アコギの弦高の調整方法と今の弦高の測定方法を紹介!
アコギの弦高の測定方法は特殊な道具も不要ですし、以前より弾きにくくなった・音が変わったと感じたら測った方が確実によいです。そこまで難しいことではないので、やり方を覚えておきましょう。自分でアコギの弦高を調整する方法と、弦高の測定方法を紹介します。
アコギの弦高による違い
アコースティックギターの「弦高」とは、指板に付いているフレットという金属の表面から弦までの距離のことを言いますが、この弦高によって弾き心地やサウンドがかなり変化します。
単に「低めの方が良い」と考えている人も多いようですが、実はそうでもありません。弦高の違いによってどのような変化をもたらすのか、事前に知っておく必要があります。
まずは標準・低い・高いと、大まかに3つに分け違いを比較していきましょう。
アコギの弦高ごとの違い①:弦高が標準の場合
標準の弦高の基準は、6弦の12フレットが2.4mm~2.5mmくらいです。
どのプレイにおいても標準で万能なのでアコースティックギター初心者や、幅広いジャンルを要素を取り入れているJ-POPなどのプレイヤーにはこちらがおすすめになります。
ライブ中にギターを持ち替えたい場合も、標準の弦高だとミスする可能性が低くなるでしょう。
標準の弦高のアーティスト
まさにJ-POPの弾き語りシンガーの代表格であり、アルペジオ・ストロークともにバランスよく鳴らす秦基博の弦高は標準で、弦高は6弦の12フレットが2.5mmのようです。
愛用しているGibsonのJ-45というギターはナローネックといって、ネックが比較的細いため弦高が標準の他のギターよりも押さえやすくなっています。
標準の2.5mmだと、左手の感触が低い弦高のギターに近いかもしれません。
アコギの弦高ごとの違い②:弦高が低い場合
低めの弦高の基準は6弦の12フレットが2.2mmほどです。
弦が押さえやすく弾きやすいですが、サウンドのふくよかさや音量が軽減されます。
また気温・湿度によって弦がフレットに擦れ、音が詰まったりビビったりするので注意が必要です。
ソロ・ギタリストや、単音弾き・速弾きなどのテクニカルなプレイをする人は弦高を下げることで、無駄な力を使うことなく動きがスムーズになるでしょう。
低い弦高のアーティスト
ギターの神様の異名を持つトミー・エマニュエルは、テクニカルなフィンガーピッキングをする奏者として知られています。
トミー・エマニュエルの弦高は2mm以下といわれており、サウンドを聴くと煌びやかでサクッとした響きが印象的です。
この弦高の低さは使用しているギターが特殊であるため成り立つもので、通常だとビビりが生じます。
ギターの作りによっても弦高を下げる限界は変わるようです。
アコギの弦高ごとの違い③:弦高が高い場合
高い弦高の基準は6弦の12フレットがだいたい2.8mmになります。
左手でコードを押さえる際に力が必要で弾きづらいですが、音量があり響きも豊かでサスティーン(音の伸び)も綺麗です。
強いストロークで荒々しい弾き方でも弦がフレットに擦れることなく、美しいサウンドのまま鳴ります。
ロックやシャウト系のフォークソングを歌う、弾き語りシンガーに多く見られるようです。しかし、高さにも限界があり3.0mm以上だとかなり弾きづらくなります。
もし2.8mmよりも高くしたい場合は、6弦以外の弦高を上げてみましょう。
高い弦高のアーティスト
ストロークというより「かき鳴らす」と言いたくなるほど熱い演奏の竹原ピストルは「弦高は普通くらい」と本人は語っているそうです。
実際の弦高がどのくらいかは不明ですが、強い低音と力強さのあるジャキッとしたサウンドが印象的で、高い弦高が似合うスタイルのシンガーソングライターといえます。
弦高の測定方法
それでは実際に、自分が持っているアコースティックギターの弦高を測ってみましょう。
弦高の基準は低めが2.2mm・標準が2.4mm・高めが2.8mmです。
2.2mm~2.8mmに収まっていない場合は特殊なギターでない限り、調整が必要になるかもしれません。
メンテナンスの時期の目安にもなりますよ。
弦高の測り方①:定規を用意
弦高を測る際の定規は、通常のものではなく一番端から目盛りが書いてあるものを使用しましょう。
15cmスケールのものだと使いやすいです。
弦高の測り方②:ギターを抱える
何となく寝かせて測りたくなってしまいますが、平置きするとギター本体の重さによって弦高も変化してしまいます。
工房に置いてあるような専用の台がない自宅で測定する時は、普段弾く時のようにギターを抱えましょう。
弦高の測り方③:定規を当てる
6弦の12フレットの一番高いところから弦の一番下までの距離を測ります。自分で測ると正確ではない場合もあるようで、0.1mm前後誤差があることが多いようです。
部屋の湿度や時間帯、季節に注意しながら測定すると正しく測れると思います。
何回かに時間などを分けて測定してみましょう。
アコギの弦高の調整方法
弦高が高すぎる・低すぎると分かって、焦ってしまった方も多いのではないでしょうか?
