音楽用語「テヌート(tenuto)」の意味と弾き方について解説!

楽譜でテヌート(tenuto)の記号(「-」や「ten.」)を見たことはありますか?ここでは、音楽用語「テヌート(tenuto)」についてご紹介します。また、「ソステヌート(sostenuto)」と「リテヌート(ritenuto)」との違いもご紹介します。

記事の目次

  1. 1.音楽用語「テヌート(tenuto)」の意味とは?
  2. 2.テヌートでの弾き方
  3. 3.テヌートとスタッカートとの違い
  4. 4.まとめ

音楽用語「テヌート(tenuto)」の意味とは?

テヌート(tenuto)の音楽記号

テヌート(tenuto)とは、音楽のアーティキュレーション(音と音のつなぎ方や切り方でフレーズに表情を付けること)に関する音楽記号のひとつです。音符の長さを十分に保って演奏することを指示します。

レガートのように滑らかに演奏する場合も、音符の長さを十分に保って演奏するため、テヌートと同じだと思われるかもしれません。しかし、テヌートには十分に響かせて強調してほしいという意図があります。

譜面上のテヌートの書き方は、音符の上、もしくは下に、線(-)を付けて表現されます。
「ten.」のように文字で書かれている場合もあります。

ソステヌート(sostenuto)やリテヌート(ritenuto)との違い

テヌート(tenuto)に類似した音楽記号として、ソステヌート(sostenuto)やリテヌート(ritenuto)があります。
それぞれの違いについて、ご紹介します。

ソステヌート(sostenuto)について

アーティキュレーションのひとつであるテヌートに対し、ソステヌートは曲の性格や表情を表す発想記号です。
譜面上は、「sosten.」や「sost.」と表現されます。

音楽用語としては、「各音の長さを十分に保って」という意味で使われます。
テヌートと同じ意味ですね。

しかし、語源を辿るとニュアンスの違いがおわかりいただけると思います。

テヌート(tenuto)の語源は、イタリア語のテネーレ(tenere)です。
テネーレには、「保持する、動かないように手で押さえる」といった意味があります。

一方、ソステヌート(sostenuto)の語源は、ラテン語の「スブスティネーレ(substinere)」です。
スブスティネーレには、「下から支える」という意味があります。

テヌートでは、音符の長さいっぱいに十分に響かせます。
ソステヌートでは、テヌートのように一音一音響かせて主張するのではなく、音楽の一部として音楽を支えるように丁寧に演奏するといったイメージでしょうか。

リテヌート(ritenuto)について

リテヌートは速度記号で、譜面上は「riten.」と表現されます。

リテヌート(ritenuto)の先頭の「ri」はラテン語で「後ろに」という意味があります。
リテヌート(ritenuto)=「ri」+「tenuto」から、「後ろに保つ」という意味になります。
転じて、「慎重な、抑制された」という意味にもなります。

音楽用語としては、「急に速度を弱めて」という意味で使われます。
急に後ろに押さえつけられ、速度を落とさざるをえないイメージです。

テヌートでの弾き方

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ここでは、ピアノでのテヌートの弾き方をご紹介します。

テヌートのついた音を十分に響かせるため、深く打鍵するイメージで、鍵盤に重みを乗せて丁寧に演奏します。
どのくらい響かせるか(どのくらい鍵盤に重みを乗せるか)については、楽曲の自然な流れから考えてみてください。

テヌートとスタッカートとの違い

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テヌートは、上で述べたとおり、音符の長さを十分に保って演奏することを指示しますが、スタッカートは音を短く切って演奏することを指示します。

楽曲によっては、スタッカートをテヌートのように演奏した方が良い場合もありますが、スタッカートの基本は音と音を分離させることで、その音を強調することです。

スタッカートについては以下の記事も参考にしてみてください。

まとめ

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以上、テヌートについてご紹介しました。

テヌートとそれに類似した音楽記号(ソステヌートやリテヌート)について一覧にまとめました。
 

記号 意味
テヌート 音符の長さを十分に保って
(音の長さいっぱいに十分に響かせる)
ソステヌート 音符の長さを十分に保って
(テヌートのように一音一音響かせて主張するのではなく、
 音楽の一部として音楽を支えるように丁寧に演奏する)
リテヌート 急に速度を弱めて

特に、テヌートとソステヌートは、音楽用語としての意味は同じなのですが、ニュアンスの違いを大切にし、演奏に活かしてみてください。

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