パッサカリアの意味とは?特徴や曲について紹介!
16世紀後半から18世紀にかけて流行した「パッサカリア」という音楽形式。バッハやヘンデルなどが有名ですがパッサカリアとは一体どんな音楽形式なのでしょうか。
こちらではパッサカリアの特徴や、有名曲についてご紹介。色んな作曲家のパッサカリアを比較してみて下さい。
パッサカリアの意味とは?
パッサカリアは音楽形式の一つで、主に16世紀後半から18世紀にかけて流行しました。
パッサカリアの語源は、スペイン語の pasear (歩く、という意味)と calle (通り、という意味)に由来しています。元々はスペインやイタリアで流行した舞曲が起源でしたが、バロック時代にそれが様式化していき、パッサカリアと呼ばれる形式となりました。
パッサカリアの特徴
パッサカリアの特徴として、緩やかな3拍子であることがまず挙げられます。
元はスペイン・イタリアの舞曲でしたが、最初は2拍子でした。しかしその後宮廷に持ち込まれることになって、3拍子の舞曲へと変化していきました。17~18世紀にはフランスに移り、やや荘厳な雰囲気の3拍子の舞曲として演奏されるようになっていきます。
ほとんどのパッサカリアに見られる特徴として、4小節、または8小節の短い旋律(主題)が何度も繰り返される、という変奏曲の形式をとっていることです。ジャコンヌと似ており、違いははっきりと明確にはされていません。
特にドイツではオルガンで作曲されることが多く、バッハのものは有名です。そのほか、ブラームスやウェーベルンの作品も広く知られているものです。
パッサカリアの代表曲・有名曲
バッハの「パッサカリアとフーガハ短調」
パッサカリアで特に有名なのは、バッハの「パッサカリアとフーガハ短調」でしょう。作曲された年は定かではないですが、バッハの初期の作品の一つと見られています。
楽譜を見なくても、聴いていただければお分かりかと思いますが、3拍子の曲であり、8小節の主題をずっと繰り返し弾いています。パッサカリアの特徴としてだいぶ顕著に表れていますね。
主題部分はペダル、アルト、そしてソプラノとかなり移動しているのもお分かりになると思います。荘厳で、いかにもバッハだな、という感じがします。
こちら、ピアノ用の楽譜もありますので是非探してみて下さい。
兼田敏の「吹奏楽のためのパッサカリア」
「吹奏楽のためのパッサカリア」は兼田敏によって1971年、音楽之友社創立30周年記念行事のための作品として作曲されました。
作者の意図としては、中学や高校の吹奏楽部が演奏できるような難易度で、そして音楽の楽しさが伝わるように、ということのようです。
曲の構成としては、10小説におよぶ主題がパッサカリアの形式にのっとって18回繰り返されます。途中、4拍子になったりワルツ形式になったりなど、非常に多彩で多くの表情を見せてくれる曲です。
ヘンデルのパッサカリア
こちらはヘンデルのパッサカリア(ハープシコード組曲第7番ト短調 HWV432)です。タイトルにはパッサカリアとあり、8小節の主題を何度も繰り返す形式をとってはいますが、この曲は4分の4拍子なんですよね。
余談ですが、筆者が初めて弾いたパッサカリアがこのヘンデルの曲だったので、パッサカリアが本来3拍子である、ということを知りませんでした。パッサカリアといえばヘンデルのこの曲を連想したので、3拍子、と聞いて意外な気持ちもしました。
ウェーベルンのパッサカリア
「管弦楽のためのパッサカリア」とも言われます。
この曲も、4分の2拍子で、3拍子の曲ではないんですね。8小節にわたる主題が繰り返されていきます。拍子が3拍子ではないだけで、形式としてはパッサカリアの形式にのっとって作られています。
パッサカリアについてまとめ
こちらではパッサカリアについて、その言葉の意味や由来、特徴などをまとめました。さらにその上でパッサカリアの有名な曲をご紹介しています。
「形式」にこだわると難しく感じるかもしれませんが、特徴を一度おさえておくと曲の分析やどう弾けばいいか、ということがラクになってきます。
パッサカリアは短調で綺麗な曲が多いので是非、色々と聞いてみてください。