世界三大ピアノ?日本・世界のピアノメーカーついてご紹介!【価格/種類】
世界三大ピアノ、聞いたことがありますか?ピアノを製造しているメーカーは数多くあります。日本ではヤマハやカワイが有名ですね。
ここでは、世界三大ピアノブランドといわれる最高級のピアノメーカーと、日本や世界のピアノメーカーについてご紹介します。
ピアノのメーカー
ピアノは、イタリアの楽器製作家、バルトロメオ・クリストフォリ(1655~1731)によって発明されました。
ピアノの起源はイタリアですが、その後、オーストリア、フランス、ドイツなどに製造の中心地が移っていきます。
ピアノメーカーは、皆さんが想像されている以上に数多くあります。
ここでは、世界三大ピアノブランドと、高品質で人気のある日本・世界のピアノメーカーについてご紹介します。
ピアノの種類は複数ありますが、この記事でピアノとは、グランドピアノとアップライトピアノの2種類を指すことにします。
世界三大ピアノ
世界三大ピアノというのは、数ある世界のピアノメーカーの中で、特に歴史や由緒、名音楽家らにより絶大の信頼と評価を得てきた最高級のピアノブランドのことを指します。
世界三大ピアノは、以下のとおりです。
- スタインウェイ&サンズ
- ベーゼンドルファー
- ベヒシュタイン
スタインウェイ&サンズ
1853年にヘンリー・スタインウェイによって創業された、アメリカの世界最大級の総合楽器メーカーです。
世界で人気のピアノメーカーランキング第1位です。
スタインウェイといえば、濁りのない音が特徴です。
高音は繊細かつクリアに、低音は力強く温かみのある響きで、中でも、pp(ピアニッシモ)の、か細くクリアで艶やかな音色は目を瞠るものがあります。
タッチが軽く、鍵盤を叩く力が直接ハンマーに伝わりやすい構造になっているため、ピアニストの指の動きがそのまま音色に反映されます。
多くの音楽機関や有名コンサートホールのほとんどで使用されており、特にスタインウェイのフルコン(フルコンサートグランドピアノ D-274)は、ピアノの最高峰と言われています。
- 濁りのないクリアな音色
- ピアニストの指の動きがそのまま音色になる
- フルコン(D-274)はピアノの最高峰
ベーゼンドルファー
ベーゼンドルファーは1828年にイグナーツ・ベーゼンドルファーにより創業された、音楽の都、オーストリアのピアノメーカーです。2007年に日本のヤマハの子会社になりましたが、創業当初からずっと手造りにこだわり生産されています。各国の王室や皇室でも愛用されています。
オーケストラを思わせる響き「ウィンナー・トーン」が特徴で、打鍵した後の持続音が長く、また柔らかく多彩、暖かい音色が魅力です。
pp(ピアニッシモ)はあたかもピアノがささやいているかのような印象を与えるほどで、「至福のピアニッシモ」ともいわれています。
また、ピアノ全体が共鳴するため、柔らかく美しい響きになります。
コンサート用のグランドピアノ(モデル290インペリアル)として、97鍵という8オクターブを備えたインペリアル・グランドがあることでも有名です。
ベートーヴェン国際ピアノコンクールでは、使用ピアノがベーゼンドルファーのみに限定されています。
- オーケストラを思わせるようなウィンナートーン、至福のピアニッシモ
- ピアノ全体が共鳴することによる柔らかく美しい響き
- 97鍵(8オクターブ)を備えたインペリアル・グランド
ベヒシュタイン
ベヒシュタインは1853年にカール・ベヒシュタインにより創業された、ドイツのピアノメーカーです。
ベヒシュタインのピアノは「ピアノのストラディバリウス」とも呼ばれます。
音の透明感や響きの強さが特徴で、フランツ・リストやクロード・ドビュッシーなどに絶賛されてきました。
音色変化に富み、多彩で純度の高いピアノサウンドが得られ、あらゆるジャンルの音楽に対応できます。
輪郭のはっきりした音に、美しくみずみずしい音の透明感が加わることで素晴らしい響きを生み、旋律や対旋律、伴奏、ベースなどの各パートをはっきりと分離させて演奏できます。
表現しやすいタッチとクセの無い音色は、演奏者の個性を最大限に演出してくれます。
- ピアノのストラディバリウス
- 透明感のある音色と響きの強さ
- 輪郭のはっきりした音に、みずみずしい音の透明感が加わることで素晴らしい響きになる
世界のピアノメーカー
ここからは、世界三大ピアノを除く、世界のピアノメーカーをご紹介します。
ファツィオリ
ファツィオリは1979年にパオロ・ファツィオリにより創業された、イタリアの高級ピアノメーカーです。
グランドピアノを専門としています。すべて熟練した職人による手造りです。
きらびやかで透明感のある上品な音色が特徴で、強く叩いてもタッチが快適です。