アコギの弦高調整は自分でやるのはかなり難しいです。
とくに手先が器用でない方は100%失敗します。
安い料金でも5,000円~15,000円ほどかかりますが、専門家に持っていった方が確実です。
それでも自分で弦高調整をマスターしたい方は、はじめは壊れてもよい予備のギターでやってみてからにしましょう。
アコギの弦高の調整方法①:道具の準備
アコギの弦高調整をする際に準備すべき道具は、弦高を測る時に使用するのと同じで端から目盛りが書いてある定規と、その他は六角レンチ・紙やすりです。
六角レンチはギターを購入した際に付属している場合もありますが、手元にない場合はレンチセットを思い切って購入しましょう。
紙やすりは目の細かいものと目の粗いものの、両方を用意するとよいです。
高儀 TAKAGI ボールポイント 六角棒レンチ 9本組
参考価格: 867円
Funshare 紙やすり サンドペーパ 耐水ペーパーセット 36枚入り 12種類 (120 180 240 400 600 1500 800 1000 1200 1500 2000 2500 3000 各3枚)
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アコギの弦高の調整方法②:弦高の確認
弦高の確認は先ほど「弦高の測定方法」の項目で紹介した手順でやってみてください。
この弦高を確認してから高くするか低くするかを決定し、どちらの作業をするか決めていきます。
アコギの弦高の調整方法③:ネックの調整
アコギの弦高はネックとブリッジサドルの2つで調整します。
2つ両方を行う場合は、必ずネックの調整から手を付けないと二度と元に戻らない可能性がありますので充分に注意しましょう。
ちなみにネックを弄るだけで弾きやすい高さに調整することもできるので、ブリッジサドルに手をつける前に弾きやすさを確認しながら、慎重に作業を進めてください。
ネックの調整方法(1):調整用の穴を確認
サウンドホールの中をのぞくと、ネックの一番端の面が見えると思います。
ここ付近に穴が空いていませんでしょうか?
これがネックを調整する穴になります。
もしない時はトラスロッドという金属の棒が、そもそもギターにないか素人では調整不可能な場所にある場合が多いです。
穴が見当たらない場合は自分で調整することはかなり難しいので、専門家のもとへ持っていきましょう。
ネックの調整方法(2):順反りか逆反りかを確認
ネックが順反り・逆反りのどちらの状態になっているかを確認します。
チューニングしたギターをサウンドホールを前に床へ垂直に立て、ヘッドを支えながら見下ろしてください。
ギターのネックが、腰が前に反ってお腹が出た姿勢の人のように弦の方へ山を描いている場合は順反り、反対にに猫背の人のように谷を描いている場合は逆反りです。
順反りの場合は弦高が高くなっており、逆反りの場合は弦高が低くなっています。
ネックの調整方法(3):トラスロッドを回す
必ず弦を緩め、六角レンチを調整用の穴の中へ差し込み回してください。
方向は順反りの場合時計回りで、逆反りの場合は反時計回りです。
もし順反りで弦高を低くしたい場合は、トラスロッドを回すことで問題が解決します。
ただし回す時は慎重に、硬すぎて回らない時は限界まで回っている可能性があるので注意してください。
それ以上回すと壊れる心配があります。
この状態だった場合はブリッジサドルの調整に移るか、専門家に見てもらってください。
また弦が正しく張っている状態でないと正しく反り具合を確認できないので、弦を緩めてからトラスロッドを回した後に、再度チューニングに戻って同じ作業を繰り返しながら少しずつ調整していきましょう。
アコギの弦高の調整方法④:サドルの調整
サドルはサウンドペーパーで削って調整しますが、これは1度やったらもう2度と戻りません。
慎重に行いましょう。
ブリッジ側(エンドピン側)のみ6本の弦を取り外し、除けておいてください。
弦は切らないほうが後が楽です。
今の弦高の高さから低くしたい分だけマジックで目安となる線を書きます。
あとは「削ってからブリッジに装着し直し、弦を張って弾いて確認する」を慎重に繰り返すだけです。
ちなみに線は鉛筆で書くと高確率で消えるので、必ずマジックで書いてください。
削り方は粗削り用のサンドペーパーを平らなところに置き、サドルを押し当てましょう。
均等になるように削って、ガタツキがないような仕上がりにしてください。
目安の線に近づいてきたと思ったら、仕上げ用のサンドペーパーに早めに切り替えましょう。
まとめ
アコギの弦高によって弾き心地やサウンドが大幅に変わります。
自分で弦高を調整するのは非常に難しいので、初めてやる場合は今回紹介した記事の手順を必ず守ってくださいね。
まだ自分のギターの弦高を測定したことがない方や、最近弦高が気になるという方は、一度測ってみるのはいかがでしょう?
そろそろ自分の好みに弦高を変えても良い頃合いだったり、メンテナンスのサインかもしれません。