バロック音楽の特徴と有名な作曲家・名曲一覧をご紹介!
「バロック音楽」とは一体いつの時代の音楽のことをいうのか、また、音楽的な特徴はあるのでしょうか?こちらではバロック音楽について、その時代背景や音楽特徴、有名な作曲家についてまとめたほか、今でも「名曲」と言われている曲をご紹介しています。
バロック音楽とは?
バロック音楽とは17世紀はじめから18世紀半ばまでの音楽
クラシックにあまり詳しくなくても「バロック音楽」という言葉は、音楽の授業などで聞いたことがあると思います。しかしバロック音楽がいつの時代の音楽で、どんなものを言うのか、までは忘れてしまった、という方も多いかもしれませんね。
バロック音楽とは、17世紀はじめから18世紀半ばまで、ヨーロッパ(主にイタリアやドイツ)を中心に栄えた音楽のことを言います。ちなみにバロック音楽の前はルネサンス音楽、と呼ばれています。
バロック音楽は主に教会のミサや貴族たちのための音楽でした。初期のころは声楽が主流でしたが、次第にオルガンやクラヴィコード、チェンバロなどの鍵盤楽器をはじめ、ヴァイオリンなど弦楽器も作られるようになり、音楽の幅が広がることで声楽から器楽へと移り変わっていくことになります。
バロックの言葉の由来はポルトガル語の「barocco」
バロック(baroque)、という言葉の由来は「barocco」というポルトガル語だと言われています。
これは「いびつな真珠」という意味があり、それまで主流だった過剰な装飾の建築様式を批判するものとして18世紀に登場した言葉です。
しかしこれはあくまで建築に対するものであり、音楽に対しては、それまでの規律を重んじるような音楽から、速度や強弱に対比をつけるようになった、という意味で「いびつだ」という捉え方をされたのでしょう。
現在ではバロック音楽とは「自由で劇的な感情表現が特徴の」音楽、と定義されます。
バロック音楽の音楽特徴
バロック音楽にさかんに用いられた対位法
バロック音楽の前、ルネサンス音楽時代は「調和」を重んじる傾向にあったため、不協和音の使用には制限があったり、強弱や音楽的な起伏をつくることが非常にやりづらかったところもありました。バロック音楽はこれらから脱却をはかり、「対比法」が進化していくことになります。
特に有名なのが、バッハですね。彼が作曲した「フーガ」などにはこの対比法がよく出てきます。ピアノをある程度習ったことのある方ならバッハのインベンションや平均律を通ってくると思いますが、右手で弾いたテーマがあとから左手のパートに追いかけるように出てくることがあります。あれも対比法の一つの表現方法です。
喜びや悲しみなど感情を表現するようになる
バロック音楽のもう一つの大きな音楽特徴として、たくさんの楽器が作られるようになってより演奏の幅が広がり、器楽曲が増えてきた、ということと、ルネサンス音楽の時代にはなかった、喜怒哀楽を曲に込めるようになった、ということがあげられるでしょう。それらの動きの一つはオペラというジャンルを生み出すことにもなります。
この、人間の感情を音楽で表現するようになった、というのは音楽史において非常に大きな変革だったと言えるでしょう。それまでのルネサンス形式では美しい和音を奏でることはできても独立したメロディーをつくることが非常に難しかったのです。しかしその形式から脱却することで現代の音楽に近いような形で、旋律と伴奏、のような形式が作られることになったのです。
バロック時代の有名な作曲家
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
ヘンデルは1685年生まれ、バロック音楽時代を代表する音楽家の1人です。彼はドイツで生まれましたが、のちにイギリスに帰化しました。
ヘンデルは音楽の教科書などでも目にしたことがあると思います。彼は幼少のころより音楽方面で才能を発揮していましたが、彼の父は法律家になってほしかったために音楽方面の道に進むことは反対していたそうです。しかし父が仕えていたヴァイセンフェルス公爵が彼のオルガンの才能を認めたため、彼は音楽を続けることができました。
ヘンデルは1705年に最初のオペラ「アルミーラ」を上映、成功をおさめています。彼の有名な曲として、『メサイア』『水上の音楽』『王宮の花火の音楽』などがあります。
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
J.S.バッハもまた、バロック音楽の代表的な音楽家の1人で、よく名前を耳にすることも多いでしょう。彼は1685年生まれで、これは上記したヘンデルと同じなのです。バロック音楽の集大成をした、ということで「音楽の父」とも呼ばれています。バッハの作った音楽は、のちのモーツァルトやベートーヴェンなど古典派の音楽へと繋がっていくことになります。
