【CMソング】AppleのCMがかっこいい!各製品で使用されている曲をわかりやすくご紹介
世界で最もイノベーティブな企業であるApple社。そんなAppleのCMと、CMで使われた曲はいつも話題に!これまでAppleのCMに起用された数々の楽曲を振り返りながら、AppleのCMが多くの人から注目される理由を探ってみたいと思います。
CM【AirPods~Bounce~】/曲名「I Learnt Some Jazz Today」
まずは現在放送中のワイヤレス方式のマイク付きイヤフォンAirPodsの“Bounce”というCM。
映像監督はレディオヘッドのミュージック・ビデオなども手掛けた気鋭映像作家オスカー・ハドソンが務めています。
“これまで以上にワイヤレス”と謳う最新のエアポッズ。
フタを開けるだけで即ペアリング、電源のオンオフも不要とあって、そのストレスフリーな快適さを映像でも表現しています。
気乗りしないまま、ひとまずAirPodsを手に家を出た男性。
AirPodsのおかげか、次第に足取りも軽くなり街中を軽快なステップでBounce!
“テンション上がるの早くない!?”
とも思いますが、これもAirPodsの即効性を表しているのでしょう。
ありふれた日常(色のないモノトーンの世界)の中でも、そんな心弾む体験ができたら素敵ですよね。
出演しているのは、フランス出身のパフォーマーMehdi Baki(メディ・バキ)。
パリを拠点に活動しており、ダンサーや振付師としてテレビや映画、ミュージック・ビデオにも出演しています。
CMに使われている曲は、Tessellated(テッセレイテッド)の「I Learnt Some Jazz Today」。
テッセレイテッドは、ジャマイカ出身の音楽プロデューサー&シンガーソングライターです。
彼の音楽は、レゲエ、ヒップホップ、ジャズ、ファンク、R&Bなど幅広いジャンルをミックスしたスタイル。
日本ではまだ知名度が低いテッセレイテッドですが、このCMをきっかけにメジャーレーベルとレコード契約したとのこと。今後の活躍が期待されるアーティストの一人です。
CM【Apple Watch4~腕に導かれて~】/曲名 「Player」
こちらは6月から放送されているApple Watch4の“腕に導かれて”という日本独自CMです。
CMで紹介されているように、アップルウォッチは運動量の目標達成状況を視覚的に把握できるスマートウォッチです。
アップルウォッチを装着した腕に導かれ、日常生活の中で運動することを習慣化されていくというコミカルなCM。
従来のスマートウォッチの機能に加え、健康に役立つ行動を習慣化できることを視聴者に伝えています。
初代Apple Watchが発表されたのは2014年。ティム・クックがCEOに就任して初の新カテゴリー製品です。
発売当初は、見た目がダサい、電池が持たない、なのに値段は高いと評判はいまいちでしたが、デザインや機能が改善されるに従って人気は上昇。
腕時計の販売は一番後発なメーカーでありながら、今では“世界一売れている時計”という地位にまで上り詰めました。
日本独自CMということもあり、イメージを優先したスタイリッシュなCMというよりは機能性や実用性をアピールしています。
時計としてのデザイン性や機能性はすでに周知されている前提で、ヘルスケアに関心がある層をターゲットしたCMです。
出演しているのは、作業療法士をしていたという人気モデルの“チバユカ”。
音楽はchelmico(チェルミコ)の「Player」が使われています。
chelmicoは、いろんなCMにも起用されている注目の日本の女性ラップ・デュオです。
“爽健美茶”のCMでご存知の方もいるかもしれませんね。
可愛らしい外見からは想像もつかない卓越したリズムキープとセンスのあるリリック。
ヒップホップはちょっと苦手…という人も是非一度聞いてみてください。
2018年、ワーナーミュージック・ジャパンアンボルデよりアルバム『POWER』でメジャーデビューを果たしています。
CM【iPhone-Privacy】/曲名「Rich Man's Frug」
4月から放送されていたiPhoneのプライバシー保護に関するCMです。
“プライバシーは大切”というメッセージから始まるこのCMでは、立ち入り禁止の看板やシュレッダーやカギなどプライバシーを連想させるものが次々と登場。最後にiPhoneを使う女性が現われ、“プライバシー。これがiPhone。”というコピーで締め括られます。
CM内では、あえてiPhoneの具体的な機能を紹介することはしません。
ですが、テンポのいい映像と少しコミカルなBGMが視聴者の興味をそそり最後まで目が離せなくなります。
ここで使われている曲は、『Sweet Charity』というミュージカルの「Rich Man's Frug」。
