【RCサクセション】しっとりと恋愛模様を描いた『スローバラード』について独自に徹底考察!
RCサクセションの代表作といえる名曲『スローバラード』難しい言葉は使わずとも深い歌詞と、切なく美しいメロディを、清志郎の唯一無二のボーカルが聴かせてくれる楽曲です。『スローバラード」の歌詞を独自に考察し、その魅力を存分に味わいましょう。
そんな風にファンが自主的に動いて、レコード会社まで動かしてしまうとは、本当に凄い事だと思います。
それだけの魅力が、価値がこのアルバムにはあるという事です。それでは聴いていただきましょう。RCサクセションで『スローバラード』です。
スローバラード/RCサクセション
素晴らし過ぎますね。忌野清志郎のボーカルの迫力が半端ないです。あの娘の「あ」はもう、他の誰にも出せない音なんじゃないかと思ってしまいます。
演奏も凄いことになっています。ホーンセクションも泣けますし、チャボのギターも切なく抑えられていてしびれます。小林和生のベース、新井田耕造のドラムスも安定感があって、何だか守られてる感じすらします。
スローバラード/奥田民生
今度は、清志郎チルドレンともいうべき奥田民生による『スローバラード』を聴いていただきましょう。
先輩に対するリスペクトを最大限に表しつつも、きちんと“民生節”に仕上げてくる辺りはもう、流石としか言いようがありません。
この映像は清志郎が亡くなってから1年後のアラバキのイベントでの演奏です。ステージも客席も一体となって盛り上がっているのがよく伝わってきます。
ラブ&ピース
『ラブ&ピース』は、2015年に公開された園子温監督、脚本による映画で、『スローバラード』が主題歌として使われています。
ロックミュージシャンを目指し、挫折してサラリーマンとなったウダツの上がらない男を長谷川博己が演じています。
国際的に評価の高い鬼才・園子温監督はこの『ラブ&ピース』で初めての特撮に挑戦しています。
『スローバラード』を歌詞から意味を徹底考察!
それでは名曲『スローバラード』の歌詞を検証して、その意味を味わっていきましょう。
歌:RCサクセション
作詞:忌野清志郎
作曲:みかん
昨日はクルマの中で寝た
あの娘と手をつないで
市営グランドの駐車場 OH
二人で毛布にくるまって
カーラジオからスローバラード
夜露が窓をつつんで
悪い予感のかけらもないさ
あの娘のねごとを聞いたよ
ほんとさ 確かに聞いたんだ
カーラジオからスローバラード
夜露が窓をつつんで
悪い予感のかけらもないさ
ぼくら夢を見たのさ
とってもよく似た夢を
まず、何といっても気になるのは作曲者の『みかん』でしょうか。みかんって誰やねん!?と私のように思う方もいると思いますので、調べてみたところ、清志郎の飼っていた猫、という情報が見付かりました。猫が作曲者… あるいはこれはその彼女の事なのではないでしょうか。
清志郎は初期RCの時には作曲する時に肝沢幅一という別名義を使っており、おそらくこのみかんもそういう事であるのだと推測いたします。ラブ&ピースです。
歌詞を見ていきましょう。“昨日は車の中で寝た”と、言うことはこれをいっているのは今日、つまり前の日の事を歌っているわけなんですね。これが、サビの“悪い予感のかけらも~”というくだりに効いてくるわけです。
“あの娘と手を繋いで”車の中で一緒に寝るくらいの関係なのに、手を繋いでなんてプラトニックな雰囲気があります。この絶妙な距離感がこの曲を名曲たらしめている所ではないか、と思っているところです。
”市営グランドの駐車場に2人で毛布に包まって“
ここの描写も本当に良いですね。多分人によって景色は違いますが、どんな人にもそれぞれの情景が目に浮かぶ表現です。
”カーラジオから スローバラード 夜露が窓を包んでいる 悪い予感のかけらもないさ“
ここで私達はこの曲を聴きながら、カーラジオからもこの曲が流れている事を想像します。悪い予感について、私の解釈はずっとこうでした。それは、車の中で手を繋いで一緒に寝ていた彼女は翌朝起きたら亡くなってしまっていた。
しかし、あるインタビューでその解釈は違うと気がつきました。この曲は、ある日女の子とドライブをしていたら、突然車の調子が悪くなり、何とか近くの駐車場に止め、そこで2人、毛布に包まって夜を過ごしたそうです。実はそこが市営グランドで、朝方警察に起こされて、それで頭に来て作った曲と言う事です。
その曲を知り合いに見せたら、最初の部分は良いから、もっとまとめて見れば、と言われバラード調にして、警察への怒りの部分を取り除いたのが、この『スローバラード』と言うわけです。
そういう状況を世紀の大名曲にしてしまうのですから、やはり天才です。