ハープシコードとチェンバロの違いとは?違いをご紹介!
きらびやかな音色が素敵なバロック時代の曲によく似合う楽器ハープシコードやチェンバロ、どんな楽器で違いはあるのでしょうか?ピアノと形が似ていますが、ピアノの前身なのでしょうか?形や構造からもハープシコードとチェンバロの違いについてお伝えします。
ハープシコードとチェンバロはどんな楽器?
ピアノと形が似ているのでピアノの祖先と思われることもあるハープシコードとチェンバロは実は大きく見ると同じ楽器なんです。イギリスでは「ハープシコード」イタリアでは「チェンバロ」と呼ばれています。
ちなみにフランスでは「クラブサン」、ドイツでは「クラヴィーア」と呼ばれていて、国によって呼び名がかわるのですが同じ楽器と思っていいです。ドイツ語のクラヴィーアは後に鍵盤楽器の総称でも使われるようになりました。イタリア語のチェンバロは正式名称ではクラヴィチェンバロといいます。
英語のハープシコードは竪琴という意味のハープと弦という意味のコードが合わさっているという意味の言葉なので音色も想像できますね。
ハープシコードとチェンバロの構造
見た目はグランドピアノのような形のハープシコードやチェンバロですが発音する仕組みは違っていて、ピアノの前身というわけではありません。ピアノは弦をフェルトでできた柔らかいハンマーで叩いて音を出す打弦楽器ですが、ハープシコードは弦を取り付けた爪のようなものではじいて音を出す楽器です。撥弦楽器といいます。音を出す原理はギターなどと同じと思っていいです。
実際、筆者はハープシコードを弾いたことがありますが、鍵盤を押すと弦をはじく引っ掛かりを感じて、ピアノを弾くようなタッチではスムーズには弾けませんでした。タッチも違いますが音の強弱のつけられないのも違うところです。
ハープシコードとチェンバロには違いがないの?
ハープシコードとチェンバロの違い
先ほどハープシコードとチェンバロは大まかにみると呼び方が違うだけとお伝えしましたが細かく見るとどうなんでしょうか?
ハープシコードとチェンバロの形の違い
時代によっても違いがありますが、一般的にハープシコードは直線を多用した形でチェンバロは曲線を用いた形が多いです。
鍵盤の違い
ハープシコードとチェンバロの鍵盤の奥行きは今より短いが横幅は今とほとんど同じくらいです。また白鍵と黒鍵もピアノと同じものが多いです。
それに対してフランスのクラヴサン白鍵と黒鍵はピアノとさかさまになっていて、横幅も狭くなっています。鍵盤の色は楽器によってどちらもあります。
初期の楽器はピアノと同じ、全盛期は白鍵と黒鍵が反転しているものが多く、それ以後はまたピアノと同じに戻っているものが多いです。
ハープシコードとチェンバロの値段の違い
ハープシコードとチェンバロの値段の違いはあるのでしょうか?
実際には呼び名によって値段はあまり変わりませんが、1段式と2段式では張っている弦の数が違うので弦の数が増えると値段は上がってきます。
1段式では200万円くらい、2段式では300万円くらいですが、中古の楽器はあんまり現存していないため受注生産が
ほとんどです。特注で内装の塗装に凝ったり、足を装飾性の高いものに変えたりすればその分値段は上がります。
ハープシコードとチェンバロの重さの違い
チェンバロは使われてる木材が薄いため比較的軽いものが多く、足も取り外しができてコンパクトに持ち運べるものもあります。鍵盤も1段のものが多いです。
現存するイギリスのハープシコードは少ないですが、イタリアのチェンバロよりも厚い木材を使用していて、鍵盤も2段式のものが多く重さも重いものがあります。
まとめ
ハープシコードとチェンバロの違い面白かったですね。ピアノが台頭してきて一時は衰退しましたが、今ではまたチェンバロを使用した曲がクラシックだけではなく映画音楽などにも使われてきています。電子チェンバロも出てきています。
皆さんもぜひ聴いてみてくださいね。