『Sweet Charity』は1966年にブロードウェイで初演、1969年にアメリカで映画化されたミュージカルです。
このミュージカルを象徴する、演者たちが真顔で”Frug”(脚を動かさないで腰と腕を激しく動かすダンス)を踊るシーンで使われている曲です。
CM【iPhone XR~あふれる色~】 /曲名「Come Along」
この作品もかなり印象的でした。
iPhone XR に搭載されたLiquid Retinaディスプレイの美しさをアピールしたCMです。
集合住宅地から次々と溢れてくる人、人、人。まさに“色の洪水”!。
Liquid Retinaの豊富なカラーバリーションを圧巻のスケールで表現しています。
このCMで起用されたのは、Cosmo Sheldrake(コスモ・シェルドレイク) の「Come Along」です。
越境の天才サウンド・コレクターと称されるコスモ・シェルドレイクは、1989年生まれ、イギリスを拠点に活動するミュージシャン&プロデューサー。
幼少期から自然界への深い興味と繋がりを持ちながら、世界中の型破りな音楽へ囲まれて育った彼の音楽はとにかく越境的です。
国や人種を超えた越境的なサウンドと映像が、さらにこのCMを独創的かつ壮大な作品にしています。
AppleのCMにおける音楽の役割
AppleのCMをより印象付けているのはやはり音楽です。
一言でいえば、選曲が抜群にいい!ということですが、それは単に流行のアーティストや楽曲を起用するという安直なものではありません。
いくら凝った映像であっても、そこで流れるBGMによって視聴者の印象は変わります。
音楽は、商品またはCMそのものにプラスの効果もマイナスの効果も与えます。
そんな音楽による足し算や引き算が絶妙に上手いのがAppleのCMです。
高額な商品が多いApple製品には、ハイグレード感をアピールしたり、それなりのステイタスを感じさせることも必要でしょう。
しかし、それだけでは一部の消費者のみを対象にしたCMになりかねません。
ユーザーに寄り添い続けるAppleとしては、いかに“憧れを抱かせつつもより身近に感じさせるか”がポイントです。
そこにも音楽が効果的に用いられています。
一般的なCMでは、その製品の優れている点を強調するため、宣伝文句と合致するような曲がよく使われます。
ですが、AppleのCMでは、視聴者の想像力を掻き立てる楽曲が選ばれています。
時には往年のロックやポップスの名曲、時には先進的な若手アーティスト、また時にはAppleが独自に発掘したインディーズバンド。
AppleのCMでは、これまで有名無名問わず、世界中のさまざまなジャンルの楽曲が使われました。
CMをきっかけにブレークしたアーティストやヒット曲は数え切れません。
いろんな国のアーティスト、さまざまなジャンルの楽曲を使用することで、人種を超え、世代を超え、個別の趣味嗜好をも超えて、あらゆる人々に寄り添うことのできる製品であることをアピールしているようにも思えます。
また、音楽による演出として、大きく分けて二通りの方法を用いています。
一つは、アーティストや楽曲の個性を前面に出す方法と、もう一つは、ドラマや映画の演出として使われるBGMやSE(サウンドエフェクト)のような役割で音楽を使う方法です。
AppleのCMで話題になりやすいのは前者の方だと思いますが、スタイリッシュなCMという意味では後者のタイプが多いかもしれません。
後者ではよくインストゥルメンタルが使用されます。
このCMは、2019年4月に公開されたApple iPad Proの“いつでもiPad Proと”というタイトルのCMです。
曲はFIDLAR(フィドラー)の「Almost Free」が使用されています。
楽曲自体にSEのような効果か含まれていて、ちょっとした映画のワンシーンのようです。
一瞬音楽が消えるシーンがありますが、ここでは音楽がない効果も生まれています。
こちらは2018年11月に公開されたiPad Proの“5 Reasons iPad Pro can be your next computer(iPod Proがあなたの次のコンピューターになる5つの理由)”というCMです。
iPad Proなら、パソコンでやりたいことも、パソコンではできないようなことも、スクリーンをタッチするだけで誰でも簡単にできることをコマーシャルしています。
パソコンを凌ぐ処理性能を具体的に示すため過度な演出は避け、文字によるストレートなメッセージを多用しています。
このような場合、視聴者はあまり音楽に注目することはなく映像や文字に集中します。
ですが単調になりやすい映像に、音楽がスピード感や緩急を与えており、つい最後まで映像を見てしまうという効果をもたらしています。
どちらのCMもやはりAppleらしいスタイリッシュなCMと言えるのではないでしょうか。
音楽が持つ力や特性を最大限活かしているのが、AppleならではのCMなのだと考えます。