【くるり】『東京』は駆け出しバンドの登竜門?深みのある歌詞にも徹底考察!

不動の人気を誇るバンド『くるり』のデビュー曲にして代表曲『東京』。バンドを始める人にとっては登竜門的存在となっているこの名曲について今回は掘り下げていきます。くるりの名曲『東京』について、その歌詞などから徹底考察していきましょう。

記事の目次

  1. 1.京都発の人気バンド「くるり」
  2. 2.東京の街に出てきました
  3. 3.くるりの『東京』には聴く人を離さない中毒的な魅力がある
  4. 4.くるり『東京』の歌詞から意味を徹底考察
  5. 5.くるりの名曲『東京』についてのまとめ

京都発の人気バンド「くるり」

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『くるり』は立命館大学の音楽サークル『ロックコミューン』でボーカル・ギターの岸田繁とベースの佐藤征史、そしてドラムの森信行の3人により1996年に結成されました。大学の同期にはキセルの辻村豪文がいました。辻村は一時期くるりのサポートギタリストをやっていた事もあるそうです。

岸田と佐藤は立命館高等学校時代からの友人で、共にバンド活動をしていました。『くるり』というバンド名の由来は、京都の市営地下鉄の案内板の矢印が、くるりとなっていたことからだそうです。

1996年にアマチュアバンドのコンテストに出場し、見事優勝して賞金の10万円を手に入れましたが、それは打ち上げとパチンコであっという間に無くなってしまったそうです。

1998年にシングル『東京』でメジャーデビューを果たし、翌年にはファーストアルバムとなる名盤『さよならストレンンジャー』をリリースします。

佐久間正英をプロデューサーに迎えたこのアルバムは、ギターロックを主体としつつも実験的な要素を含む楽曲もあり、初期の段階からくるりが只者ではない事を予感させるのに、十分な仕上がりになっています。

2000年にはよりオルタナティブな雰囲気のセカンドアルバム『図鑑』をリリースします。この辺りからバンドを仕切っていた岸田と、ドラムの森と関係がギクシャクしてきていたそうです。

2001年にはサードアルバム『TEAM ROCK』がリリースされます。今でもくるりのフェイバリットとしてあげる人の多い名曲『ばらの花』は、このアルバムに収録されています。岸田のソングライティングの能力の幅を感じさせる、メンバーもお気に入りのナンバーです。

2002年には4枚目のアルバム『THE WORLD IS MINE』がリリースされます。ギターに大学の先輩にあたる大村達身が加入しています。また、オリジナルメンバーである森が、このアルバムを最後に脱退しています。

東京の街に出てきました

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その後もコンスタントにアルバムをリリースし、くるりは東京でも誰もが知るロックバンドへと成長を遂げました。

映画『ジョゼと虎と魚たち』のサウンドトラックを手がけ、イギリスのグラスゴーでのレコーディングや、USツアーを行うなどバンドとしてノリに乗っていた2004年にリリースされたのが、傑作アルバムと言われる『アンテナ』です。

このアルバムが唯一の参加となってしまったドラムのクリストファー、そして大村達身がいた頃で、ライブバンドとしても最強と言われているメンバーでのアルバムです。

このアルバムを象徴する名曲『ロックンロール』は、ライブでも非常に人気のある、軽快な8ビートが気持ちの良いナンバーですが、私の推しは何と言ってもラストに収められている『How To Go』です。

この楽曲はくるりがバンドとして、これからどのように進んでいくのかを示しているように思われます。それでは聴いてみましょう。


 

How To Go/くるり

『いつかは想像を超える日が待っているのだろう』

この言葉にどれだけの人が希望を感じた事でしょうか。もう15年以上前に書かれた楽曲ですが、本当にくるりは私たちの想像を超えて進化を続けています。
 

メンバーチェンジを経て現在の3人編成に

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その後もメンバーの脱退、加入を繰り返しながら、現在はオリジナルメンバーの岸田繁と佐藤征史に加え、トランペット、コーラス、ボーカル、キーボードのファンファンという3人組となっています。

