旋法とは?様々な旋法を分かりやすく解説!
みなさん、旋法という音楽用語を聞いたことはありませんか。音階とよく似ているのですが、旋法と音階はどのように違うのでしょうか。また、旋法はどのように使われているのでしょうか。今回は、旋法の意味や使われ方についてご紹介します。
調式/中国
「調式」は中国の伝統的音楽の旋法です。
5音の音列から成り、「宮調式」「商調式」「角調式」「微調式」「羽調式」の5種類の旋法があります。
宮調式
「ドレミソラド」の5音から成っています。
商調式
「レミソラドレ」の5音から成っています。
角調式
「ミソラドレミ」の5音から成っています。
微調式
「ソラドレミソ」の5音から成っています。
羽調式
「ラドレミソラ」の5音から成っています。
呂旋法・律旋法/日本(雅楽)
日本の雅楽に使われている旋法です。
呂旋法と律旋法があります。
中国の調式と同じように、5音の音列からできています。
呂旋法
「ドレミソラシ」の5音から作られています。
「ドレミファソラシド」のうち、4番目の「ファ」と7番目の「シ」がないので、「4・7(ヨナ)抜き音階」とも呼ばれています。
律旋法
「ドレミソラド」の5つの音から作られています。
日本旋法(陽旋法・陰旋法)/日本(民謡)
日本の民謡に使われている旋法です。
皆さんに馴染みのある響きではないでしょうか。
陽旋法では明るい響き、陰旋法では暗い響きになります。
陽旋法
「ラドレミソラ」の音列からできています。
「田舎節」や、「2・6抜き」短音階と呼ばれます。
わらべ歌によく使われる旋法です。
陰旋法
「都節」「平調子」とも呼ばる旋法です。
「ドレファソ♭いシド」の5つの音列が使われています。
「さくら さくら」などに使われ、私たち日本人にとって、どこか懐かしい響きがします。
琉球音階
沖縄旋法は、沖縄の音楽に使われる旋法です。
「レ」「ラ」がない、「ドミファソシド」の5つの音から作られています。
私たち日本人にとって、「THE沖縄」と感じる響きです。
スコットランドの音階に見られる音列
スコットランドの民謡に見られる音列です。
「ドレミソラド」の5つの音列が使われています。
4番目の「ファ」と7番目の「シ」が使われていないので、日本の「ヨナ抜き音階」と同じ音列になっています。
日本でお馴染みの「蛍の光」もスコットランドの音階が使われています。
ジプシーの音階に見られる音列
ヨーロッバのジプシー(ロマ)音楽に見られる音列です。
短調の和声短音階に似ていますが、4番目「ファ」の音が半音高くなっています。
そのため、各音程の間隔は、一箇所を除き、主に増2度か短2度になっています。
ミの旋法/スペイン
スペインのフラメンコに使われる旋法です。
一見、「ラ」から始まる短音階に見えますが、「ミ」を主音とした旋法担っているのが特徴です。
実際に旋法が使われている楽曲を解説!
音楽を形作る様々な旋法をご紹介してきました。
旋法は、クラッシックの分野だけでなく、ポップスや民謡にも使われて、長調や短調に属さない独特の響きを醸し出しています。
スカロボー・フェア/サイモン&ガーファンクル
「スカロボー・フェア」はアメリカのフォークグループ、サイモン&ガーファンクルの楽曲です。
映画「卒業」で使われ有名になりました。
イングランド民謡がもとになっており、サイモン・ガーファンクルによってアレンジされました。
ドリア旋法が用いられ、独特の物悲しい響きを持っています。
グリーンスリーブス
「グリーンスリーブス」は、哀愁漂うスコットランド民謡です。
様々な形にアレンジされており、ドリア旋法のバージョンやエオリア旋法のバージョンがあります。
Hey Jude/ビートルズ
ビートルズの名曲の一つ、「Hey Jude」。
最後のリフレインの部分には、ミクソリディア旋法が使われています。
そのため、歌の部分と旋律の感じ変わっています。
スラブ行進曲/チャコフスキー
「スラブ行進曲」はチャイコフスキー作曲の演奏会用の行進曲です。
ジプシー音階が使われ、民族的、オリエンタルな響きがします。
バッカナール/サン=サーンス
「バッカナール」はサン=サーンス作曲のオペラ「サムソンとデリラ」の中のダンス音楽です。
哀愁を感じる旋律は、短調なのではありません。
「ミ」の旋法が使われており、哀愁を帯びたエキゾチックな響きがします。
まとめ
世界には様々な旋法があり、作曲家の試みにより、クラッシックだけでなく、ポップスにも使われてきました。
私たちがよく知っている長調、短調だけでない、音楽の世界観を私たちに伝えてくれるのが旋法です。
楽しい、物悲しいという曲の感じだけでなく、曲の中に使われている旋法を知ることで、より深く音楽を味わうことができます。
長調でも短調でもないと感じたら、旋法が使われているかもしれません。
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