音楽用語の「オクターブ」について解説!「8va bassa」の意味とは?
楽譜で、「8va」「8va bassa」といった用語を見たことはありませんか?これらはオクターブを表しています。オクターブ?「8」の意味は?ここでは、「8va」「8va bassa」など、オクターブの意味をご紹介します。
オクターブとは?
オクターブとは、五線譜の範囲内では書ききれない高さの音を、音の高さを指定することで譜読みしやすくしたものです。
楽譜の五線譜の範囲内で書ききれない高さの音は、五線譜に加線して書きますが、あまりに加線が多いと、譜読みしづらいですよね。そのような場合に、「8va」や「8」といったオクターブ記号を用いて、音の高さを表現します。そうすることで、高い音でも低い音でもどの高さの音なのか把握しやすくなります。
ちなみに、8vaの読み方は「オッターヴァ(ottava)」で、イタリア語で「1オクターブ」を意味します。
オクターブ記号の書き方
1つの音のみに対して使う場合
対象となる音の真上や真下にオクターブ記号を書きます。
1つのフレーズなどある範囲の音に対して使う場合
下の楽譜のように、対象となるフレーズの最初の音の真上や真下にオクターブ記号を書き、あとは点線でその範囲を囲みます。
下の楽譜ではオクターブの終了位置がわかりやすいのですが、終了位置がわかりにくい場合もあります。そのような場合には、終了位置に「元の位置で」という意味の「loco(ロコ)」や「al loco(アル・ロコ)」、「suo loco(スオ・ロコ)」という音楽用語が書かれます。
オクターブ記号の意味
後述しますが、オクターブ記号には「8va alta」「8va bassa」などがあります。それぞれの読み方は、「オッターヴァ・アルタ」「オッターヴァ・バッサ」です。
オクターブ記号の「8」とはどのような意味なのでしょう。
次の図(楽譜とピアノの鍵盤)を見てください。
※図中の「譜面上のラ」というのは、オクターブ記号を無視して譜読みしたときの音です。
オクターブ記号を無視し、楽譜で赤丸を付けた「ラ」の位置は、ピアノの鍵盤でいうと、点線の赤丸の「ラ」にあたります。
次に、オクターブ記号を考慮し、楽譜で赤丸を付けた「ラ」の1オクターブ上の音というのは、ピアノの鍵盤でいうと、赤丸の「ラ」です。
点線の赤丸の「ラ」から赤丸の「ラ」まで、8度離れていますね。対象の音から何度離れているか、8という数字は、どの高さの音かを指定するための数字なのです。
ここまでは、1オクターブについて説明しましたが、2オクターブを指示するには、どのように書けばよいのでしょう。
結論からいうと、2オクターブの場合、15になります。対象の音から次の次の高さの音までの数を数えていきます。
ドレミファソラシ(ド)レミファソラシド=8×2-1=15(16にはならないことに注意してください)
nオクターブの場合、8×n-(n-1)で求められます。
オクターブ記号の種類
8va alta(オッターヴァ・アルタ)
「8va alta」とは、音を高くする場合に用いられるオクターブ記号です。音符の上に書きます。
alta(アルタ)とは「高い」を意味します。8va altaで「1オクターブ高く」という意味になります。楽譜では、省略形の「8va」や「8」が使われることもあります。
15ma alta(クィンディチェージマ・アルタ)
「15ma alta」とは、2オクターブ高くする場合に用いられるオクターブ記号です。音符の上に書きます。
楽譜では、省略形の「15ma」が使われることもあります。
8va bassa(オッターヴァ・バッサ)
「8va bassa」とは、音を低くする場合に用いられるオクターブ記号です。音符の下に書きます。
bassa(バッサ)とは「低い」を意味します。8va bassaで「1オクターブ低く」という意味になります。
楽譜では、省略形の「8vb」や「8」が使われることもあります。
「8va alta」の省略形にも「8」があり、区別がつかないと思われるかもしれませんが、「8」が音符の上についていれば「8va alta」であり、音符の下についていれば「8va bassa」ということになります。
15ma bassa(クィンディチェージマ・バッサ)
「15ma bassa」とは、2オクターブ低くする場合に用いられるオクターブ記号です。音符の下に書きます。
楽譜では、省略形の「15mb」が使われることもあります。
coll' 8va (コル・オッターヴァ)
「coll' 8 va」とは、「1オクターブの音を加えて演奏する(高さの違う同じ音を2音同時に演奏する)」ことを意味します。
coll' 8 va の指示がある場合は、同時に2音演奏します。
音符の上にあれば、1オクターブ上の音と共に演奏し、音符の下にあれば、1オクターブ下の音と共に演奏します。
coll' 8 va の指示を元に戻す場合は「coll'」が使われます。
ottava sopra(オッターヴァ・ソープラ)
「ottava sopra」とは、1オクターブ高く演奏することを指示する音楽用語です。
ottava sotto(オッターバ・ソット)
「ottava sotto」とは、1オクターブ低く演奏することを指示する音楽用語です。
まとめ
オクターブについて、簡単にまとめました。
- オクターブとは、譜読みしやすくするために考えられた表記法です。
- オクターブ記号の種類は様々ありますが、簡単に捉えるなら、楽譜に書かれた数字が8なら1オクターブ、15なら2オクターブ離れた位置の音を演奏します。
- 高い音を演奏するのか低い音を演奏するのかについては、オクターブ記号が音符の上にあるのか、下にあるのかで判断できます。