演奏において重要な「アナリーゼ」とは?意味や重要性をわかりやすくご紹介

ピアノなどの演奏において重要な「アナリーゼ」とは?そもそも「アナリーゼ」とは何のことでしょうか?
こちらではアナリーゼについて詳しく解説。なぜ必要なのかも説明しています。
アナリーゼをすればあなたの演奏もぐっと素敵なものになるはず!参考にしてみて下さい!

記事の目次

  1. 1.アナリーゼとは?
  2. 2.アナリーゼ(楽曲分析)とはなぜ重要なのか
  3. 3.アナリーゼのコツや、やり方とは?
  4. 4.作曲家の意思を汲み取れるかどうかで、演奏は一気に変わる!
  5. 5.アナリーゼとは?まとめ

その曲に込められたメッセージを知ることができる

現代、世間によく流れている歌には歌詞があり、そこには作者、作詞者のメッセージが込められています。それはクラシック曲でも同じことで、その曲を作った人はなんらかのメッセージを込めて作曲をした、はずです。

例えば、ショパンの「雨だれ」は、ショパンが晩年、病気が重くなる中、マヨルカ島に恋人のジョルジュ・サンドと逃避行をしていたさなかに書かれたものと言われています。

嵐の中、買い物に出て行った彼女がなかなか戻ってこない、その不安の中作曲されたのが「雨だれ」でした。あの、一定のリズムで刻まれるあの音が「雨だれ」の音を表している、とも言われています。

どうでしょう、そう聞くと「雨だれ」の曲の見方が変わりませんか?

同じく、ショパンの「革命のエチュード」、「革命」ってなんのこと?と思いますよね。ショパンがこの曲を作ったころ勃発した11月蜂起(1831年、ロシアの支配に対して起こしたポーランドによる武装反乱)が背景にあったとされています。

結局この反乱は制圧されて終わってしまい、ショパン自身は病弱だったために参加することさえできませんでした。その怒りの感情をぶつけた曲、とも言われています。

ただ「革命」と聞いて弾くより、そういう背景があったのか、と知ると、弾き方も変わりますよね。ショパンの気持ちをどう表すか、弾き手としては考えるところです。

アナリーゼのコツや、やり方とは?

アナリーゼは楽曲分析をすることである、そして楽曲分析をすることは演奏する上で重要、とこれまで書いてきました。

では、アナリーゼのやり方、方法はどうしたらいいのでしょうか、こちらでは初歩的なやり方を少しまとめてみましょう。

小節に番号を振り、曲を大まかに分ける

アナリーゼ
Photo byHeungSoon

まず、楽譜の小節ごとに番号をふってみてください。慣れてきたらいちいち振らなくてもいいですが、この楽曲は何小節からなる、くらいは知っておくと、曲の長さなどが把握できるようになります。

次に、大まかに曲の構成を分けてみます。歌でいうならAメロ、Bメロ、サビ、のような形で、小説でいうなら起承転結のような、そう例えると分かりやすいでしょうか。

これも、何曲かやってみると大体コツがつかめてくるものです。クラシック音楽であれば、例えばバロック形式ならこれ、と決まった形式があったりするので、それを調べてみると分かりやすいでしょう。

それぞれの箇所がどんな雰囲気か考える

大まかに曲を分けたら、次はそれぞれの部分が曲の中で一体どういう役割なのか、どんな感じなのかを考えます。

まず、サビ、テーマの部分を探しましょう。その作曲者が何を一番、伝えたかったのかを知る事は大切です。

同じフレーズが繰り返される場合には、少しメリハリをつけたほうがいいかもしれないな、などと考えることも重要です。ダラダラ弾いてしまうとそのことが抜け落ちてしまいますが、アナリーゼをすることで最初から「2回目のこの部分は強調しよう」など、あらかじめ構えておくのとでは全然違ってきます。

ここまで出来たら、次は音楽理論などを取り入れて分析していくとさらに深くその曲を理解することができるでしょう。

いつの時代に書かれた曲か、作曲者の背景を知る

アナリーゼ
Photo byOpenClipart-Vectors

次は感性的な方面から楽曲分析をしていきます。作曲者がどこの国の出身か、いつの時代の人か、そしてその曲は何年頃作られたのか、そして作曲者が何歳くらいのときか、というのをおおよそつかんでおきましょう。

作曲者がその曲を作ったときの「環境」を知ることは大変重要なことです。その曲を一体どんな気持ちで作ったのか、どう表現すればよいのか、作曲者が既にもうこの世にいない場合には、そこから自分なりに読み取るしかありません。

また、もし、他の誰かの曲から影響を受けた、という場合にはその元の曲も知る必要があります。音楽理論など難しいことが分からなくても感情方面のアナリーゼというのは初心者にでもできることです。出来うる限りの情報をあつめ、ご自分なりに解釈してみて下さい。

作曲家の意思を汲み取れるかどうかで、演奏は一気に変わる!

これらのアナリーゼを元に、自分なりに演奏をどうすれば良いか、考えてみてください。アナリーゼで終わらず、是非ともご自分の演奏、表現に結びつけることを忘れないようにしましょう。

一曲、例を挙げてみたいと思います。上記しました、ショパンの「雨だれ」のケースです。こちらはショパンが晩年、もう大分身体も弱っていた中、マヨルカ島で作曲されたものだと説明しました。出かけていった恋人が帰ってこないという不安の中作曲されたものらしい、ということも。

「雨だれ」というタイトルだけ聞いて、一体どんな「雨だれ」なのか、考えることと思います。雨上がり、日差しもさす中軒下からたれる「雨だれ」なのか、大嵐の中絶え間なく落ちていく「雨だれ」なのか、この2つの情景は全く相反するもので、弾き方も変わりますね。

ショパンの「雨だれ」は不安の中、作曲されました。途中部分、ややおどろおどろしい箇所もあり、ショパンのその時の気持ちをはかることができます。

つい単調になりがちになってしまうこの曲をいかに、感情を込めて、伝えることができるか、ご自身のアナリーゼにかかっているといっても過言ではないのです。

アナリーゼとは?まとめ

アナリーゼ
Photo byrjasso

今回こちらでは、アナリーゼの意味、そしてなぜ必要か、などを解説しました。

ピアノを習っている方のほとんどが「感情を込めて弾きなさい」と先生から言われたことがあると思います。筆者も口酸っぱくいわれていたクチです。その、「感情を込めて」というのがすでにアナリーゼをしている、ということなのです。

あまり難しく考えず、自分なりにその楽曲を解釈してみて下さい。きっと、「自分だけの」その曲が出来上がるはずです。

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