【EGOIST】大人気アニメサイコパス主題歌に抜擢!『名前のない怪物』とはどんな曲?
アニメ「ギルティクラウン」から生まれたEGOISTの歌う『名前のない怪物』は人気アニメ「サイコパス」のエンディングテーマですが、アニメの世界観を見事に描いているとして話題になりました。
ここではEGOISTの『名前のない怪物』の歌詞を徹底考察します!
御伽話はさっき死んだみたい
煉瓦の病棟でうまく歌えなくて
霧に煙る夜 浮かべ赤い月
ほらみて 私を
目を逸らさないで
まず、「名前のない怪物」というのがどういう意味で何を指すのか、ということですよね。
筆者個人としては、シビュラシステムのことを指しているのではないかと考察します。
シビュラシステムというのは、アニメをご覧になった方であれば正体が分かると思うのですが、優れた脳の集合体のようなものです。「システム」として名前はついているものの、その正体そのものを知っているものはごくごく限られています(正体を知ってしまった者はたとえ公安の者であっても排除されました)。
その、何、とも形容しきれない「正体」、それを「名前のない怪物」と称しているのではないかと思います。
そしてアニメをご覧になるとおそらくほとんどの方が、シビュラシステムが統治する世界の異常性というものを感じると思います。シビュラが登場する前の世界を「御伽噺(フェアリーテイル)」とし、それが「死んだ」と言うことで、この世界を憂いている様子が伝わります。
煉瓦の病棟、というのは、潜在犯が隔離されている更生施設を思い浮かべました。潜在犯の中には、何もしていないのに数値が高い、というだけで隔離される者もたくさんいます。
数値だけで判断される世界。そしてそんな自分を「ほら見て」と訴える様。シビュラに弾かれていても自分は一人の人間、ここに生きています、と言っているようですね。
黒い鉄格子の中で私は生まれてきたんだ
悪意の代償を願え
望むがままにお前に
さあ与えよう正義を
壊して 壊される前に
因果の代償を払い
共に行こう 名前のない怪物
公安には、犯罪係数がクリアな監視官、そして潜在犯の中でも素質があると見出されたものがなる執行官、という者たちがいます。黒い鉄格子の中で生まれた、とは、この執行官たちを指すのではないかと思います。
アニメ1期では執行官の一人に、幼い頃から更生も難しい潜在犯と認定され、執行官に抜擢されるまでずっと更生施設で過ごしていた、というキャラがいましたが、この一文は彼を彷彿させる部分もあります。
数値で差別された人間(執行官)から見たらシビュラの判定は「悪意」でしかないでしょう。しかしそれでもその中で「生かされている」自分たちはシビュラの裁きに従わないものと戦わなければなりません。
シビュラの決めた「正義」のもと、犯罪が起きるまえに制圧しなければならない、それが「壊して 壊される前に因果の代償を払い」という部分の意味かなと解釈しました。
そして彼らは本当の正義とはなんなのか、もがき続けながらも、シビュラシステムを受け入れ、生きていこうとするのです。
耳鳴りがしてる
鉄条網うるさくって
思い出せないの あの日の旋律
雨はまだ止まない
何にも見えないの
それでも、本当にそれでいいのかと悩み続けます。
アニメではヒロインの常守朱が、親友を槙島に惨殺されるという事件がありました。槙島は免罪体質なので、シビュラからは排除の命令が下りません。朱は目の前で友人が惨殺されても何もできなかったのです。
その時槙島が、こんな世界でいいのかと彼女に訴えます。数値で決められる人生が正しいのかと。
しかしその答えはまだ見つからない、この部分はそういった状況を表しているのではないでしょうか。
ほらみてこんなに大きくなったの
黒い雨 降らせこの空
私は望まれないもの
ひび割れたノイローゼ
愛す同罪の傍観者達に
さあ今ふるえ正義を
消せない傷を抱きしめて
この身体を受け入れ
共に行こう 名前のない怪物
ああ神ハ告ゲル 真ノ世界ヲ
「私は望まれないもの」、ここは潜在犯たちのことを表すのでしょう。あるいは、これは1期のエンディングですから槙島のことかもしれません。
数値によって弾かれた者たちはシビュラから愛されなかったもの、数値化すらされなかった槙島も同様です。
しかし多くの潜在犯たちはそのまま黙ってその数値を受け入れ、ただ傍観しているだけです。槙島はその中で「本当の正義とは何か」を問うために極悪な犯罪をたくさん犯しました。
消せない傷、とは「潜在犯」である、ということでしょうか。シビュラシステムそのものがなくならないのなら、共に生きるしかない、という決意の表れなのでしょう。
最後の「ああ神ハ」の「神」とはシビュラでもなんでもない、いわゆる「神様」の事でしょう。あの世界に神がもしいるのなら、シビュラに統治された世界をどう見ているのか、知りたいところではありますね。
『名前のない怪物』は執行官、そして槙島の想い、叫びを代弁したようなもの、と捉えました。
執行官の中でも、とりわけ、幼いころから更生の見込みがないとされ、両親からも引き離されて施設で独りずっと暮らしてきた縢秀星というキャラを彷彿させます。彼は1期中盤すぎに、シビュラの正体を知ってしまい、抹殺されてしまいます。彼の心の叫び、と受け取った方も多いのではないかと思います。
EGOIST『名前のない怪物』まとめ
こちらでは、アニメ「サイコパス」のエンディングテーマとなった『名前のない怪物』の歌詞について徹底考察しました。
改めて見返しても、アニメと深く繋がりがある、と感じずにはいられません。
ちなみにこの曲の元ネタが、滝沢直樹の「MONSTER」では、と推測する声もあるようです。元ネタについてはどちらからも特に言及がないため、なんとも言えないですが、ところどころ連想する部分はありますね。
この曲しか知らない、という方は是非、アニメ「サイコパス」を見てみてくださいね。
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