【RADWIMPS】のヒット曲「オーダーメイド」を読み解く!歌詞に込められた想いとは
RADWIMPSの名曲「オーダーメイド」。色濃い世界観で描かれた歌詞や独特のメロディーラインが特徴の楽曲ですが、いったいどのような想いが込められているのでしょうか。今回はRADWIMPSの楽曲「オーダーメイド」の歌詞について、注目してみました。
日本の人気ロックバンドRADWIMPS
日本を代表する国民的ロックバンドにまで成長したRADWIMPS。
2005年のメジャーデビューから今までその勢いは衰えることなく、常に日本のロックバンドの最前線を突き進む存在でもあります。
彼らが過去にリリースしたヒット曲は長く愛されることが多く、深い歌詞と繊細なメロディーはどれだけ長い月日も越えても名曲として評価される、普遍的な魅力を持っているのです。
RADWIMPS大ヒット曲の一つ『オーダーメイド』
2008年1月23日にリリースされたRADWIMPSのシングル『オーダーメイド』。
この楽曲は、RADWIMPSにとって初となるオリコン週間チャート1位を獲得しました。
RADWIMPSならではの強烈で繊細で独特な世界観が詰まった楽曲で、リリースから10年以上経った今でも名曲の1つとして愛されています。
「アルトコロニーの定理」に収録される
『オーダーメイド』は、2009年3月11日にリリースされたRADWIMPSの通算5枚目のアルバム『アルトコロニーの定理』にも収録されています。
このアルバムはオリコン週間チャートで2位、2009年3月度のオリコン月間チャートでも2位を獲得するヒット作となり、名盤として今でも評価されている作品です。
もともと野田洋次郎は『オーダーメイド』は『アルトコロニーの定理』に収録する必要はないと考えていたようですが、そのことを伝えると周囲から冷たい視線を浴びることになり収録することになったそうです。収録したことについては結果的に野田本人も「よかった」と語っているようで、『おしゃかしゃま』、『謎謎』など他の楽曲も含め名曲揃いのアルバムとなりました。
緩急のあるメロディラインが心を掴む
『オーダーメイド』といえば曲中でガラッと変わるメロディーラインが印象的な楽曲です。
基本的には平坦なメロディーが何度も繰り返されますが、「忘れたい でも忘れない」という歌詞の部分では少し変わって静かですが流れるような美しいメロディーラインに変わります。
そこからまたAメロ部分の平坦なメロディーに戻るというと、独創的でチャレンジャーな構成。
それが最後になると、突然勢いのついたメロディーへと変わる、この意外性に溢れたメロディーラインにはRADWIMPSならではの魅力が詰め込まれています。
平凡なメロディーは一つ間違えればつまらない楽曲にもなってしまいますが、メロディーが平坦だからこそ歌詞が聴きやすく、語りかけるように紡がれる言葉の1つ1つがスッと耳に入ってきます。
そしていざ歌詞に注目してみると、深い歌詞と物語に引き込まれていき、平坦なメロディーでも飽きさせることなく最後まで夢中になって聴き込んでしまいます。
そうした展開があるからこそ突然高鳴るサウンドにより強い衝撃を受け、歌詞の深さだけでなく音楽自体にもしっかり魅力を感じ印象に強く残るものとなるのです。
曲に込められた想いとは
『オーダーメイド』は、主人公と誰かが対話する様子が歌詞に綴られており、輪廻転生がテーマとなっていて対話の相手は神様や自分、彼女ではないかなどさまざまな考察がされています。
この曲に登場するのはいったい誰なのか。その正体は”自分”と”神様”である、と過去のインタビューで野田洋次郎本人は語っていたようです。
”自分”が”神様”と対話し、質問に答えながら自分自身をオーダーメイドして作っていく。普段は考えもしない当たり前の自分の体や命、存在について改めて考えさせられる世界観に惹き込まれます。
きっと僕は尋ねられたんだろう
生まれる前 どこかの誰かに
「未来と過去 どちらか一つを
見れるようにしてあげるからさ
どっちがいい?」
そして僕は過去を選んだんだろう
強い人より優しい人に
なれるように なれますようにと
