【元ちとせ】奄美から送る『ワダツミの木』で大ヒット!込められた想いと意味を徹底考察!

ワダツミの木は元ちとせの1stシングルであり、新人アーティストとしては異例のロングヒットとなりました。歌詞を担当した上田現は肺がんにて2008年に逝去しています。今回はワダツミの木の歌詞の込められた思いについて考察していきます。

記事の目次

  1. 1.独創的な歌詞や歌声が魅力の奄美大島出身のベテラン歌手、元ちとせ
  2. 2.幻想的な歌詞、世界観で大ヒットとなった『ワダツミの木』
  3. 3.故上田 現氏が『ワダツミの木』の歌詞に込めたもの
  4. 4.『ワダツミの木』は愛の歌だった!歌詞の考察
  5. 5.まとめ

ワダツミの木の歌詞は非常に難解であり、ネット上でも様々な憶測が流れています。

正解を決めるのは野暮な事ですし、色々な解釈が出来る曲だと思っています。一つ言えるは『ある女性』が『あなた』を想う愛の歌だという事です。自分なりの解釈で歌詞を考察していきます。

赤く錆びた月の夜に
小さな船をうかべましょう

うすい透明な風は
二人を遠く遠くに流しました

冒頭は、月の夜に二人が船に乗り、旅立つ場面から始まります。月があるという事はここが現世である事を示しています。

船は二人を陸地から遠く離れた場所に運びます。”うすい透明な風”と表現していますが、風は元から見えるものではありません。ここで表現される風とは、現在から未来へ進む時間の意味だと思っています。

どこまでもまっすぐに進んで

同じ所をぐるぐる廻って

二人はまっすぐに進んでいるはずが、ずっと同じところを廻っています。いつしか二人は現世ではない違う世界に迷い込んだのではないでしょうか?この船は輪廻転生、つまり二人の魂を運ぶ役目を果たしているのかもしれません。

星もない暗闇で
さまよう二人がうたう歌

波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて

二人が違う世界に迷い込んだ事を裏付けるように、赤く錆びた月はなくなり、星のない暗闇の世界が広がります。

灯りのない暗闇の中、波の音だけが響いています。静寂が広がれば、手掛かりがみつかるかもしれません。現世に帰る術を探す為、波に向かって『声をひそめて』と願っているのでしょうか。

私の足が海の底を捉えて砂にふれたころ

長い髪は枝となってやがて大きな花をつけました

1題目では船に乗っていた『私』は、2題目では海の中にいます。『足が海の底を捉えて』と表現している部分は重要だと思っています。

『捉える』とは”捕まえる”、”しっかりとつかむ”という意味があるからです。つまり『私』は自ら海の底を目指した事になります。

タイトルに出てくる『ワダツミの木』ですが、本来の名前はワタツミであり、日本神話においては海の神様と言われています。ご利益は航海安全、水難除け等が挙げられます。

つまり『私』は『あなた』を助ける為に、自ら海の底に向かい、神であるワダツミの木となったのです。足は根となり、髪の毛は枝となり、大きな花を咲かせます。

ここにいるよ、あなたが迷わぬように
ここにいるよ、あなたが探さぬよう

ワダツミの木となった『私』は『あなた』が暗闇の中で迷わぬように、大きな木となり道しるべとして”ここ”に留まります。

『あなた』はワダツミの木を目印にして現世に戻れると分かった時、『私』と一緒に戻るつもりでしょう。しかし『あなた』は『私』が神になった事は知りません。神になった以上、二人の住む世界は異なりますから、もう会う事は出来ません。だからこそ、『私』は『あなた』が探さないように、海の底に留まる事を選びます。

星に花は照らされて伸びゆく木は水の上
波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて

1題目では”星のない暗闇”でしたが、2題目では星が登場します。つまり現世への帰還を意味します。ワダツミの木はどんどん成長し、水面から姿を現します。『あなた』がワダツミの木に気付かないと、道しるべとしての役割を果たせません。だからこそ、『私』は波に『声をひそめて』とお願いするのです。

優しく揺れた水面に映る赤い花の島
波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて

最後のサビではとうとう”優しく揺れた水面”と”赤い花の島”が登場します。”水面”は違う世界の海ではなく現世の海、花の島は現実の世界の事を意味すると思われます。『あなた』を乗せた船は無事に元の世界に戻る事が出来ました。

でもそれは『あなた』と『私』の別れを意味します。だから波に対して『声を潜めて、あなたを一目見せて欲しい』とお願いしているのだと思います。声を潜めるとは、波風を立てて欲しくないという事ですね。

解釈は人それぞれ

この曲を聴くと連想させられるのは、日本神話に出てくるイザナギとイザナミの別れの瞬間です。現世と黄泉の国で彼らは袂を分かつ場面に似ています。歴史を学んだ後で元ちとせの楽曲を聴くと、また違った解釈が生まれてきますよ。

私は『ワダツミの木』は、ある女性が愛する人を現世に導く為に、美しい花になった歌だと解釈しています。これは一つの解釈であり、正解も不正解もないと考えています。でも『私』が『あなた』を想う気持ちに間違いはないと確信しています。

何度も曲を聴き、歌詞を読んでいくと、新たな発見や解釈が生まれる事でしょう。

まとめ

今回はワダツミの木に込められた想いについてご紹介させていただきました。もう18年も前の曲になりますが、名曲は何年経っても色あせる事はありません。歌詞から伝わる『あなた』を愛する想い、そして元ちとせの圧倒的な歌唱力、今だからこそ皆さんに聴いて欲しい楽曲です。

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