全部の音域が均質なので、珍しいピアノと言えます。
ピアノメーカーとしては比較的新しいメーカーですが、国際ピアノコンクールの公式ピアノとして認定され、目覚ましい活躍をするようになりました。
世界市場で最大クラスのコンサートグランドピアノ(モデルF308)は有名です。
一般には定価販売されておらず、値段はスタインウェイ並みで高額です。
- きらびやかで透明感のある上品な音色と快適なタッチ
- 値段はスタインウェイ並み
- 国際ピアノコンクールの公式ピアノ
ボールドウィン
ボールドウィンは1873年に音楽教師のドワイト・ハミルトンによって創業された、アメリカの鍵盤楽器メーカーの一つです。現在は、 アメリカ最大の楽器製造業者ギブソン・ギター・コーポレーションの子会社です。
アメリカではスタインウェイと肩を並べる伝統あるメーカーです。
良質の無垢材を豊富に使った堅牢な造りで、太い音で非常に良く鳴ります。
明るい音色が特徴で、タッチに敏感に響くので弾きやすいピアノです。
世界で人気のピアノメーカーランキング第2位です。
フルコンは、「スタインウェイとベーゼンドルファーの良いところをかけ合わせたようなピアノ」といわれます。
アップライトピアノの価格は中古で6万~54万円程度、グランドピアノの価格は中古で350万円程度です。
- 太い音でよく鳴り、明るい音色
- タッチに敏感に響く
- フルコンは、スタインウェイとベーゼンドルファーの良いところをかけ合わせたようなピアノ
ペトロフ
ペトロフは1864年にアントニン・ペトロフによって創業された、チェコの老舗ピアノメーカーです。手造りにこだわった純ヨーロッパ製で、伝統的なヨーロッパ製ピアノだけが持つ音色や響き、デザインや木目の美しさ、長い寿命を持つ魅力的なピアノです。
音色、性能ともに抜群ながら、スタインウェイなどの最高級ピアノの1/3の値段で入手できるということで、隠れた人気があります。
高音は教会の鐘やハンドベルのように優しい音色で、タッチはしっかりとしています。
アップライトピアノの価格は120万~160万円程度で、グランドピアノの価格は320万~580万円程度です。
- 純ヨーロッパ製の魅力的なピアノ
- ベルのように優しい音色
- 価格は最高級ピアノの1/3程度
ザウター
ザウターは1819年に、ヨハン・グリムによって創業された、ドイツの老舗ピアノメーカーです。
現存するピアノメーカーとしては最も古い歴史を持つメーカーです。
明るく開放的な音色と美しい響きが特徴です。
1台ごとに個性があり、ウィーン発祥ゆえのウィンナートーンに、弾き手の気持ちに応えてくれるダイナミクスの広さ、ダンパーペダルを使ったときに表情が変化する魅力があります。
アップライトピアノの価格は150万~350万円程度、中古だと75万円~100万円程度、グランドピアノの価格は600万~800万円程度です。
- 最も古い歴史を持つメーカー
- 明るく開放的な音色と美しい響き、ウィンナートーン
- ダンパーペダルによる表情の変化が魅力
スタインウェイ&サンズ
メーカーの概要等は上でご紹介しましたが、ここでは第2ブランドについてご紹介します。
ボストン
スタインウェイの監修により、カワイの工場でOEM生産されています。
ヨーロッパ、アメリカを中心に世界中でミドルクラスのピアノとして高く評価されています。
華やかな音色が特徴で、タッチは軽快です。
響きは、スタンウェイよりもすこしまろやかでバランスがとれています。
中価格帯のラインナップで人気を集めています。
アップライトピアノの価格は97万~160万円程度で、グランドピアノの価格は200万~400万円程度です。
- スタインウェイの第2ブランド
- 華やかな音色、軽快なタッチ、バランスのとれた響き
- 中価格帯のラインナップで人気
日本国内ピアノメーカー
ここからは、日本のピアノメーカーについてご紹介します。
ヤマハ
1897年に山葉寅楠により創業された、世界最大の総合楽器メーカーです。
2007年には、ベーゼンドルファーを買収し傘下に治め、超高級ピアノのブランドを手に入れました。
世界シェア第1位、世界で人気のピアノメーカーランキング第3位です。
クリアで華やかな音色、歯切れよく響き、タッチは軽めです。
効率的に大量生産しながらも高品質です。耐久性にも定評があります。
フルコン(CF3)は世界の主要コンクールに公式ピアノとして認定され、一流のピアニストからの評価も高いです。
アップライトピアノの価格は60万円~240万円程度、グランドピアノの価格は100万~145万円程度です。
- 世界シェア第1位
- クリアで華やかな音色、歯切れのよい響き、軽めのタッチ
- フルコンの「CF3」は世界の主要コンクールの公式ピアノ
カワイ
1927年に川井浩一が設立したピアノメーカーです。
