オーケストラの配置って決まってるの?連携が計算された配置ご紹介
美しい音楽を私たちに届けてくれるオーケストラ。バイオリン、チェロ、フルート、トランペットなど様々な楽器が使われています。オーケストラの楽器の配置には実は意味があります。今回はそのオーケストラの楽器の配置について紹介します。
観客を魅了するオーケストラ
みなさん、オーケストラの演奏を聴いたことはありますか。
オーケストラ「orchestra」とは、「管弦楽」ともいい、管楽器、弦楽器、打楽器による大規模な演奏のことを指します。
バイオリンやチェロ、フルート、トランペット、ティンパニなど、様々な楽器が集まって奏でる演奏は、心地よく実に美しいものです。
オーケストラの歴史
オーケストラという名前は、ギリシャ語に由来します。
古代ギリシャには、円形の劇場があり、その中央で歌や踊りをしました。
歌といってもオペラではなく、テキストを詠むといったのものでした。
その中央の歌や踊りをする場所が、「オーケストラ」と呼ばれていたのです。
今でもその遺跡は残っており、エピダウロスの遺跡は円形劇場の形がよく残っていると有名です。
この頃の楽器は、ライアーやキタラといった竪琴のような形の楽器や、アウロスと呼ばれるダブルリードの木管楽器など、現代の楽器の始まりとなる楽器が使われていました。
しかし、まだまだ合奏と言えるものはありませんでした。
ルネサンス期を経て、楽器はどんどん発展していき、リコーダーと呼ばれる縦吹きのフルート、バイオリンの仲間、ラッパの形をした金管楽器が作り出されていきます。
合奏という形が見られるのようになったのは、16世紀のルネサンス期からバロック期におけるヴェネツィア楽派のころからです。
ヴェネツィア楽派では、教会音楽において、合唱隊と金管楽器、弦楽器、オルガンの大規模な演奏が行われました。
また、17世紀〜18世紀のバロック時代には、器楽音楽が発展し、楽器の楽器の奏法が生み出さたり、新しい器楽の形式が作り出されたりしていきます。
ようやく合奏という形式が作り出されてきます。
モンテヴェルディは、オペラ「オルフェオ」で、器楽合奏を伴奏に使い、管弦楽の基礎を作り出しました。
また、コレッリの教会ソナタ、室内ソナタ、ヴィヴァルディの協奏曲など、合奏協奏曲の形の音楽や管弦楽組曲、序曲のような形の音楽が生まれました。
オーケストラの形として発展したのは、モーツアルトやベートーベンなどの古典派の時代です。
交響曲や協奏曲、オペラの伴奏として用いられました。
ロマン派以降、管楽器や打楽器が増え、現在の編成になりました。
オーケストラの編成
オーケストラで使われる楽器は以下のようです。
1、弦楽器
・バイオリン(1st、2nd)
・ビオラ
・チェロ
・コントラバス
2、木管楽器
・フルート、ピッコロ
・オーボエ
・クラリネット、バスクラリネット
・ファゴット
・イングリッシュホルン(コールアングレ)
3、金管楽器
・トランペット
・ホルン
・トロンボーン
・チューバ
4、打楽器
・ティンパニ
・バスドラ
・スネア
・シンバル
など
管楽器は2管編成が多く、3管以上は非常に大きな編成となります。
管楽器と打楽器(コントラバスも使われることがありますが)の演奏は「吹奏楽」と呼ばれます。
少人数の弦楽器、管楽器などで編成されたものは、「室内楽」と呼ばれます。
オーケストラの奏者の配置には決まりがあるの?
