【吉田拓郎】大歓声を巻き起こした名曲『落陽』とはどんな曲?独自に歌詞から徹底考察!
日本のシンガーソングライターの草分け的存在で、70年代のフォークソングブームの立役者となった吉田拓郎。たくさんのアーティストに影響を与え続けるレジェンドの名曲『落陽』について、その歌詞を独自に考察していきます。吉田拓郎『落陽』の魅力に迫ります。
しぼったばかりの夕陽の赤が
水平線から もれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
あのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよ
おまけにテープをひろってね女の子みたいにさ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく
まずは1番から見ていきましょう。“しぼったばかりの 夕陽の赤が 水平線から もれている”
このしぼったばかりの、という表現が効いてますね。オレンジを絞ったかのような夕陽が、水平線に溶けていくのが目に浮かびます。
“苫小牧発 仙台行きフェリー あの爺さんときたら わざわざ見送ってくれたよ おまけにテープを拾ってね 女の子みたいにさ”
フェリーの上から見ていると、旅で知り合ったおじいさんが、わざわざ見送りに来てくれた事に気がつきます。散らばった別れのテープを律儀にも拾っているようです。“おじいさん”が“女の子”みたいにという対比も秀逸です。
“みやげにもらったサイコロふたつ 手の中でふれば また振り出しに 戻る旅に 陽が沈んでいく”
おじいさんにお土産でもらったサイコロを、手の中で転がしてみると、旅を双六になぞらえてるのか、振り出しに戻ってしまうとうそぶきます。旅とは、人生とは、まるで双六のようだという意味にも感じられます。この振り出しに戻るという事を、旅に戻るという事とかけて、日が沈んでいくと結びます。痺れますね。
このサビの部分では観客も一緒になって大合唱が始まります。拓郎自身、この『落陽』みたいに盛り上がる歌を作ろうとしても、どうしても『落陽』には勝てない。と、こぼしていた事があります。何か、観客の心を鷲掴みにするような魅力が、この曲にはあるんですね。
女や酒よりサイコロ好きで
すってんてんのあのじいさん
あんたこそが正直ものさ
この国ときたら
賭けるものなどないさ
だからこうして漂うだけ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に陽が沈んでゆく
続いて2番の歌詞を見ていきましょう。
”女や酒より サイコロ好きで すってんてんのあのじいさん“
不器用で、女性を口説く事も出来ないような、シャイな男なのでしょうね。
”あんたこそが 正直ものさ この国ときたら かけるものなどないさ だからこうして漂うだけ“
おそらくここに多くの人が共感し、胸を熱くしているのではないでしょうか。この国には、これこそはと信じれるものなんて、命を賭ける意味のあるものなんてあるのか、と歌います。サイコロにハマってしまい、身を持ち崩す事になってしまった老人の事も、決して蔑んだり、バカにしたりする訳ではなく、むしろ少し羨ましい気持ちが感じられます。
サイコロころがしあり金なくし
フーテン暮らしのあのじいさん
どこかで会おう生きていてくれ
ろくでなしの男たち
身を持ちくずしちまった
男の話を聞かせてよサイコロころがして
サイコロに夢中になりすぎて、フーテン暮らしになってしまった男に対する憧れにも似た気持ちは、この3番にも現れています。
”どこかで 会おう 生きていてくれ“と、男の人生としてはかっこいいとさえ思っている視点ですね。ダメだけど、かっこいいじいさんの生き方に熱い共感を覚え、拓郎と観客が一体となって大きな盛り上がりを作っているのです。
オリジナルの高中正義、この動画の青山徹によるリードギターをはじめ、豪華なミュージシャンによる素晴らしい演奏もステージの盛り上がりにひと役買っているのでしょう。
吉田拓郎『落陽』のコードについてもご紹介
名曲『落陽』のコードも紹介していきたいと思います。シンプルなコード進行ですが、サビの盛り上がりに向けて、だんだんと気持ちが入っていくようなメロディの乗せ方はさすがです。
“また振り出しに”のところのコードのセブンスが効いていますね。
しぼったばかりのタ陽の赤が
水平線からもれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
C#m
あのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよ
おまけにテープをひろってね
女の子みたいにさ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく
4フレットにカポタストをつけると、Amから始まって、随分弾きやすくなります。下の写真は私の持っているギター弾き語り集より。
カポを使うと、そんなに難しいコードは使わないので、興味のある方は、ぜひ弾き語りにチャレンジしてみてください!