「悪魔が発明した楽器」の異名を持つ「バンドネオン」ってなに?

バンドネオンをご存知でしょうか?バンドネオンは、タンゴには欠かせない楽器で、アコーディオンによく似ています。この記事ではバンドネオンとはどのような楽器なのか、「悪魔」と呼ばれる理由や、世界中で活躍するバンドネオン奏者の情報を紹介します。

記事の目次

  1. 1.バンドネオンとは
  2. 2.「悪魔が発明した楽器」と言われるほど演奏が難しい
  3. 3.有名なバンドネオン奏者
  4. 4.バンドネオンのまとめ

「悪魔が発明した楽器」と言われるほど演奏が難しい

音階の違い

バンドネオンが「悪魔が発明した楽器」と言われる理由は、ジャバラを縮めたときと伸ばしたときで発する音階が違うからです。「レ」の音を鳴らすつもりでボタンを押しながら縮めると、伸ばしたときには「ド」に変わります。また、左右で聞こえてくる音にも違いがあるため、はじめにその法則をマスターする必要があります。

意外と重い

バンドネオンの重さはおよそ7kgといわれています。アコーディオンは2~15kgほどですから、それほど変わらないように思いますね。しかし、アコーディオンはベルトを使って肩に担げますが、バンドネオンは手だけで楽器を支えるため重みがダイレクトに伝わります。
 

音が大きい

バンドネオンは、ジャバラの楽器の中では中型サイズに位置づけられています。それほど、大きくはないのです。そのサイズ感とは裏腹に発する音が大きいことも、「悪魔」と呼ばれる理由のひとつだと言われています。大きい音が出せる要因は、アコーディオンに比べてジャバラ部分が長いことと、両手を使って演奏できるところにあります。

有名なバンドネオン奏者

バンドネオンは演奏技術の取得が難しいことと、全体の生産数の少なさもあり、奏者が少ないのが現状です。その中でも、世界中で活躍しているバンドネオン奏者を紹介します。

三浦一馬

1990年生まれの三浦一馬さんは、小松亮太さんらを師に持つバンドネオン奏者です。2008年にイタリアで開かれたコンクールでは、日本人として最年少で優勝を果たし、翌年の2009年にはタンゴミュージカルのオープニングアクトを勤めました。関西フィルハーモニー交響楽団などと共演したのち、自身のオーケストラ団体「東京グランドソロイスツ」を立ち上げて、今日に至っています。

小松亮太

前出の三浦一馬さんを弟子に持つ小松亮太さんは、1987年に独学でバンドネオンを習得された、日本における第一人者ともいえる方です。タンゴの演奏者としても知名度が高く、アルゼンチンをはじめ世界中で活躍されています。NHK交響楽団や葉加瀬太郎など、日本のミュージシャンとの共演や楽曲を提供しているほか、「ムコ多糖症」のチャリティー活動を行うなど幅広い活動も注目ポイントです。

小川紀美代

小川紀美代さんは、数少ない女性のバンドネオン奏者です。2003年にはアルゼンチン最大の音楽祭に、日本人代表として参加されています。タンゴだけでなく、ジャズなどのアーティストと共演したり、日本企業のCM曲を手がけたり、若手奏者の育成などその活動は多岐に渡ります。

ネストル・マルコーニ

1942年アルゼンチン生まれのネストル・マルコーニは、作曲家を目指しての勉強中にバンドネオンと出会います。ピアノの演奏法をもとにバンドネオンの奏法を独学で習得した彼は、最高のテクニシャンとも呼ばれています。2010年には日本人奏者、三浦一馬さんと共演されました。

アストル・ピアソラ

バンドネオンを語る上で、アストル・ピアソラは欠くことのできない人物です。バンドネオンの奏者でありながらタンゴの作曲家としての顔も持っており、とくに「ブエノスアイレスの四季」は、人気の高い曲のひとつです。1992年にその生涯を閉じましたが、現在でもその功績は色あせることなく語り継がれています。

バンドネオンのまとめ

Photo byKotaroBlog

悪魔が発明したというと、禍々しい印象を持つ人もいるかと思いますが、バンドネオンはとても素晴らしい楽器です。一度聴けば魅了されることでしょう。日本においてはなじみが薄く、見かける機会が少ないですが、これをきっかけに興味を持っていただけたら幸いです。

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