アルバム毎にテクノやダンスミュージック、時にはクラシックやジャズなど様々な音楽性を取り入れたり、また時には強いメッセージを表し、また時にはコミックバンドのような顔を見せながら、名実共に日本を代表するロックバンドとして今日も進化を遂げ続けています。

くるりの『東京』はバンドを始める者たちの登竜門的存在に

Photo by shaunstreeper

今や不動の人気を誇るくるりの、デビュー曲にして代表曲である『東京』は、これからバンドで一旗上げてやる!という駆け出しミュージシャンにとって、ある意味登竜門的な楽曲であるといえます。

この『東京』を作詞・作曲したボーカルの岸田繁は当時、所持金が500円程しかなかったと言います。追い詰められていた気持ちと、どうにでもなるやという、若い時特有の妙なポジティブさが混じり合った気持ちが、この名曲には込められれいるのでしょう。

そんな気持ちが入ったこの楽曲は、地方から出てきて音楽で成功するんだ!という気持ちを持った若いバンドマンにも共感を呼ぶのでしょう。今日もライブハウスからは『東京』の、ニルヴァーナを思わせるオルタナティブなコード進行のイントロのギターが聴こえてくるではありませんか。
 

くるりの『東京』には聴く人を離さない中毒的な魅力がある

東京/くるり

この『東京』をプロデュースした佐久間正英氏が、自身のベストワークとしてこの楽曲をあげています。残念ながら2014年にお亡くなりになった佐久間氏といえば、ブルーハーツやボウイ、エレカシやJudy  and Maryなど多くのトップアーティストを手掛けてきた名プロデューサーですが、そんな彼が『ベスト』と認めているのは、本当に凄い事と思います。

全てのバランスが奇跡的に上手くいった、と佐久間氏は語っていました。イントロの切ないコード進行のギターからドラム、ベースが入って来るところはいつ聴いても胸が熱くなります。

歌詞の意味については後で触れますが、サウンド面でも聴く者を夢中にさせるポイントがいくつもあります。

まず、なんと言ってもイントロです。最初のギターストロークの“静”とそこからドラムとベースが入って来る“動”のコントラスト。ここで既に持っていかれる人続出です。

そして歌が始まります。フロントマンの岸田繁はやはり素晴らしいボーカリストです。『歌が上手い』ボーカリストとして名前が挙げられる事は、あまり無いかも知れませんが、ずっと聴いていられる、嫌味のない声は多くの人に支持される所以ではないでしょうか。

淡々と歌われるAメロから次第に盛り上がり、サビで一気に爆発します。ここでリスナーの感情も一気に崩壊です。これはニルヴァーナあたりのグランジの『静かなヴァース』→『激しいコーラス』→『静かなヴァース』の繰り返しという手法に似ています。

Smells Like Teen Spirit/Nirvana

このように“ヴァース”→“コーラス”→“ヴァース”が繰り返えされる事によって、楽曲はドラマチックに展開され、聴く者の感情に訴えかけてきます。

それにしても、『東京』というタイトルがつく楽曲には名曲が多いように思われます。

東京/桑田佳祐

サザンオールスターズの桑田佳祐がソロで出した8枚目のシングルに『東京』という名曲があります。サスペンスドラマさながらの雰囲気を持ったこの楽曲は、夜の都会の顔を描いた作品で、累計55万枚を売り上げたヒット作です。
 

東京/やしきたかじん

やしきたかじんが1993年にリリースした、最大のヒット曲のタイトルも『東京』です。『東京』と言いながら、歌詞が関西弁であるところが、多くの支持を受けた理由でしょうか。この動画では1番の『東京』というところを『大阪』当たっていて、歓声を浴びています。
 