彼は生涯で本当にたくさんの曲を作りました。また彼自身オルガンやチェンバロなど鍵盤楽器の奏者としてもテクニックを認められています。
代表曲には『マタイ受難曲』、『トッカータとフーガ』など、また協奏曲や室内楽曲も多数作曲しています。
しかし彼が偉大な音楽家であることが認められるのは彼の死後大分たってからでした。当時は記録するものがなかったんですね。しかし彼の息子たちやその後のモーツァルトやショパンなど、現代でも有名なピアニストらが彼の音楽を受け継いでいき、「音楽の父」として評価されるようになったのです。
アントニオ・ヴィヴァルディ
ヴィヴァルディは1678年生まれ、ヴェネツィア出身の作曲家。自らもヴァイオリニストで協奏曲を多く作曲しました。彼は作曲家でもありましたが、10歳から教会附属の学校に入り、25歳で司祭になっています。
ヴィヴァルディは司祭業をこなしながらヴァイオリンを教えることもしていました。そのかたわら、作曲もし、数多くのオペラ、500を超える協奏曲を世に送り出しています。古典派に生まれた協奏曲はヴィヴァルディがいたからこそ、とも言われるほどに、古典派の作曲家は彼の形式を模倣しました。
ヴィヴァルディで有名なのは『四季』、12曲のヴァイオリン協奏曲集『ストラヴァガンツァ』、 オラトリオ『勝利のユディータ』などがあります。
ヨハン・パッヘルベル
パッヘルベルは1653年生まれ、ここまでご紹介してきた3人よりは少し前、中期バロックに分類される作曲家であり、優れたオルガン奏者でした。彼は宗教曲など多数作曲、またコラール曲やフーガの発展に大きく貢献した作曲家でもあります。中期バロックを代表する人といってもいいでしょう。
パッヘルベルの代表曲は『パッヘルベルのカノン』です。こちらは後述しますが、タイトルでピンとこなくても聴けばおそらく多くの方が聴いたことがある!という曲です。また、『コラール変奏曲集』『コラール前奏曲集』など、コラール編曲も多く行ってきました。
バロック時代の名曲一覧
『四季』/ ヴィヴァルディ
ヴィヴァルディの『四季』というのは、彼が作曲したヴァイオリン協奏曲の『和声と創意の試み』におさめられている『春』『夏』『秋』『冬』の総称で、ヴィヴァルディ自身がそう呼んでいたわけではありません。
おそらく学校の授業などで習った、聴いた、という方は多いでしょう。『春』はとても春らしく穏やか、また、『秋』はどこかさびしげで、『冬』は凍てつく寒さを、それぞれ季節ごとに分かるように音楽で表現しており、まさに「バロック音楽の代表」ともいえるべき楽曲です。
『水上の音楽』/ ヘンデル
『水上の音楽』はヘンデルの代表曲です。弦楽器、そしてオーボエやトランペット、フルートなどふんだんに楽器を使った曲で、こちらもバロック音楽の代表として音楽の教科書などにのっていることが多いですね。
この曲は1717年、舟遊びの際に演奏された、と言われています。なんとも優雅で、まさに、貴族のための音楽、といった感じがしますね。
『トッカータとフーガ』/ バッハ
タイトルでピンとこなくてもこの出だしの部分を聴けば、おそらく知らない方はいないのではないか、と言えるほどに、有名な曲です。
オルガンで弾かれるこの重厚かつ荘厳、ドラマチックな曲は、現代でも人気が高く、よく演奏されている曲でもあります。またこの重厚さはクラシックだけでなく、シンフォニックメタルなどにも影響を与えている、そんな気もしますね。
『小フーガト短調』/ バッハ
こちらも、バッハの代表曲の1つ。対比法がよく表れている、わかりやすい楽曲です。
オルガンで弾くほうが荘厳さが出ますが、ピアノ楽譜も出ていますので興味がありましたら是非、チャレンジしてみてください。
『パッヘルベルのカノン』/ パッヘルベル
『パッヘルベルのカノン』はかなりポピュラーですよね。現在ではさまざまなアレンジで親しみやすい感じになっています。卒業式など、「式」のBGMなどに使われることも多い曲ですね。
本来は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』の第1曲目、なのですが、『パッヘルベルのカノン』として親しまれています。
バロック音楽の特徴や作曲家などまとめ
今回はバロック音楽について、その時代背景や期間、音楽特徴や有名作曲家、有名な曲などについてわかりやすくまとめました。
バロック音楽、というと堅苦しいイメージもありますが実はそうではなく、現代音楽に通じる基礎を作ったものなんですよね。上にご紹介した以外にもたくさんの曲がありますので、是非聴いてみてください。