音楽記号「ナチュラル」の意味を紹介!効果はいつまで続くのか?
五線譜で、ナチュラルの記号(♮)を見たことはありますか?シャープ(#)やフラット(♭)などの変化記号のついた音符に対して使われます。ナチュラル(♮)のある音符とない音符では、一体何が違うのでしょうか。ここでは、音楽記号「ナチュラル」の意味をご説明します。
記事の目次
音楽記号「ナチュラル」の意味
音楽記号「ナチュラル」の説明に入る前に、変化記号と、調号、臨時記号について少し述べておきます。
変化記号について
変化記号とは、五線譜で全音以外の音を表現するためのもので、次の5つを指します。
音符にシャープやフラットなどの変化記号がつくことで、どの音を演奏するのかイメージできるよう、以下の図を用意しました。五線譜での囲み線の色と、ピアノの鍵盤の丸印の色が同じものが対応しています。
シャープやダブルシャープがつくと右側の鍵盤を、フラットやダブルフラットがつくと左側の鍵盤を弾きます。
ここで注意したいのは、シャープやフラットがついたからといって必ず黒鍵を弾くわけではないということです。
黒鍵が隣接している場合には黒鍵を弾きますが、黒鍵が隣接していない場合は白鍵を弾きます。
(「ド#」は「ド」のすぐ右横の黒鍵を弾きますが、「ド♭」は「ド」の左横の白鍵の「シ」を弾きます。)
変化記号は、調号として使用される場合と、臨時記号として使用される場合があります。
調号とは
調号とは、長調や短調といった音楽の調を表すものです。(調についてはここでは割愛します。)
以下の図のように、楽譜の五線譜の音部記号(ト音記号やへ音記号)の右横に変化記号(シャープ、フラットのみ)が記譜されます。
調号はどこまで有効か
調号は、どの高さの音に対しても有効で、転調されない限り、曲の最初から最後まで有効です。転調された場合(調号が変わった場合)は、転調されるまでが有効です。
ただし、調号のついた音に対し臨時記号がついた場合は、調号は無効になります。
臨時記号とは
臨時記号とは、調号にはない音符に対し、シャープやフラットなどの変化記号を付けたいときに使用されます。
臨時記号はどこまで有効か
臨時記号は、同じ小節内であれば、臨時記号の右側にある音符はすべて有効です。
ただし、同じ小節内でも、他の臨時記号が付いた時点で直前の臨時記号は無効になります。なお、臨時記号のついた音符が次の小節へタイで繋がっている場合は、タイが終わるまでその臨時記号は有効です。
また、臨時記号の付いた音符と同じ高さの音符に対してのみ有効です。
ナチュラルとは
さて、本題に入ります。
上で述べたように、音楽記号「ナチュラル(♮)」とは、変化記号のひとつです。
譜面上は臨時記号として使用されます。
ナチュラル(♮)の書き方は、以下のとおりです。
まず、左側の縦棒を書き、下から右へ斜線を書きます。(以下の図の①)
この斜線と平行になるように、縦棒の真ん中あたりから右へ斜線を書き、左側の縦棒と平行になるよう右側の縦棒を書きます。(以下の図の②)
このとき、ナチュラルの記号の平行四角形の部分が音符の真横にくるようにしてください。
ナチュラルは、シャープやフラットなどの指示を無効にします。
それが調号によるものであっても、臨時記号によるものであっても、ナチュラルにより無効になります。
ダブルシャープやダブルフラットについても同じで、ナチュラルにより無効になります。
ナチュラルはどこまで有効か
ナチュラルの有効範囲については、臨時記号の扱いと同様です。
同じ小節内であれば、ナチュラルの右側にある音符はすべて有効です。
ただし、同じ小節内でも、他の臨時記号が付いた時点でナチュラルは無効になります。なお、ナチュラルのついた音符が次の小節へタイで繋がっている場合は、タイが終わるまでナチュラルは有効です。
また、ナチュラルの付いた音符と同じ高さの音符に対してのみ有効です。
ナチュラルの例
調号のついた音にナチュラル(♮)がついた場合
以下の五線譜では、3小節目の「ミ」にナチュラルがついています。
調号では「ミ」にフラットがついていますので、3小節目の最初は「ミ♭」を演奏します(以下の図の青枠を参照)。
次はナチュラルがついていますので、フラットのない「ミ」を演奏します(以下の図の赤枠を参照)。
4小節目以降は調号に従い、「ミ♭」に戻りますが、4小節目にもナチュラルがついていますのでフラットのない「ミ」を演奏します。
臨時記号のついた音にナチュラル(♮)がついた場合
以下の五線譜では、1小節目にシャープ付きの「ソ」とナチュラルの付いた「ソ」があります。
1小節目の最初は「ソ♯」を演奏します(以下の図の青枠を参照)。
次はナチュラルがついていますので、シャープのない「ソ」を演奏します(以下の図の赤枠を参照)。
2小節目以降は調号に従って演奏します。