基本的な配置はあります。
時代、曲によって配置も変わりますが、その配置によってオーケストラの音が変わってきます。
古典的な配置
対向配置とも呼ばれます。
図を見ると、1stバイオリン、2ndバイオリンが向き合った配置になっています。
チェロとビオラの位置も現在の配置と違っています。
この配置だと、それぞれのパートが交互に掛け合い、アンサンブルを楽しむことができます。
同時に、向かい合い、距離があるので、アンサンブルがしにくいとう難点もあります。
うまいオーケストラでないと演奏が難しい配置になります。
新しい配置(大きな交響楽団)
19世紀以降の配置です。
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者が始めたと言われています。
図を見ると、1stバイオリン、2ndバイオリンの位置が隣り合っているため、アンサンブルがしやすい配置になっています。
左から右に向かって、高音から低音に並んでおり、各パートがお互いの音を把握しやすいという良さがあります。
その他の配置
チェロとビオラの位置が反対になっている配置もあります。
弦楽器が1stバイオリン、2ndバイオリン、チェロ、ビオラの順に並ぶ配置です。
音量が小さいビオラが全面に来ることでバランスが良くなっています。
この配置だと各声部が響き合い良い音響となりますが、全体がぼやけてしまうというデメリットもあります。
配置の決め手は、楽器の音量と高さです。
楽器の音量が小さい楽器は、複数人で前方に配置します。
楽器の音量が大きい楽器は、後方に配置します。
また、高音の楽器は遠くまで聞こえにくいため、低音より人数が多く、前方に配置します。
低音の楽器は遠くまで聞こえるため、高音より人数が少なく、後方に配置します。
代表的なオーケストラ楽団ご紹介
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
有名なオーケストラといってまず思い浮かぶのが、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団です。
オーストリアのウィーンに拠点を置くオーケストラです。
オーケストラの配置は、1stバイオリンと2ndバイオリンが向かい合う対向配置です。
1stバイオリン、チェロ、ヴィオラ、2ndバイオリンの順に配置され、コンロトラバスは金管の後ろにずらりと並びます。
ウィーンのセンスが輝く伝統ある演奏を聴くことができます。
毎年1月1日には、ニューイヤーコンサートが開かれます。
ホールで聴けなかった場合は、市庁舎の前の大型スクリーンで見ることができます。
元旦にウィーンに行った時は、生演奏や大型スクリーンの演奏を聴いてみてください。
日本でも中継を見ることができます。
ベルリンフィル
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団は、ドイツのベルリンを拠点に置くオーケストラです。
1882年に発足。
ブラームスやマーラー、リヒャルトストラウス、グリーグといった作曲家も自ら指揮を振った、歴史あるオーケストラです。
1955年〜1989年には、ヘルベルト・フォン・カラヤンが常任指揮者を勤めました。
カラヤンは録音活動を盛んに行い、ベルリンフィルハーモニーに名前を広く知らしめました。
毎年12月31日には、ジルヴェスターコンサートと呼ばれる恒例のコンサートが開かれます。
また、6月にはヴァルトビューネと呼ばれる野外コンサートも行われます。
ベルリンを訪れたときには、聴いてみたいコンサートです。
日本にもよく来日をするので、ぜひチケットを入手してみてください。
ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
イギリスのロンドンに拠点を置くオーケストラです。
1904年に発足。
1904年〜1911年までハンス・リヒターが指揮者となり、楽団を作り上げました。
1987年〜1990年には、国際的音楽家レナード・バーンスタインが総裁となっています。
ロンドンのオーケストラの面白いところは、クラシックだけでなく、映画音楽やポピュラー音楽の演奏もするところです。
映画「スター・ウォーズ」の音楽も演奏しています。
パリ管弦楽団
フランスのパリに拠点を置くオーケストラです。
1967年に発足。
初代指揮者はシャルル・ミュンシュです。
その後、ヘルベルト・フォン・カラヤン、サー・ゲオルグ・ショルティ、ダニエル・バレンボイムなど、有名な音楽家・指揮者に率いられてきました。
パリ8区のコンサートホール、サル・プレイエルで活動を行なっていましたが、サル・プレイエルが買収されたこともあり、現在はパリ19区のフィラルモニ・ド・パリで活動を行なっています。
NHK交響楽団
「N響」の愛称で親しまれている、日本のオーケストラです。
その歴史はなんと大正15年から。
大正15年に新交響楽団としてスタートし、その後1942年に財団法人日本交響楽団と名前を変え、1951年からは現在の財団法人NHK交響楽団という名称に変わりました。
シャルル・デュトワやウラディミール・アシュケナージなど世界的に有名な音楽家が指揮者・音楽監督として就任しています。
また、客演指揮者もカラヤンや小澤征爾など、有名な指揮者がNHK交響楽団で指揮を振っています。
日本の演奏も世界には引けを取らない演奏なのです。
NHK
交響楽団の演奏は、テレビでも見ることができます。
生演奏が聞きたい方は、東京のNHKホールやサントリーホールの他、各地でも定期演奏会を行なっていますので、ぜひ聴きに行ってみてください。
まとめ
聴いていると心地よく、ときには激しく心に響くオーケストラの音楽。
美しいサウンドを作るために、各楽器の配置は欠かせません。
意図的な配置が成されています。
また、日本や世界には多くのオーケストラがあり、テレビやCDなどを通してだけでなく、生で演奏を聴く機会もたくさんあります。
ぜひ、機会があれば、生の演奏も聴いてみてください。