法」と表されています。
世界の様々な旋法
世界には様々な旋法があります。
- 西洋…古代ギリシア旋法(古代ギリシアで用いられた旋法)、教会旋法(中世の教会で用いられた旋法)、ミの旋法(スペインの音楽)、スコットランドの音階、ジプシーの音階
- アラブ…マカーム(アラブ・トルコなどの音楽で用いられる旋法)
- 中国…調(中国の伝統音楽で用いられる旋法)
- 日本…日本旋法(日本の伝統音楽で用いられる旋法)
楽典で紹介されている旋法もあり、音楽の仕組みを理解する上で欠かせない事項です。
各旋法の種類・特徴
古代ギリシア旋法
古代ギリシアには、「古代ギリシア旋法」がありました。
「古代ギリシア旋法」の基になっているのは、テトラコードと呼ばれる下行する4音からできている音列です。
テトラコード
「テトラコード」は、完全4度の音の間に2音を入れ、4つの音からから作られています。
ドリア
ラ・ソ・ファ・ミというのは、絶対的な音の高さではなく、相対的な音の高さを表しています。
ドリアのテトラコードは、音が下がっていく順番に「全音・全音・半音」という音の関係で並んだ4つの音のからできています。
フリギア
フリギアのテトラコードは、「全音」「半音」「全音」という音の関係で並んだの4つの音からできています。
リディア
リディアのテトラコードは、「半音」「全音」「全音」の関係で並んだ4つの音からできています。
テトラコードを2つ繋げると、現在私たちが使っている「音階」のような形になります。
2つのテトラコードの繋げ方によって、7つの旋法が生まれました。
この旋法は、次のグレゴリオ聖歌へと繋がっていきます。
教会旋法/ヨーロッパ
中世のヨーロッパの教会音楽で使われた旋法です。
皆さん、グレゴリオ聖歌という名前は聞いたことはありませんか。
中世のヨーロッパの教会では、グレゴリオ聖歌が歌われていました。
このグレゴリオ聖歌に使われていたのが、「教会旋法」です。
今、私たちがよく使う長調や短調の「音階」は、この「教会旋法」が基になっています。
聖歌というと、合唱をイメージすると思います。
ソプラノ、アルト、テノール、バスに分かれて、伴奏が付いて…というのが、私たちがイメージする現在の合唱ではないでしょうか。
グレゴリオ聖歌は、現在の合唱とは違い、無伴奏単旋律で歌われていました。
教会旋法は、旋律の節回しの音列をまとめるとできる規則のようなものです。
旋律の節回しが、終止音で終わるように歌われます。
教会旋法には、14の旋法があります。
ドリア旋法
フリギア旋法
リディア旋法
ミクソリディア旋法
エオリア旋法
現在の自然短音階と同じ音列です。
エオリア旋法は、短音階の基になった旋法です。
イオニア旋法
現在の長音階と同じ音列です。
イオニア旋法は、長音階の基になった旋法です。
ロクリア旋法
ロクリア旋法は、理論上は可能ということで、後から付け加えられた旋法です。
教会音楽では、使われていませんでした。
上記の旋法は「正格旋法」と呼ばれるものです。
それぞれの「正格旋法」に、「ヒポ」という接頭辞を付けた「変格旋法」と呼ばれる旋法があり、全部で14旋法になります。
ヒポドリア旋法
教会旋法は、「ドレミファソラシド」の音のどの音でも終止音にすることができます。
上記の1オクターブの音列の中で、□で囲んだ音が各旋法の終止音です。
各旋法の1オクターブの音列は、終止音から始まって並べられています。
ドリア旋法なら、「ドレミファソラシド」の音列の中の「レ」の音から音列が始まっています。
現在使われている音階と違うのは、「レ」から始まっても調号がつかないところです。
現在のピアノの白鍵をイメージしてください。
白鍵だけを使って、「レ」の音から「レミファソラシドレ」と弾いたのが、ドリア旋法です。
それぞれの旋法によって、響きが異なります。
マカーム/アラブ
中近東の音楽で使われる旋法です。
中立音程(半音のさらに半分の高さの音程)があるのが特徴です。
上記の旋法は「マカール」の中でも、「マカール・ラースト」と言われる旋法です。
「ミ」「シ」の音は、半音下げるのではなく、3/4音下げます。