ドビュッシー『夢』はどんな曲?成り立ちから曲構成について独自考察

本当に、まるで夢を見ているかのような美しい曲、ドビュッシーの『夢』。この曲はどうやって弾けばいいでしょうか?
こちらではドビュッシーの『夢』について曲の背景や成り立ち、曲の構成まで詳しく解説。
練習法や弾き方もまとめています!

記事の目次

  1. 1.ドビュッシーとは
  2. 2.ドビュッシーの『夢(夢想)』はいつ頃作られた曲?
  3. 3.ドビュッシー本人は『夢(夢想)』が好きではなかった?
  4. 4.ドビュッシー『夢(夢想)』の曲構成について考察
  5. 5.ドビュッシーの『夢(夢想)』についてまとめ

ドビュッシー『夢(夢想)』の曲構成について考察

さて、ここからはドビュッシーの『夢(夢想)rêverie』の曲構成や弾き方のコツなどをまとめていきましょう。

まず楽譜を最初から最後まで見て、ご自分なりに曲の構成を見て見て下さい。ご自分で「見つける」ことに意味があります。そしてアナリーゼをしていきましょう。

その上で、こちらでも独自に、貼らせて頂いた動画を元に、場面ごとに区切って曲の成り立ちなどをご紹介します。こちらの動画は指使いも見やすいので弾く時の参考にもなさってください。

 

セクション①0~41秒のあたり

曲のテンポは「Andantino sognando」という指示になっていると思います。この意味は「歩く速度よりはやや速く、夢見るように」です。
そして冒頭には「con espressione」の指示があります。これは情緒豊かに、という意味になります。

ピアニッシモではありますが何を弾いているか分からないほど小さく弾くことはありません。左手部分は流れるように弾くことを心がけて下さい。右手はメロディーなのでやや大きく、音を丁寧に響かせるように弾きましょう。

この部分のメロディーは後半にも出てきます。重要なテーマとも言えるメロディーなので覚えておきましょう。

セクション②42秒~1分20秒

ここから明らかに曲調が変わるのが分かると思います。楽譜を見ても、右手にオクターブの和音が入ってくるので、盛り上がってくるな、と感じますよね。

記号は、楽譜によってはピアニッシモになっているものもありますが最初のところよりはやや強めに弾くのがおすすめです。フォルテと指示が出ているものもありますから、強めに弾いても解釈としてはおかしくありません。

オクターブを弾きながら全音符で押さえるところもあって、手の大きさや器用さが試されるところですが、片手ずつ練習して克服しましょう。左手は依然、流れるように弾くことを心がけて下さい。しかしこのあたりは音が大分飛びますので、ミスタッチをしないように気を付けましょう。

楽譜を見ながらだとおぼつかなくなってしまうので、覚えてしまうくらいには練習を重ねることをおすすめします。

セクション③1分21秒~1分56秒

ここからも明らかに曲調が変わります。メロディーが左手に移ります。

音程こそ違いますが、右手部分に出てきていたメロディーと音の運び方は同じですよね。ここは左手部分を綺麗に響かせることを心がけましょう。しかし右手は右手で複雑な八分音符が連続しますからそちらにも気を使わなければなりません。

クレッシェンドで盛り上げていくところも、なるべく右手は控えめに、左手のメロディーを強めにもっていくようにしましょう。

弾き慣れないうちは片手ずつ練習をし、それから両手を合わせて弾いてみて下さい。また、この部分はペダル使いにも気を使いましょう。音が濁らないように、気を付けて踏みかえをしてください。
 

セクション④1分57秒~2分15秒

この部分は8小節しかなく、短いので次のセクションと一緒にくくってもいいかなと思うのですが、次のセクションから調が変わるため、その大切なつなぎの部分として分けてみました。

右手の和音はスタッカートがつきながらスラーの記号がついているので、気持ちとしてはあまり音を跳ねさせるのではなく一つ一つ丁寧に音を放すような弾き方をするのがいいでしょう。

和音の特に上の部分の音を強調すると綺麗に聴こえます。

セクション⑤2分16秒~2分53秒

ここからは、これまでヘ長調だったものがホ長調に変わります。前の8小節と似たような和音が続いてはいますが、変調しますので気持ち的にも切り替え、弾き方もちょっと意識して変えていって変化を表現しましょう。

和音が続くので、ペダル使いにも気をつけて、音が濁らないように踏みかえをしてください。楽譜にも記載はされていると思いますが、自分なりに工夫することも大切です。

2分38秒あたりから、右手の三連符が続いたあと、左手も三連符が続き…と明らかにこれまでと違う構成になっているように見えますが、奏でているメロディーは同じなので敢えて分けませんでした。しかしここの箇所が、『夢(夢想)』の楽譜の中では一番難関なところだと思いますので、三連符が苦手だなあという方はよく練習をして臨んで下さい。

セクション⑥2分54秒~3分30秒

ここから、また最初のテーマに戻ります。家に帰ってきたような安心感がありますね。

とはいえ、メロディー部分が右手と左手に分かれているので、綺麗に響かせるのはなかなか苦労します。スラーの記号もありますし、いかにも一つの手で弾いているように自然に響かせなければなりません。譜面的には難しくないんですが、綺麗に弾こうと思うと難しいですね。

セクション⑦3分31秒~ラスト

そしてラストの部分です。気を抜かず丁寧に弾いていってください。
指示にある「rall. e perdendosi」とは、だんだん遅く、消えていくように…という意味です。

ここの弾き方は人それぞれです。あまりさっさと弾いてしまうと余韻もなくなりますが、遅すぎるのも退屈してしまいます。ご自分なりのテンポで締めくくって下さい。

最後になりますが、色んなピアニストのピアノ演奏を聴いてみることが大切です。人によって解釈が違います。この方は4分10秒くらいで弾き終えていますが、別の方は4分半くらいかけて弾いていたりもします。
色んな方の演奏を参考になさって下さいね。

ドビュッシーの『夢(夢想)』についてまとめ

ドビュッシー 夢
Photo byJo-B

こちらでは、ドビュッシーの『夢(夢想)』という曲について、曲が出来た経緯や、曲の構成などをまとめています。あわせて、曲の弾き方についても、出来る範囲でご紹介しています。

ドビュッシーの曲は「難解でよくわからない」というご意見もよく見かけますが、見方を変えるととても弾きやすい曲なのではないかと思っています。

ベートーヴェンのようにかっちりした曲が苦手な方には、ドビュッシーの作風は合うのではないかなと思いますので、是非チャレンジしてみて下さい。

関連記事

Article Ranking