福岡に伝わる民謡「炭坑節」の歌詞や意味をご紹介!
「炭坑節」と聞いてピンとくる人はいるでしょうか?その歌詞とメロディーを聞けばきっとわかるはずです。盆踊りの定番曲でもあります!また、すべての歌詞を知っている人は少ないでしょう。ここでは「炭坑節」が生まれた場所や全国に流行した理由を解説しています!
福岡に伝わる日本民謡「炭坑節」
「炭坑節」はその名の通り、炭坑労働者によって歌唱されたことが発祥です。九州の福岡県、田川市で生まれた音楽です。『月が出た出た月が出た』の歌詞を聞けば、「どこかで聞いたことがある」と思う人もいるでしょう。
「炭坑節」は、現在では盆踊りの曲として幅広く知られています。ではなぜ、炭坑で歌われていた曲が全国に広がっていったのでしょうか。
「炭坑節」のメロディーと歌詞を普及させた立役者たち
まず重要なことは、座敷歌のレコードが戦前に普及したことです。流行の発信地、東京で炭坑節が流行してそれから節回しが変わってゆき、盆踊りとして広く全国に広まってゆきました。
また、その当時の人気歌手が歌ったことも大きな流行の要因でしょう。
- 赤坂小梅
- 日本橋きみ栄
- 美ち奴
- 音丸
この四人はそれぞれ違うレコード会社で、「炭坑節」を流行歌や座敷歌として歌唱しました。どの歌もヒットを記録して、全国に広まることとなります。
歌詞が現代に定着するまで
また、その後も「月が出た出た」という歌謡曲もヒットしてさらに「炭坑節」は普及してゆきます。
その後も、三橋美智也という昭和歌謡界の人気歌手によって歌われたので、よりいっそう全国的にこの歌は広まりました。
そこで多くの人が、「月が出た出た 月が出た」という歌詞を知るきっかけになったのです。
「炭坑節」の歌詞の種類
炭坑とひとくくりに言っても、仕事の分野は様々です。運搬係の人や、ダイナマイトを仕掛ける人。運ばれた石炭からゴミくずを取り除く人といった、細かく分かれています。
そういった、分野の違いによって歌詞も節回しも変わってゆきます。そこが炭坑節の興味深いところです。
ゴットン節 | 運搬係 |
石刀唄 | ノミで岩盤に穴を開けてダイナマイトを仕掛ける係 |
南蛮唄 | 炭坑内の水を、くみだす掛かり |
選炭唄 | 石炭からクズを取り除く女性作業員 |
このようにそれぞれが役目を果たし、仕事の区分けをして歌を変えていたようです。一種の労働歌でもあり、気持ちを一つにまとめて仕事を行っていくという重要な役割を「炭坑節」は持っていたのでしょう。
「炭坑節」の歌詞
月が出た出た 月が出たヨイヨイ
三池炭坑の 上に出た
あまり煙突が 高いので
さぞやお月さん 煙たかろ
サノヨイヨイ
あなたがその気で云うのならヨイヨイ
思い切ります 別れます
もとの娘の 十八に
返してくれたら 別れます
サノヨイヨイ
お礼を枕に 寝るよりもヨイヨイ
月が射し込む バラックで
主の腕に ホンノリと
妾しゃ抱かれて 暮らしたい
サノヨイヨイ
一山 二山 三山 越えヨイヨイ
奥に咲いたる 八重つつじ
なんぼ色よく 咲いたとて
サマチャンが通わにゃ あだの花
サノヨイヨイ
歌詞の意味として、不思議なところがあります。炭坑節という名前の歌ですが、「三池炭坑」という具体的な炭坑の名前が出る以外、2番の歌詞からは炭坑には関係が無さそうです。
一説によると、これは当時の「春歌(しゅんか)」であったという説があります。春歌とは、艶歌(つやうた)、情歌(じょうか)とも呼ばれ性的な描写がある歌とされています。
ですが、「炭坑節」については「春歌」であるという明確な根拠はありません。その一方で、艶っぽい歌詞であるので諸説あります。
「炭坑節」まとめ
「炭坑節」は、かつては炭坑労働者にとって気合を入れて働くための歌でしたが、現在では盆踊りの定番曲。多くの人にカバーソングとして発表される楽曲となりました。
福岡県の田川市では、市内の時報として「炭坑節」が使われているようです。それだけ多くの人々に親しまれている曲といえるのでしょう。