音楽用語「借用和音」の意味を解説!
音楽用語である「借用和音」とは、いったいどういう意味を持った言葉・手法なのか知っていましたでしょうか?作曲や楽曲のアレンジにおいて、この手法を知っているかいなかだけで周囲とかなり差がつきます。今回は「借用和音」の意味を解説してみました。
音楽用語「借用和音」の意味とは?
「借用和音」は他の調(キー)から和音(コード)を借りることを意味する言葉で、作曲やアレンジのクオリティを上げる際にも使われる手法です。
キーによって楽曲の中で使用できるコードはある程度制限されるものですが、この「借用和音」の手法を使用すると雰囲気が一瞬ガラリと変わります。
どこにでもあるような楽曲のコード進行でも、借用和音を使うことで他と違う雰囲気のクオリティの高いアレンジに仕上げることが可能です。
今回は借用和音について解説します。
借用和音の種類
借用和音において借りてくる和音は、その楽曲のキーに近親関係にあるキーの中からと決まっています。
そして決まってトニック(キーの基本コード)へ戻り、解決するのが基本です。
借用和音にはいくつか種類があるので、それぞれ分けて解説します。
準固有和音
準固有和音は、長調における同主調から借りる和音のことです。
たとえばCメジャーの楽曲の中でCマイナーの和音を借りることを言います。
ちなみに邦楽のポップスにおけるこの借用和音は限定的な手法として見られ、マイナーコードのサブドミナント(そのキーの音階の中の4番目のコード)がほとんどです。
キーがCメジャーの場合、FM7かFm7になります。
準固有和音は用いてもそこまで目立った変化や違和感を感じません。
しかし簡単なコード進行でありきたりだったものでも準固有和音を用いれば、おしゃれになったり切なくなったりします。
ドッペルドミナント
別名セカンダリードミナントとも呼ばれる「ドッペルドミナント」は、属長である他のキーからドミナント(そのキーの音階の中の5番目のコード)を借りてくる方法で、借用和音の中で最も多く用いられる手法です。
この手法を使うとなると、たとえばキーがCメジャーの楽曲で「C・FM7・G7・C」というコード進行のものの場合は「C・C7・FM7・G7・C」などに変えます。
キーがCメジャーの場合、FM7はサブドミナント(そのキーの音階の中の4番目のコード)です。
仮にキーがCメジャーではなくFメジャーだった場合、FM7はトニック(キーの基本コード)になることはお分かりでしょう。
そこでFM7へ向かうドミナントであるC7を、FM7の前に入れます(借ります)。
この手法がドッペルドミナントです。
サブドミナントドミナント
Ⅱ度調とⅣ度調のドミナント(そのキーの音階の中の5番目のコード)を借りるやり方です。
借りた後はドミナントからトニック(キーの基本コード)に繋げます。
たとえばキーがCメジャーの場合「C・Am・Dm・G」となるのが基本ですが「C・A・Dm・G」のようにAmを、CメジャーのキーにはないAにする手法です。
「C・Am・Dm・G」は度数に置き替えると「I→Ⅵ→Ⅱ→Ⅴ」になります。
DmはCメジャーキーのサブドミナント(そのキーの音階の中の4番目のコード)のⅡ度調です。
このDmのキーから借りた「V→I」のコード進行を、先ほどの「C(I)・Am(Ⅵ)・Dm(Ⅱ)・G(Ⅴ)」のAm(Ⅵ)・Dm(Ⅱ)の部分へ入れ替えます。
このAmがAに入れ替わった手法のような借用和音が、サブドミナントドミナントです。
トニックドミナント
トニックドミナントはⅢ度調・Ⅵ度調のドミナント(そのキーの音階の中の5番目のコード)を借りる手法です。
サブドミナントドミナントの借用和音と、少々似た方法と言えるでしょう。
借りた後はサブドミナントドミナント同様に、ドミナントからトニック(キーの基本コード)に繋げます。
「借用和音」と「転調」の違い
転調とは楽曲中にキーが変わることです。
人によって解釈が変わる場合がありますが、借用和音と転調はキーが変化する長さの違いだと主に言われています。
転調の場合はある程度の区間内で長くキーが変化した状態で曲が続きますが、借用和音は比較的一時的なものです。
借用和音を「一瞬の転調」と考えている方もいますが、逆に転調を借用和音とは言わないように「転調という手法の種類の中に借用和音が含まれることがある」という認識が、正しいと言えるかもしれません。
「借用和音」のまとめ
今回は「借用和音」について解説しました。
この手法を用いることによって作曲やアレンジの幅が広がり、クオリティが高くなるでしょう。
この記事を参考にぜひ活用してみてくださいね!