臨時記号に関して初心者にも分かりやすく解説!
楽譜中に♯や♭が出てくることがあります。
楽譜の頭についているものは調号といいますが、譜面の途中で出てくる♯や♭を臨時記号といいます。
今回は、曲の雰囲気を変えたり、ほかの調を借りてきたりする際に出てくる臨時記号のお話です。
臨時記号とは?
臨時記号と調号の違い
楽譜の中に出てくる♯や♭を変化記号といいます。
♯(シャープ)は音を半音上げ、♭(フラット)は音を半音下げるんでしたよね。
では、実際の楽譜における付け方を見てみましょう。
変化記号が2種類あります。
1つは楽譜の最初についているもの。この楽譜ではシの音に♭がついています。
もう1つは途中の音符についているものです。この楽譜では、シャープがいくつかついていますよね。
このうち、楽譜の最初についている変化記号を調号といいます。
一方、途中の音符についている変化記号を臨時記号といいます。
臨時記号の名の通り、途中で変化記号で音を変化させるために用います。
この楽譜では、1小節目のソ、2小節目のレ、3小節目のソを♯、つまり半音上の音を演奏します。
変化記号の種類
そもそも変化記号はシャープ・フラット以外にもいくつかあるんです。
変化記号には、半音上げるシャープ、半音下げるフラットがありましたよね。
そのほかに、半音2個分つまり全音上げるダブルシャープ、全音下げるダブルフラットがあります。
また、英語のシャープに相当する日本語が嬰(えい)、英語のフラットに相当する日本語を変(へん)といいます。
つまり、嬰へとは英語でF#のことを示します。
これらをもとに戻す、変化記号がつく前の状態に戻す記号を本位記号といい、ナチュラルがその記号になります。
臨時記号はいつまで続く?
臨時記号のどこまで続くのでしょうか。
臨時記号が有効な範囲はその記号がついた音符から小節の終わりまでです。
小節が変わったら臨時記号がつかない状態に戻します。
また、同じ音階でのみ有効で、オクターブ上・下では臨時記号がつかない状態で演奏します。
ただし、タイで結ばれている音符が小節をまたぐ場合には、そのタイが終わるまで臨時記号は有効になります。
また、タイの途中で臨時記号がついた場合は、その小節内のみ有効で、小節が変わったら臨時記号がない状態に戻します。
つまり、半音変化するスラーのように演奏することになります。
あまりこのような例はないのですが、どこまで有効かを知っておくうえでは必要な知識だと思います。
臨時記号の注意点
ここで臨時記号に注意点が1つあります。
臨時記号はその記号がついた音を相対的に変化させるものではない、ということです。
次のイラストを見てください。
この楽譜はト長調で書かれています。
ト長調ではファを半音上げてファ#で弾きます。
ここで、ファ#をさらに半音上げたい場合はどうするのでしょうか。
ファに#をつけてもファ#で演奏されてしまいます。
つまり、現状の音を変化させるのではなく、調性の原音に対してどう演奏させるかを指示するようにします。
今回の場合、ファ#の半音上ですから、原音のファ#にシャープ、つまりダブルシャープをつける必要があります。
また、元に戻すにはナチュラルではなく、原音のファ#に戻す指示をする必要があります。
そこで、ファにシャープをつけるのです。
半音下げたい状態も同じで、ト長調の原音ファ#を半音下げる場合は、フラットではなくナチュラルをつけるわけです。
どちらもその調性に対する原音に対して出したい音の臨時記号をつけることが必要になります。
臨時記号にまつわる別の記号に関して
先ほども軽く触れた他の記号をこちらで見てみましょう。
シャープとフラットはこれまで見てきたとおり、どちらも半音上げたり下げたりする記号です。
また、ダブルシャープは全音あげるのですが、こちらは調性の原音に対して使う場合があることをご紹介しました。
ダブルフラットも上に同じ理由で、例えばヘ長調の場合、シ♭が原音ですがこちらを半音下げる場合に使用します。
そして、本位記号は変化記号がつかない元の状態に戻すことを示します。
半音下げられない?!
ここまで来てこんな疑問を持ちませんか?
例えば。
ピアノでドの音にフラットがついてたんだけど黒い鍵盤がない・・・
#や♭が出たら黒い鍵盤を弾いて!と習った方もいらっしゃいますよね。
ピアノやオルガンはシとド、ミとファの間に黒鍵がありません。
調性の関係でこのような配置なのですが、#♭=黒鍵ではありません。
あくまでも、半音下げる、上げるというのがルールですので、ドの♭はシを弾けばよいのです。
というわけで、臨時記号を見てきました。
見方、付け方が理解できたでしょうか。
調性とセットで見ていくと理解しやすいかもしれませんね。