『想い出』って何だか分かるように
私たちは未来を見ることはできませんが、”記憶”というものを持っています。
つまり、未来は見えないけれど過去は記憶を思い返して見ることができるのです。未来が見えたらいいのに、と思ったり、なぜ未来を見ることができないのかとふと思うことがありますが、それはきっと生まれる前に自分自身で未来よりも過去を見れるように選んだからです。
では、過去は見えないけれど未来が見れるようにしていたら、どうなっていたのでしょうか。
未来が見えることで正しい選択ができたり、新しいことにも恐れずに挑戦することができたりして、強い人間になっていたかもしれません。
しかし、過去が見えるからこそ身に付けられるものがあります。
傷ついた記憶があるからこそ、人の痛みを知って誰かに優しくできることがあります。誰かに愛された記憶があるからこそ、また誰かを愛することができることもあります。
失敗をせずに、恐れずに前に進んでいける強い人よりも、痛みを知って、誰かを思いやり、愛することができる優しい人になれるように、「僕」は過去を選んだのです。
逆に言えば、私たちは過去を記憶に留める事ができ、「想い出」というものを知っているからこそ愛や優しさを知ることが出来るのではないでしょうか。
またまた僕はお願いしたんだ
「恐れ入りますがこの僕には
右側の心臓はいりません
わかままばかり言ってすいません」
僕に大切な人ができて
その子抱きしめる時はじめて
二つの鼓動がちゃんと胸の
両側で鳴るのがわかるように
命をつなぐ大切な心臓。
たとえば心臓が2つあれば、片方が止まってももう1つが動いていれば生きながらえることが出来る、なんてこともあったかもしれません。
それなのになぜ心臓は一つと自分で選んだのか。それは大切な人を抱きしめたときに、その人の鼓動を感じられるようにするためです。
自分の右側で動く鼓動。そのときに改めて、大切な人が今ここで生きていること、その人の温もりを感じることができます。
そうやって大切な人の鼓動を感じることで、一人で生きていくのではなく愛する人とともに生きていきたいと思うことができる。
一つしかない心臓にこうした意味を見出せるその世界観に魅せられてしまいます。
「望み通り全てが
叶えられているでしょう?
だから涙に暮れる
その顔をちゃんと見せてよ
さぁ 誇らしげに見せてよ」
「ほんとにありがとうございました
色々とお手数をかけました
最後に一つだけいいですか?
どっかでお会いしたことありますか?」
「望み通り全てが叶えられているでしょう?」という”神様”の言葉。
これはつまり、これ以上に他に何が不満なのか?という意味にも取ることができます。
私たち人間は、現状に満足せず、あれがあればこれがあれば、あれができればこれができれば、と不満ばかりを思ってしまうことも多くあります。
自分の不幸を生まれてきたこと、その環境、世の中のせいにしてしまうこともありますが、それは的外れなことで、自分自身のことは自分で選んでオーダーメイドして生み出されたのです。
今その姿で生きているそのことの幸せにちゃんと向き合えているのか、そんな厳しくも真っ直ぐな想いが込められているように、私は感じました。
ちゃんと誇らしく生きなさいという言葉は、裏を返せば誰だって誇らしげな顔をして生きていいんだという激励のメッセージなのではないでしょうか。
まとめ
深い歌詞が印象的な『オーダーメイド』ですが、この曲に込められた思いはPVにもたくさん反映されていますので、ぜひPVも合わせてじっくりこの曲を味わうことをおすすめします。
死ぬこと、生まれること、生きること、そうした世界に対する考え方はもちろん人によって異なり、いろんな考え方に対してどれが間違っていてどれが正しいという分類も難しいものです。
しかし、どうして生まれたのか、どうして生きるのか、その理由がどうしても見つからなくて行き詰ってしまうことはたくさんあります。
そうしたときに、この『オーダーメイド』がRADWIMPSの考える生や死の世界観を表現してくれる。それが誰かにとって何かのヒントになり、顔を上げて生きていくことができるようになるきっかけになることだってあるでしょう。