【音楽用語】アイオニアンとは?意味についてご紹介
アイオニアンという音楽理論に出てくる用語。異なる2つの意味と使い方がアイオニアンにはあります。アベイラブルノートスケールとチャーチモード、それぞれの意味とは?発祥と名前の由来も含めてアイオニアンについて知識を深めましょう。
アイオニアンとは
アイオニアンとは音楽理論のひとつです。
アイオニアンにはふたつの解釈があり、スケール(音階)とモード(旋法)といいます。
スケールとモードは基本的な考え方が違い、混同しやすいのでしっかり身につけましょう。
スケールとは
スケールとは、調に関わる規則的に配置された音の並びのことです。
最もオーソドックスなスケールはメジャースケールといい、「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」の順番の並んでいます。
半音とは隣り同士に並んだ音のことで、全音は半音ふたつ分です。
ドから並べると「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」となります。
そしてこのメジャースケールの別の名前が「アイオニアン」であり、「アベイラブルノートスケール」に含まれるスケールのひとつです。
アベイラブルノートスケール
アベイラブルノートスケールとはアイオニアンを含む7つのスケールの総称です。
メジャースケールの音階である、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のそれぞれの音から始まります。
では各スケールの音と、それぞれの音から始まるメジャースケールと比較した番号を紹介しましょう。
アイオニアン
メジャースケールの最初の音から並べられたスケール。
すなわちメジャースケールと全く同じです。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(1・2・3・4・5・6・7)
ドリアン
メジャースケールの第2音から並べられたスケール。
レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド(1・2・b3・4・5・6・b7)
フリジアン
メジャースケールの第3音から並べられたスケール。
ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ(1・b2・b3・4・5・b6・b7)
リディアン
メジャースケールの第4音から並べられたスケール。
ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ(1・2・3・#4・5・6・7)
ミクソ・リディアン
メジャースケールの第5音から並べられたスケール。
ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ(1・2・3・4・5・6・b7)
エオリアン
メジャースケールの第6音から並べられたスケール。
ナチュラルマイナースケールと全く同じです。
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ(1・2・b3・4・5・b6・b7)
ロクリアン
メジャースケールの第7音から並べられたスケール。
シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ(1・b2・b3・4・b5・b6・b7)
モード(旋法)とは
音楽理論の中でも理解が難しく扱いにくい概念で、日本語では旋法とも呼ばれています。
古代から世界で広く使用されてきたシステムのようなもので、メロディを形作る音の集合体といった感じでしょうか。
モードは主音(中心音)と特性音によって特徴づけられます。
特性音とはモードの特徴を最も表し、どのモードか判別するために必要な音のことです。
また調性感がないのもモードの特徴です。
アベイラブルノートスケールには調やコード進行があり、「調の何番目のスケール」のようにメジャースケールの並び替えという解釈です。
それに対しモードには調という概念はなく、2つメロディがあってもそれぞれが異なる単旋律という考え方をします。
チャーチモード
アイオニアンという名前はどこから来たのでしょうか。
実はモードの基となった「チャーチモード」から来ています。
古代ギリシャで発祥したギリシア旋法が中世ヨーロッパのグレゴリア聖歌に使われるようになり、「チャーチモード」という名前で呼ばれるようになりました。
現代のジャズなどで使用している「アベイラブルノートスケール」も、この「チャーチモード」と同じ音を使っているのでギリシャ語由来の名前をそのまま利用しています。
アイオニアンにおけるスケールとモードの違い
ではスケールとモードでアイオニアンはどう違うのでしょうか。
アイオニアンのモードにおける特性音は完全4度の第4音で、Cアイオニアンなら「ファ」です。
同じメジャー系モードの「リディアン」と唯一違う音なので、「ファ」が鳴ればアイオニアンと判断することができます。
特性音はより多く使うことを推奨されています。
それに対してスケールには避けた方がいい音があります。
「アボイドノート」と呼ばれるこの音は、調性が崩れてしまうような音のことです。
アイオニアンのアボイドノートはモードの特性音と同じ「ファ」で、ハ長調のCmaj7の第3音である「ミ」と半音の関係にあり不協和音になってしまうからです。
調性のある曲ではあまり使用しない方が良さそうですね。
同じ「ファ」の音が解釈の違いで正反対の要素になっています。
アイオニアンの特徴
アイオニアンはメジャースケールと同じなので、どうしても調性感が出てしまいます。
特性音である第4音を多用すれば少しはアイオニアンらしくなりますが、やはり他のモードに比べるとモードらしさは薄いです。
残念ながら演奏を聴いて、その違いを聴き分けるのは難しいでしょう。
まとめ
アイオニアンには全く異なる2つの解釈がありました。
- 古代ギリシャ発祥のチャーチモード
- 調性音楽におけるアベイラブルノートスケール
読むだけでは解釈が難しいかもしれませんので、ぜひ実践で練習してみましょう!