【東京事変】伝説的日本のロックバンド東京事変が解散した理由に迫る…!
もうやり切った感があり、音楽配信も始まってCDが売れない時代となり家庭に入ろうと思った椎名林檎ですが、2003年バンド活動を始めようと結成したのが東京事変。しかし、東京事変の解散は2012年、突如訪れました。ここではその解散理由を掘り下げます。
東京事変4thアルバム『スポーツ』
前作『娯楽(バラエティ)』ではあえて作曲から身を引いた椎名林檎が本作『スポーツ』(2010年リリース)では椎名林檎の作詞・作曲のナンバーが2曲収録されています。
中でも『スポーツ』ではキーボードの伊澤一葉の作曲したナンバーの多さが際立ちます。伊澤一葉はこれまでの旋律やコード進行といった楽曲の形式に囚われていたことをやめます。そして、ここでは打ち込みから音を一つ一つ積み上げてゆきながら、デモ・テイクを作ったといわれています。
そこで、椎名林檎が何か感じることがあったならアイデアを出し、そして曲をブラッシュアップさせていきました。そのためか、『スポーツ』ではキーボード演奏が絶品のナンバーが多いのです。
また、『スポーツ』では浮雲による作詞・作曲したナンバーが2曲収録されています。歪んでノイジーなギター演奏が光るナンバーと、『スポーツ』のラストを飾る「極める」です。
「極める」では生と死をテーマに壮大なナンバーを聴かせていて、これにはすごみすら感じられるのです。
そして、「極める」は1曲目の「生きる」と円環の関係をなしています。この黒人音楽の要素が随所に見られるソウルフルなアルバムでは、椎名林檎を中心としながらも各メンバーが少しずつ独り立ちを始めた胎動が感じられます。
『スポーツ』はビートの効いた深みのある作品に仕上がっています。
解散の足音が聞こえてくる東京事変の5thアルバム『大発見』
第二期東京事変の『大人(アダルト)』が起承転結の起にあたるとします。『娯楽(バラエティ)』が承、『スポーツ』が転にあたるとすると結となるアルバムが2011年リリースの本作『大発見』です。
いよいよ東京事変の解散が近づいたことを暗示しています。
曲作りは前作までとは異なり、メンバー全員でまず、曲を持ち寄り、そして、全員で顔をつきあわせて、あれやこれやとアイデアを出し合いながら、それが長時間にわたって続けられたといわれています。
そうして一つの作品ができあがるというこれまで東京事変の曲作りでは取られなかった方法で作り上げた、いわゆる東京事変の集大成となるアルバムが『大発見』なのです。
2011年3月11日に起きた東日本大震災を経験して、そのときの体験が肌感覚で曲作りに直接的間接的に影響しているのが本作『大発見』です。アシッド・ジャズの味付けがされた「天国へようこそ(For The Disc)」で幕を開け、浮雲のギターが炸裂するパンク・ナンバーのすごみ。
リズム隊の盤石なビートが先鋭的なロック・ナンバー、そして、東日本大震災後の計画停電で真っ暗になった都市の様から生きていることに対する賛歌を切々と椎名林檎が歌うバラード・ナンバーが心に染み入ります。
その他にバンド演奏のグルーヴ感が堪らないビートパンク・ナンバー、グラム・ロック、ビッグバンド・ジャズ、アフロビート、そしてポップなナンバーなど彩り豊かな楽曲が収録されています。
『大発見』では特にバンド演奏の一体感がこれまでになく際立っています。東京事変が真のバンドに昇華した演奏を聴かせていて、メンバー各人の成長著しいテクニックは目を見張ります。
超絶技巧ななんばーすら簡単に弾きこなす腕前にまでなっていて、変幻自在に多彩なナンバーを聴き応え十分に聴かせています。
これまたおすすめの一枚です。
東京事変解散前最後にして唯一のスタジオ・ミニアルバム『color bars』
各メンバーが作詞・作曲したナンバーが一曲ずつ収録された東京事変の解散前最後のスタジオ収録にして唯一のミニアルバムが『color bars』(2012年リリース)です。
亀田誠治のナンバー以外、作者自身がヴォーカルを取っています。ただし、椎名林檎と浮雲の手になるナンバーは椎名林檎と浮雲のツイン・ヴォーカルです。
もう解散が規定路線なのか、ファンに対する"さようなら"を各メンバーがするという内容の歌詞が印象的です。特に異才を放つのはラストの刄田綴色の「ほんとのところ」で、カラスが死んだらカラスが鳴いていたり飼い猫が鷹に食われたりとその内容が暗い影を帯びています。
しかし、それは斬新極まりなく、この世の本質を捉えたその歌詞に加えて刄田の歌声がけれんみなく、ストレートに心に響くのです。