世界シェア第2位、世界で人気のピアノメーカーランキング第4位です。
スタインウェイの第2ブランド(ボストンピアノ)のOEM生産も行っています。
デジタルアコースティックピアノにも定評があり、最高品質の幅広いピアノを生み出すことで知られています。
以下に主なブランドをご紹介します。
カワイ
クラシカルで優しい音色、特に低音部は太いズシンとした重厚な響きが特徴で、タッチは、ヤマハより少し重いです。
フルコン「EX」はショパンコンクールの公式ピアノとして、また、フルコン「SK-EX」も各著名コンクールの公式ピアノとして認定されています。
アップライトピアノの価格は50万~155万円程度、グランドピアノの価格は115万~350万円程度です。
ディアパソン
大橋幡岩氏の設計思想を継承しています。
低音も伸び、高音もよく鳴ります。
透明感のある純粋な音色が特徴で、繊細で豊かに表現できます。
アップライトピアノの価格は115万~140万円程度で、グランドピアノの価格は180万~370万円程度です。
- 世界シェア第2位
- カワイピアノの音色はクラシカルで優しく、低音部は重厚に響く
- ディアパソンピアノは大橋幡岩氏の設計思想を継承し、音色は透明感があり純粋
東洋ピアノ製造
1948年に石川隆巳氏大谷藤四郎氏によって創業された、老舗ピアノメーカーです。
グランドピアノを製造できる国内メーカーのうちの一つで、ヤマハ、カワイに次ぐ第3のメーカーです。
生産規模は大手メーカーと比較すると小さいですが、手造りピアノに注力し、独自の技術を持って生産しています。
以下に主なブランドをご紹介します。
アポロピアノ
アポロピアノはアップライトピアノに力を入れているブランドです。
アップライトピアノのタッチはレスポンスが良く、グランドピアノのような、艶がある豊かな、深く響く音色が特徴です。
一方、グランドピアノも音色が美しく、音の表情をしっかりと伝えられる作りになっています。
音も滑らかで、音色に表情をつけることができます。
アップライトピアノの価格は80万~120万円程度、グランドピアノの価格は120万~330万円程度です。
フリッツ クーラー
1960~70年代に出していたブランドです。
現在は中古でしか入手できませんが、とても品質の良いピアノが残っており、ベヒシュタインなどピアノの御三家にも劣らない名器という評価もあります。
伸びが良く柔らかい音色が特徴です。
タッチの反応の良さには定評があり、鍵盤を弾いた感触と、ピアノが奏でる音のマッチングが絶妙で、気持ちよく弾けます。
アップライトピアノの値段は中古で15万~80万円程度です。
- ヤマハ、カワイに次ぐ第3のメーカー
- アポロピアノのアップライトピアノの音色は、グランドピアノに近い
- フリッツ クーラーのピアノは、ピアノの御三家に並ぶほどの名器
シュベスター
1929年に松崎妙氏、松川賢一氏、小原太作氏らによって創業された、日本で3番目に古いピアノメーカーです。
創業当初からすべて手造りにこだわり、完全受注生産されています。
繊細で艶のある音色、豊かな音の伸び、演奏者の思いのままに得られる音色の変化の幅のひろさが特徴です。
アップライトピアノの値段は100万~200万円程度、中古だと35万円~です。
グランドピアノの値段は300万円台、中古だと118万円~です。
- 日本で3番目に古いピアノメーカー
- 完全受注生産
- 繊細で艶のある音色、豊かな音の伸び
大橋ピアノ
1958年に「昭和の名工」大橋幡岩氏によって創業された、国産最高水準の手造りピアノメーカーです。
廃業するまでの37年間で、アップライトピアノは4639台、グランドピアノは数十台生産されました。
現存する状態の良いモデルが少ないため、「幻のピアノ」といわれています。
透明感のある純粋な音色に、深く響く重厚な音色、繊細なタッチから、「和製ベヒシュタイン」ともいわれています。
ピアノの御三家であるベヒシュタインなどのグランドピアノにひけを取りません。
アップライトピアノの価格は中古で40万~70万円程度、グランドピアノの価格は中古で400万円程度です。
- 和製ベヒシュタイン
- 幻のピアノ
- 透明感のある純粋な音色、深く響く重厚な音色、繊細なタッチ
最後に
いかがでしたか?
もう製造が終了しているメーカーのピアノや廃業してしまっている会社のピアノなどは、中古でしか手に入りませんが、中古市場には国産ピアノがたくさん出回っています。品質の良いピアノを低価格で求められるのは中古の魅力です。
また中古ピアノを選ぶ際には、製造番号も確認するようにしてください。製造番号からいつ製造されたピアノなのか、またその価値もわかります。各メーカーから製造番号と製造時期の一覧が公開されていますので、中古ピアノを選ぶ際の参考にしてください。