長調と短調の違いは?楽譜・鍵盤上での見分け方を紹介!
曲には長調と短調があります。演奏するときに曲の調を考えて演奏していますか?違いはどんなところ?曲の感じをつかんだり、弾きやすい指使いができるためにも何調かわかって演奏したほうがいいです。ここでは長調と短調の違いや、楽譜や鍵盤上での見分け方をお伝えします。
長調と短調の違いとは?
みなさんは音楽で「長調」と「短調」があることはご存知だと思いますが、その違いをご存知でしょうか?
なんとなく明るい曲が長調で、暗い曲が短調という認識は多くの方がお持ちだと思いますが、この記事では更に深堀りして、長調と短調の違いについてご紹介していきます。
長調とは
長調は一般的に明るい曲と言われています。
聞いた感じや弾いた感じが明るく弾んだ感じがすると長調なのですが、感覚だけだと違う場合もあります。一口に長調と言ってもいろいろなニュアンスを持っています。明るく快活な曲調はもちろん長調ですが、テンポが遅くゆったりと穏やかな曲の中にも長調の曲があり、長調か短調か迷うときもあります。
例えば次の動画はベートーベン作曲の「トルコ行進曲」で明るくハ長調です。下の動画はベートーヴェン作曲のピアノソナタ第8番「悲愴」の第2楽章でゆったりしたメロディーですが、変イ長調なのです。
短調とは
短調は暗くて悲しい感じと言われます。
しかし短調でもテンポが速くて弾んでような曲もあり、ちょっと聞いた感じでは長調では?と思ってしまう曲もあります。
例えば次の動画はベートーヴェン作曲「エリーゼのために」でイ短調ですが同じイ短調でも下の動画はモーツアルト作曲のピアノ曲「トルコ行進曲」です。速いテンポで目まぐるしいメロディーと弾んだような左手の伴奏形から長調かと思いますが、この曲もイ短調なのです。
長調と短調の違い
先ほどの動画のように、感覚はあいまいなので明るい、暗いという感じはテンポや曲調でずいぶん変わって聞こえてしまいます。
しかし、音楽のきまりの上では長調と短調の違いははっきりしています。
長調と短調の違いは使っている音階が「ドレミファソラシド」か「ラシドレミファソラ」なのかで決まります。
ピアノの鍵盤を見ると白鍵と黒鍵がきれいに並んでいますね。白鍵はすきまなく並んでいるのに対して黒鍵は2つと3つに分かれてすきまがあります。ピアノは平均律で調律されています。平均律は1オクターブ(ド~ド)を12等分するという調律方法なのです。したがって1オクターブ(ド~ド)の間に白鍵が7つと黒鍵が5つあります。この鍵盤のすぐ隣とのことを半音、2つ分を全音と言います。
ドとレの間は黒鍵が挟まれているので全音ですが、黒鍵が挟まれないミとファ、シとドは半音で、隣同士の音でも幅が広いところと狭いところがあります。この違いが長調か短調かの分かれ目です。
長調と短調の音階の最初に注目してみると、長調の「ドレミ」は黒鍵が2つあり、短調の「ラシド」は黒鍵が1つしかないので短調のほうが幅が狭いのです。
♯や♭がたくさんつくとどうなるの?
上の表は五度圏表といいます。12時の位置がハ長調とイ短調、右にいくほどシャープが増えて、逆に左にいくほどフラットが増えます。一つの調号に長調と短調の2つが存在するのです。
音階の「ドレミファソラシド」はイタリア語です。調の名前は日本の昔の読み方「ハニホヘトイロハ」で読んで、それぞれ対応しているため、ドで終わるならハ長調か、ハ短調、ソで終わるならト長調かト短調となります。
また英語を当てはまると「ドレミファソラシド」は「CDEFGABC」となり、mは短調のマイナーとよみ、長調の時は大文字だけでハ長調ならCメジャー、イ短調ならAmでエーマイナーと読みます。
全部で長調も短調も12個ずつ全24調あるのです。(読み直しの異名同音調が2つずつあります)
長調と短調の見分け方
では実際に曲の中で調の見分け方をお伝えしていきます。
短い曲では一つの調でできている曲もありますが、長い曲では途中で調が変わる転調している曲も多くあります。
曲名にピアノソナタハ長調など調がついている場合、一番最後の音で判断しています。
練習などで役に立つのは、大きな一区切りでこの部分は何調になっている、次の部分は何調に変わっていると判断していきます。五度圏表が近くにあると見比べてわかりやすいですが、近くにない場合は次の方法が便利です。
調号がたくさんついていても、ト音記号の近くから♯や♭は順番についていくので、一番ト音記号から遠い♯や♭を見つけましょう。
♯ならついている音がシャープのシの音、♭ならついている音がフラットのファの音と読みます。
その調のシまたはファの音がわかったら、最後の一番低い音を見て、読み替えて「ド」になるのか、「ラ」のなるのかを見ると何調かわかります。
鍵盤での違いの見分け方
もし鍵盤が弾けるのなら、左手に注目して弾いてみましょう。
テンポや曲調や伴奏形に惑わされないように①ゆっくり、②伴奏形ではなく和音の形に戻して、弾いてみましょう。
長調なら最後の部分がシファソ、ドミソと最後の和音が明るい音になり、短調なら最後の部分がソ#レミ、ラドミとなり暗い音で終わります。
そのことで何調かわかります。最後から2番目のシファソやソ#レミは長調でも短調でも同じ響きで、最後の和音のドミソの「ドミ」、ラドミの「ラミ」の音の幅が半音が4つと広いのが長調、半音が3つと狭いのが短調なので、鍵盤上で見分けるときの参考にしてください。
楽譜での違いの見分け方
では楽譜で判断するときはどうすればいいのでしょうか?
楽譜の一番最後の最低音を調べましょう。なんの音で終わっているのかがわかったら、調号を調べて階名でドかラが分かれば長調か短調かがわかります。
また実際の音が何かが分かれば、日本式の読み方に当てはめてみて、ト長調やト短調と分かります。
また最後の音がフラットのラで終わっていたらフラットの意味の「変」をつけて変イ長調となります。
最後の音がシャープのドの音で終わっていたら、シャープの意味の「嬰」(えい)をつけて嬰ハ短調となります。
まとめ
ピアノを弾くうえで何調かわからなくてもいいんじゃないかと思うこともあります。
しかし調によって黒鍵の位置が変わるので使いやすい指使いがあります。
また感情表現をする音楽演奏で、調性によって持っている感じが変わるので何調かを知ることは重要になってきます。
暗譜をすることも調性を知ると格段に速くなりますよ。
音楽大学の入試問題に調性判別という項目もあり、詳しくなるとむつかしいのですが、大まかに調性を知ることや調べることはするといいですね。
学生時代に、「ハ、ト、ニ、イ、ホ、ロ、嬰へ(変ト)、変ニ、変イ、変ホ、変ロ、へ、ハ」と呪文のように覚えましたが、♯が増えて、読み替えからフラットが減っていく全調の覚え方でした。5度圏表を右まわりで読むとこうなります。意味が分かると5つずつ進んでいっているんだなあと思います。
音楽のきまり、楽典、を少しずつ知ってさらに演奏も楽しんでくださいね。