和音の種類についてご紹介!【三和音/属和音/増三和音】
和音の種類についてどのくらい知っていますか?ギターやピアノなどでもよくでてきますよね。楽典にも和音は一単元として取り上げられています。ここでは、「長三和音」「短三和音」「減三和音」「増三和音」といった三和音の種類や仕組み、さらに主要三和音についてご紹介します。
和音とは?
和音とは、高さの異なる2つ以上の音が同時に響くときの合成した音を指します。
今回は三和音と呼ばれる和音の種類とその意味についてご紹介します。
三和音
三和音とは、3つの音からできる和音で、ある音(根音と呼ばれます)の上に、3度ずつ2つの音を積み重ねたものを原形とします。三和音の上に、さらに3度の音を1つ積んだ和音は「四和音(七の和音)」と呼ばれますが、詳細についてはここでは割愛します。
なお、三和音を構成する音の読み方は、下から順に、「根音」「第三音」「第五音」です。
(第三音や第五音は、それぞれ根音からみて3度、5度の位置の音に該当するため、このような呼び名になっています。)
次に、三和音の主な種類を4つご紹介します。
- 長三和音
- 短三和音
- 減三和音
- 増三和音
長三和音
長三和音とは、「長3度+短3度」で作られる和音のことです。
根音と第三音の関係は「長3度(すべて全音からなる3度)」で、第三音と第五音の関係は「短3度(半音が1つある3度)」です。
ハ長調の主和音(ド・ミ・ソ)を例に、ピアノの鍵盤の図を用いてご説明します。
根音の「ド」と第三音の「ミ」の関係は、すべて全音からなる3度です(上図の赤印)。
一方、第三音の「ミ」と第五音の「ソ」の関係は、半音が1つある3度です(ミとファの間隔が半音)(上図の青印)。
よって、根音と第三音は長3度、第三音と第五音は短3度になっているため、ハ長調の主和音(ド・ミ・ソ)は長三和音です。
短三和音
短三和音とは、長三和音とは逆で「短3度+長3度」で作られる和音のことです。
根音と第三音の関係は「短3度(半音が1つある3度)」で、第三音と第五音の関係は「長3度(すべて全音からなる3度)」です。
ハ短調の主和音(ド・ミ♭・ソ)を例に、ピアノの鍵盤の図を用いてご説明します。
根音の「ド」と第三音の「ミ♭」の関係は、半音が1つある3度です(レとミ♭の間隔が半音)(上図の赤印)。
一方、第三音の「ミ♭」と第五音の「ソ」の関係は、すべて全音からなる3度です(上図の青印)。
よって、根音と第三音は短3度、第三音と第五音は長3度になっているため、ハ短調の主和音(ド・ミ♭・ソ)は短三和音です。
減三和音
減三和音とは、「短3度+短3度」で作られる和音のことです。
根音と第三音の関係は「短3度(半音が1つある3度)」で、第三音と第五音の関係も「短3度」です。
ハ長調のⅦの和音(シ・レ・ファ)を例に、ピアノの鍵盤の図を用いてご説明します。
根音の「シ」と第三音の「レ」の関係は、半音が1つある3度です(シとドの間隔が半音)(上図の赤印)。
一方、第三音の「レ」と第五音の「ファ」の関係も、半音が1つある3度です(ミとファの間隔が半音)(上図の青印)。
よって、根音と第三音は短3度、第三音と第五音も短3度になっているため、ハ長調のⅦの和音(シ・レ・ファ)は減三和音です。
増三和音
増三和音とは、減三和音とは逆で「長3度+短3度」で作られる和音のことです。
根音と第三音の関係は「長3度(すべて全音からなる3度)」で、第三音と第五音の関係も「長3度」です。ハ短調のⅢの和音(ミ♭・ソ・シ)を例に、ピアノの鍵盤の図を用いてご説明します。
根音の「ミ♭」と第三音の「ソ」の関係は、すべて全音からなる3度です(上図の赤印)。
一方、第三音の「ソ」と第五音の「シ」の関係も、すべて全音からなる3度です(上図の青印)。
よって、根音と第三音は長3度、第三音と第五音も長3度になっているため、ハ短調のⅢの和音(ミ♭・ソ・シ)は増三和音です。
音階上の三和音
音階の第Ⅰ音、第Ⅱ音、…の各音を根音とし、三和音を作ることができます。
ここでは、ハ長調の音階を例に音階上の三和音をご紹介します。
以下はハ長調の音階です。
この音階の各音を根音として、3度ずつ2つの音を積み重ねていくと、以下の三和音ができます。
これが音階上の三和音です。
主要三和音
主要三和音とは、音階上の三和音のうち、Ⅰ(主和音)、Ⅴ(属和音)、Ⅳ(下属和音)の3つの和音のことを指します。
これらは、他の和音に比べ、「Tonic(トニック)」「Dominant(ドミナント)」「Subdominant(サブドミナント)」といった和音の機能が強く出ており、曲中で重要な役割を果たします。
ちなみに、主要三和音以外の和音(Ⅱ、Ⅲ、Ⅵ、Ⅶ)は副三和音と呼ばれます。
和音の機能については、後述します。
和音の機能
和音には、それぞれ固有の響きがあり、他の和音との関係において独自の機能があります。
和音の主な機能として、以下の3種類の意味をご紹介します。
- Tonic(トニック)
- Dominant(ドミナント)
- Subdominant(サブドミナント)
Tonic(トニック)
調の主音であり、最も強い安定感、安心感を感じさせる和音です。どの和音にも自然に進行できます。
この機能が強く現れる和音を順に並べると、以下のようになります。
Ⅰの和音(主和音) > Ⅵの和音
また、Ⅲの和音も使われ方によってはこの機能をもちます。
なお、Ⅰの和音(主和音)のことを、Tonic(トニック)と呼ぶ場合もあります。
Dominant(ドミナント)
不安定な和音です。Ⅰの和音(主和音)へ進もうとします。
この機能が強く現れる和音を順に並べると、以下のようになります。
Ⅴ7(属七の和音)(※1) > Ⅴの和音(属和音) > Ⅶの和音
また、Ⅲの和音も使われ方によってはこの機能をもちます。
なお、Vの和音(属和音)のことを、Dominant(ドミナント)と呼ぶ場合もあります。
(※1)属七の和音とは、Ⅴの和音(属和音)にさらに3度の音を1つ積んでできる和音(四和音のひとつ)のことで、Ⅰの和音(主和音)へ進もうとする力が強く、調を決定する重要な和音です。
Subdominant(サブドミナント)
開放感、前向きな感じなど聴く人によって様々な感じを与える和音です。
Dominant(ドミナント)ほどではないものの、やや不安定さも感じさせます。
Iの和音(主和音)やVの和音(属和音)、もしくはV7の和音(属七の和音)に進もうとします。
この機能が強く現れる和音を順に並べると、以下のようになります。
Ⅳの和音(下属和音) > Ⅱの和音
なお、Ⅳの和音(下属和音)のことを、Subdominant(サブドミナント)と呼ぶ場合もあります。