東京/JUJU

こちらはJUJUが2018年にリリースした36枚目のシングル曲です。映画『祈りの幕が下りる時』の主題歌に起用されています。
 

くるり『東京』の歌詞から意味を徹底考察

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『東京』という言葉には、何か私達の心に刺さるものがある様に感じます。楽しい事がありそうな、怖い事もありそうな、何かが始まる予感や夢に満ち溢れた街でもあり、でもどこか哀愁もある様な。

そんな『東京』をテーマにしたくるりの代名詞であるデビュー曲の、歌詞の意味を考察していきたいと思います。

東京の街に出て来ました
あい変わらずわけの解らない事言ってます
恥ずかしい事ないように見えますか
駅でたまに昔の君が懐かしくなります

この最初のフレーズが、多くの地方出身者の心をくすぐってきた所以であるのでしょう。そして何と言ってもこの楽曲の1番のポイントは2行目にあります。

『相変わらず』ではなく『あい変わらず』としている点。ここに私は注目しています。これは『愛変わらず』と掛けている、つまりダブルミーニングなのではないでしょうか?

慣れない東京での暮らしで、人には言えないような恥ずかしい事も色々あるのでしょう。でも、東京では他人の事など実はそれ程気にしていないのです。そこが地方との大きな違いと言えるかも知れません。

それと忘れてはならないのが、『わけの解らない事言ってます』ここは自傷的な様でいて、他人からすれば『わけの解らない事』はその人にとってはとても大切な事で、それを“あいかわらず”言ってるというのは、誇りとプライドに他ならない様に思えます。

所持金500円でも、自分を捨てずに持ち続けている強さ。この楽曲の中でもここのフレーズに無意識に人は惹かれてしまうのではないかと、私は思っているのです。

雨に降られて彼等は風邪をひきました
あい変わらず僕はなんとか大丈夫です
よく休んだらきっと良くなるでしょう
今夜ちょっと君に電話しようと思った

君がいない事 君と上手く話せない事
君が素敵だった事 忘れてしまった事

ここの『彼ら』は誰の事を指しているのでしょうか?地元の仲間の事でしょうか?ここでは『彼ら』の他に『僕』そして『君』が出てきます。

この楽曲は『君』に宛てた手紙の様なものでしょうか。なんとなくこの手紙は出せなかったような気がします。夜中に書いた手紙を、翌朝見たら恥ずかしくなってしまって送れなかった時に似ていますね。
 


話は変わって今年の夏は暑くなさそう
あい変わらず季節に敏感にいたい
早く急がなきゃ飲み物を買いにゆく
ついでにちょっと君にまた電話したくなった

君がいるかな 君と上手く話せるかな
まぁいいか
でもすごくつらくなるんだろうな
君が素敵だった事 ちょっと思い出してみようかな

“愛変わらず”にいる『君』とは一体誰の事を指しているのでしょうか?楽曲の中でも何度となく出てくる『君』ですが、具体的にどういう関係であるかには言及していません。

その事によって、聴く人によりその『君』には様々な解釈をする事が可能になっています。歌詞を読んでいくと、今はもう簡単には会うことの出来ない人物である事は想像出来ます。

聴き手に一定の解釈の幅を持たせながらも、切なさややるせなさ、青臭さなどはしっかりと感じさせているあたりは、この楽曲が支持され続けている理由として挙げられるでしょう。

 

くるりの名曲『東京』についてのまとめ

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くるりの名曲『東京』について考察してきました。あいかわらず訳の解らない考察ですが、恥ずかしい事は何一つ有りません。

今回この記事で、くるりに興味を持ったという方は、是非アルバムを聴いてみていただきたいと思います。

私のお勧めは色々ありますが、まずはベスト盤『ベストオブくるり/TOWER OF MUSIC LOVER』が良いかと思います。

こちらのアルバムには『東京』は勿論、『ばらの花』『ワールズエンド・スーパーノヴァ』『男の子と女の子』などバラエティに富んだ名曲が多数収録されています。
 

優しさと激しさ、切なさと思いやりが同居しているような、そんなくるりの世界をこれからも追い続けていきましょう!

 

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