サブドミナントマイナーとは?代理コードとあわせて解説!
サブドミナントマイナーは、ポップスやジャズなどでよく使われるコードです。一体どんなコードなのでしょうか。また、どんな使い方をするのでしょうか。今回はサブドミナントマイナーのコードやサブドミナントマイナーの使い方についてご紹介します。
サブドミナントマイナーとは?
「サブドミナントマイナー」とは、サブドミナントの機能を持った短和音(コード)のことです。
コードとは
ギターやピアノで和音の伴奏をつける時、よく使われるのがコードです。
コードは、スケールを構成する音を基にして、その上に作られた3和音や4和音の和音のことです。
例えば、Cメジャー(ハ長調)なら、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド がスケールです。
ドの上に作られた3和音は、例えばド・ミ・ソやド・♭ミ・ソなどになります。
コードには、明るい感じのする長和音(メジャーコード)と、暗い感じのする短和音(マイナーコード)とあります。
「サブドミナントマイナー」は、「マイナー」のコードになります。
和音の役割
また、和音を繋げる時、それぞれの和音に役割があります。これを「機能」といいます。
和音の機能には、
- トニック(T)
- ドミナント(D)
- サブドミナント(S)
和音の繋ぎ方(T→D→T)
例えば、T→D→Tの和音の連結(コード進行)は、身近な場所でよく使われています。
幼稚園や小学校の音楽発表で、「ジャーン・ジャーン・ジャーン」という礼をする時の和音伴奏があります。
礼をする時の和音の繋ぎ方が、T→D→Tの和音の連結です。
礼の時に使う和音は、ディグリーコードで言うと、
Ⅰ → Ⅴ → Ⅰ
コードネームで言うと、
C → G → C (Cメジャー)
になります。
和音の繋ぎ方(T→S→T)
Dの代わりにS(サブドミナント)を使い、T→S→Tの繋ぎ方にすることもあります。
例えば、
ディグリーコードで言うと、
Ⅰ → Ⅳ → Ⅰ
コードで言うと、
C → F → C (Cメジャー)
の繋ぎ方が、T→S→Tにあたります。
T→D→Tの繋ぎ方よりも、柔らかく優しい感じになります。
和音の繋ぎ方(T→S→D→T)
T→D→Tの連結のD(ドミナント)の前にS(サブドミナント)を入れたのが、T→S→D→Tの連結です。
ディグリーコードで言うと、
Ⅰ → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ
コードネームで言うと、
C → F → G → C (Cメジャー)
などがこれに当たります。
Dの前で、ふわっと盛り上がったような感じがする和音の繋ぎ方です。
サブドミナントがマイナーになると
S(サブドミナント)が、短和音で使われた時、「サブドミナントマイナー」と呼ばれます。
S(サブドミナント)が長和音で使われると、明るい感じがしますが、短和音で使われると少し物悲しいような、心惹かれる感じがします。
S(サブドミナント)の使い方で、音楽の印象をぐっと変えることができるのです。
サブドミナントマイナーの例
サブドミナントマイナーは、サブドミナントの長和音の和音の代わりに使われる同主調の和音です。
サブドミナントの和音としてよく使われるのが、ディグリーコードで言うと、Ⅳの和音です。
Cメジャーのコードの場合、FやFmといったコードになります。
C→Fm→G→C(Ⅰ→Ⅳm→Ⅴ→Ⅰ)
Fの和音をサブドミナントとして使うと、次のようなコード進行が使えます。
C → F → G → C
( ディグリーコード I → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ )
サブドミナントマイナーを使うときは、Fの和音を Fm のサブドミナントマイナーに置き換えると簡単です。
C → Fm → G → C
( ディグリーコード Ⅰ → Ⅳm → Ⅴ → Ⅰ )
Fのメジャーコードを使うとシンプルな明るいコード進行になりますが、Fmのマイナーコードに置き換えると変化が生まれます。個人的な印象ですが、Fmがアクセントになって、音楽にちょっとスパイスを加えるたような感じになります。
C→F→Fm→G→C(Ⅰ→Ⅳ→Ⅳm→Ⅴ→Ⅰ)
Fm の前に F を 置くことも可能です。
C → F → Fm → G → C
( ディグリーコード Ⅰ → Ⅳ → Ⅳm → Ⅴ → Ⅰ )
FからFmに変わることで、明るい表情がふっと暗い表情になる感じがします。メジャーのコードから、マイナーのコードに変わったことがよく分かる進行になっています。
その他のⅣmの和音
4和音にもサブドミナントマイナーがあります。
長6の和音 Fm6 (Ⅳm6)
短7の和音 Fm7 (Ⅳm7)
長7の和音 FmM7(ⅣmM7)
Fm6(Ⅳm6)は、Dm7-5(Ⅱm7-5)と同じ構成音で、根音がFに変わります。
繊細でメランコリックな感じがします。
Fm7(Ⅳm7)は、Fmのセブンスのコードでよく使われます。
FmM7(ⅣmM7)は、Fmのコードの上に長3度の音がくっついた形です。
不思議な感じのする和音です。
サブドミナントマイナー Fm(Ⅳm)を基にして、和音の構成音を変えるだけで、音楽の響きが全く変わったものになるのです。
サブドミナントマイナーの代理コード
サブドミナントマイナーの代理コード
サブドミナントマイナー IVm のコードの代理コードとして使えるコードは、次のようなものがあります。
Ⅱm、Ⅱm7、Ⅱm-5、Ⅱm7-5
Cメジャーの曲の場合、Dmのコードがサブドミナントマイナーの代理コードになります。
Dmに変化を加えて、Dm7(Ⅱm7)やDm-5(Ⅱm-5)、Dm7-5(Ⅱm7‐5)にすることもできます。
Dm-5、Dm7-5は、DmやDm7のラの音に♭が付いた和音です。
Ⅳ♭やⅣ♭M7
Cメジャーで言うと、A♭やA♭M7がサブドミナントマイナーの代理コードになります。
Fm7やFm9のルート音(根音)を取った形です。
Ⅳ♭6
Cメジャーで言うと、A♭6がこの和音になります。
Ⅳm7(Fm7)の和音の順番が変わり、ルート音が一番高い音になった形です。
♭Ⅳの音を持つコード
♭Ⅶ7(B♭7)や♭ⅡM7(ナポリの6)があります。
♭Ⅶ7(B♭7)は、Ⅶの音が半音下がった音(B♭)をルート音にしたコードです。
和音の第Ⅶ音が♭Ⅳの音になります。
♭ⅡM7は、Ⅱの音が半音下がった音(D♭)をルート音にしたコードです。
和音の第Ⅴ音が♭Ⅳの音になります。
代理コードを使うと、アドリブで音楽に新たなハーモニーを加えることが可能になります。
簡単な曲も、代理コードの使い方によって豊かな響きが生まれ、味わい深い音楽に変化します。
転調にも使えるサブドミナントマイナー
また、サブドミナントマイナーは、転調をする時にも使えます。
転調をするときは、同主調や平行調を使います。
同主調は、同じ音から始まる長調や短調のことです。
Cメジャー(ハ長調)の同主調→Cマイナー(ハ短調)
Fメジャー(ヘ長調)の同主調→Fマイナー(ヘ短調)
になります。
平行調は、同じ調号で表される長調や短調のことです。
例えば、Cメジャー(ハ長調)の平行調→Aマイナー(イ短調)
Fメジャー(ヘ長調)の平行調→Dマイナー(二短調)
になります。
サブドミナントマイナーは、長調の曲で転調のきっかけとなります。