【SIRUP】『Do Well』に続き、『LOOP』の中毒者も続出?!曲について徹底考察!
人気シンガーソングライターSIRUPの代表曲「Do Well」に続き、歌詞の世界観や曲調に中毒者が続出しているという「LOOP」について解説しています。アーティストSIRUP本人のインディーズ時代からの情報も交えて、「LOOP」を徹底解剖の内容です。
ビートメイキングは非常にシンプルな作りとなっています。SIRUPの楽曲全体に一貫して共通するこのシンプルさが歌の表情や感情表現を際立たせています。ハイハットは裏拍をやや強調しており、ミドルテンポの曲でありながらノリの良さを出しています。レゲエにも似たビートメイキングと言っても良いかもしれません。ところどころで16ビートのノリで踏むキック(バスドラム)は倍音の無い打ち込みらしいタイトなサウンドメイクで必要最低限に配置され、ここでも不要な音を抜いたシンプルな作りを感じさせます。スネアワークも小節の切り替わりごとにフィルを入れたりしないプログラミングを意図的にしています。
ミュージシャンによる演奏ではなく、あえて無機的な打ち込みによるビートメイキングをすることでこの曲の持つ雰囲気を出しているのが特徴です。ヒップホップのトラックメイキングと同様の変化をつけずにグルーヴすることだけに注力しています。
ビートメイキングに関しては、総合的にどのバースにおいてもタイトな仕上がりとなっている印象です。
ビートにアジャストしたベースラインも隙間を用いた、引き算の手法でボトムを支えているといった感じです。ベースラインは2000年前後のネオソウルを意識したグルーヴ重視のサウンドとなっています。
上物は基本的には効果的に用いられるオープニングのトランペットのサンプリングなども含め、表題通りLOOP=繰り返しをしています。極力、サンプリングも少なめにしており、歌を邪魔しない程度に抑えているといった感じでしょうか。
LOOPの歌詞について
歌詞の意味は恋人同士の日常を彼氏の目線から捉えた内容になっています。恋人同士の何気ない日々がずっと繰り返す(LOOP)ことを願った歌詞が、等身大の若い世代の恋愛体験とリンクするような世界観になっています。
日常の情景の表現の仕方が個性的で、詩のような特徴のあるSIRUPならではの描写の仕方が随所にみられます。以下のようなリリックは、聴き手をその場面に投影させるようなキャッチーで繊細な表現になっていると思います。
- 君の小指のネイルだけにあるアートの意味
- トンネルは連れてく 数秒後の未来
LOOPの歌い方
SIRUP特有の日本語と英語を織り交ぜた歌詞はしっかりと韻を踏んでおり、それを違和感なく聴かせる歌唱法は、長年多くのステージで培った経験と元々持っていたセンスの高さを感じさせます。
「LOOP」の歌い方にも、もちろんそういった感覚が盛り込まれています。
ラップミュージックならではの流麗なフロウを意識した歌唱法は、日本語と英語を自然な形で融合させ、独特なグルーヴを醸し出しています。
曲調やシンプルなビートメイキングとの、バランスの良い流れるように日本語と英語を行き来するスマートな歌い方となっていますので、繰り返し何度聴いても飽きが来ない点で中毒者を生んでいるのかもしれませんね。
LOOPの楽曲構成について
「LOOP」の楽曲構成は日本のポップスによくみられる以下のような構成です。
イントロ~1Aメロ~1Bメロ~サビ~2Aメロ~2Bメロ~サビ~ブリッジ~大サビ~アウトロ
Aメロは1番、2番共にビートを抜いたボーカルがメインとなったパートでBメロからビートが入りサビへと向かいます。2番のサビの終わりにブリッジと言えるパートを挟み、大サビを経てアウトロでフェードアウトしていく構成となっています。
パートやキメごとに意図的にビートを抜き差ししながら、比較的抑揚が少なく進行していく印象ですが、韻を踏んだ英語を含む歌詞などで聴き手に情景を思い起こさせる構成になっているのではないでしょうか。
また、大サビ前の8小節のブリッジパートが非常に効果的に差し込まれています。サンプリングされた電話のベルの音や、8小節目の突然のブレイクが最後の大サビを際立たせています。
アウトロがフェードアウトで終わって行くのも、恋人との日常がこれからも続いていくことを示唆しているのではないかと思います。
まとめ
タイトルである「LOOP」とは一体どういう意味かお分かりいただけたでしょうか?歌詞は恋人との日常がただ繰り返すことの幸せを願う内容ですが、歌詞の内容に合わせ楽曲も繰り返しをすることによって歌詞とリンクさせた作りとなっているんですね。
また、音楽、特にブラックミュージックにおけるグルーヴを出すのもひたすらリズムやフレーズを「LOOP」させることで実現します。
ノリの良いダンサブルな曲だけでなくこういったミドルテンポのラブソングも、ブラックミュージックのマナーのフォーマットに沿った手法を用いて、聴かせるところにSIRUPのアーティストとしての懐の深さを感じますね。
こういった視点からまた改めてSIRUPのほかの楽曲を聴いてみると、今まで気づかなかった新しい面や意味を発見できるかもしれません。もちろん他にも良い楽曲がたくさんありますので、是非じっくりとSIRUPの楽曲の世界観をLOOPしてみてください。