【Aimer】夏目友人帳ED主題歌『茜さす』がストーリーにぴったりと話題!
“奇跡の歌声”と多くの有名人からも支持されているシンガーソングライターのAimer(エメ)。今回は、アニメ『夏目友人帳 伍』のエンディング曲に起用され話題となった楽曲「茜さす」をご紹介。「茜さす」の歌詞を徹底考察しつつAimerの魅力の秘密に迫ります。
原点回帰を思わせる「茜さす」は、アニメ同様に少し懐かしさを感じる胸打つバラードです。
この曲をより魅力的にしているのは、メロディーだけでなく、日本語独自の美しさを生かした歌詞にあります。
では、Aimer自身が作詞を担当した「茜さす」の歌詞の意味を考察してみたいと思います。
枯葉舞う 町角を 駆け抜けてく乾いた風
伸びた影とイチョウ並木 季節を見てたかった
返事のない呼ぶ声は あっという間 かき消されてしまう
目抜き通り人波 抜けて どこか遠く 誰もいない場所へ
気付いていたのに 何も知らないふり
一人きりでは 何も出来なかった
まず初めの楽段では、風景の描写をしています。
ここでは色や匂いや音など、その場の空気感が伝わってきて、一気に聴き手を曲の世界へと誘います。
冒頭の一行には、“カ行音”が多く用いられています。
カ行は本来破裂音ですが、歌の中では破擦音で発音されることが多く、息の強さによって力強さも出せれば、逆に感傷的で儚げな表情を出すこともできます。
この一文によって、この曲が決して切ないだけ、悲しいだけの曲ではないことが、言葉の意味だけでなく音からも伝わってきます。
出会えた幻にさよならを 茜さす この空に
零れた弱さに 手のひらを 一輪の徒花 そんなふうに
願い叶え 痛みを知る
タイトルでもある“茜さす”が出てきます。
“茜さす”は、和歌では「日」「昼」「紫」「君」などにかかる枕詞です。
茜色のイメージとして、夕焼けの色を想像するかもしれませんが、本来は朝焼けの色を指します。
朱色というより紫がかったあずき色に近いイメージです。
“出会えた幻にさよなら”とは、恋愛で言えば失った愛を意味していそうです。でも『夏目友人帳』をベースにした場合は、“名を返した妖”が想像されます。
ならばなおさら夕暮れではなく、夜が明けた明け方がしっくりきますね。
渡り鳥の鳴く声も 赤く染まる雲に消えてしまう
帰り道も遠く離れて 今は一人 誰もいない場所で
気付いた景色の色にふれたとしても
一人きりでは 声も出せなかった
ここでは茜色ではなく、はっきりと“赤く染まる”と言っています。次に続く歌詞の意味からも、こちらは夕暮れ時を指しているのでしょう。付け加えれば、一般的に渡り鳥は夕方から翌朝まで飛ぶと言われています。夕方で間違いなし!
これもアニメとシンクロさせて考えると、主人公の貴志の孤独を描写しているように感じるのではないでしょうか?
人と上手く関われない主人公が、足取り重く一人ぼっちで帰る場面は、アニメの中でも何度も描かれています。
愛した幻に口づけを 黄昏た この空に
まだ夕べの星灯らない 待ち宵も朧げ 月は何処に
引き裂かれて 痛みを知る
くり返す日々の中で探してたのは
歩き続けるための願い
ここでもまた色を想起するキーワードが使われています。
“黄昏”は、夕方の5時から7時くらいを指しますので、この空は夕焼け色なのでしょう。
夕暮れ時はなんとも感傷的になるものです。美しければ美しいほどに。
“待ち宵”が“待宵(まつよい)”であるならば、“来るはずの人を待つ宵”という意味で、さらに切なげです。
ですが、ここで描かれているのは切なさだけではありません。
繰り返される日々の中で知った痛みが、いつしか願いに変わります。
そして、主人公と同じように、聞き手もまた、切なさの先に力強さを感じるのです。
出会えた幻にさよならを 憧れは この空に
流れた月日を手のひらに 一片の花弁 そんなふうに
痛み重ね 出会いを知る
出会い重ね 願いを知る
“この空”は、どの空なのでしょう?
筆者としは、“茜さす空”、始まりを意味する明け方の空だと考えます。
『夏目友人帳』で描かれている出会いと別れを繰り返す日々。その儚い出会いの中で、自分の進むべき道を探す主人公。
この場面は、痛みを重ね続けながらも出会うことを止めない、優しく真っ直ぐな貴志と重なります。
先程、“茜さす”という枕詞について触れましたが、この言葉は単に色を表しているだけでなく、“光が射して美しく照り輝くこと”を意味しています。そのため恋の歌では、愛おしい人を指す“君”の枕詞にもなっています。
さて、この曲のテーマを恋愛と捉えるか、もっと普遍的なものと捉えられるか。
どちらにしても美しい曲であることには違いありませんから、聴き手が自由に思いを重ねればいいのだと思います。
「茜さす」だけじゃない!Aimerの歌声が堪能できるおすすめ曲
最後に、「茜さす」以外の曲を聴いたことのない人に、Aimerの人気曲をご紹介します。
どの曲にもAimerらしさが詰まっています。ぜひお気に入りの一曲を見つけてください。
「Brave Shine」2015年6月3日リリース
人気テレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』2ndシーズンのOP主題歌に起用。
強いメッセージが込められた、スケール感のあるロックバラードです。
タイトルの意味は“勇敢な輝き”。こちらもアニメとAimer自身にびったりな曲です。
「カタオモイ」2016年9月21日リリース
4枚目のオリジナルアルバム『daydream』の7曲目に収録されている楽曲。TBS系音楽番組『CDTV』オープニングテーマにもなりました。
女の子らしい甘酸っぱい片思いソング。シンプルなギターサウンドとAimerの歌声がとてもマッチしています。
「ONE」2017年10月11日リリース
「平昌2018冬季オリンピックカーリング日本代表」のCMソングにも使用された元気で明るいナンバー。
バラードのイメージが強いAimerですが、この曲はアップテンポのダンスナンバーでAimerの透明感のある声が印象的です。
「Ref:rain」2018年2月21日リリース
2018年放送のアニメ「恋は雨上がりのように」のタイアップがきっかけで製作されED主題歌に起用。
映画「溺れるナイフ」などで知られる映画監督・山戸結希が担当したPVも素敵です。
「I beg you」2019年1月9日リリース
劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]』第二章の主題歌で、毒気のあるエキゾチックな作品。
2019年1月8日付のオリコンデイリーランキングでは1.3万枚を売り上げ2位にランクイン。翌日1月9日付では1位にランクアップ。自身初のシングルデイリー1位を獲得としました。
女優の浜辺美波が小悪魔的な魅力の少女を演じているPVも秀逸です。
Aimer「茜さす」のまとめ
いかがでしたでしょうか?
魅力的な歌声は歌い手にとっての最大の武器です。ですが、持って生まれた声をどう活かすかは本人次第。
Aimerの歌声は、歌うことを切望した彼女だからこそ手に入れられた奇跡の歌声なのでしょう。
曲ごとにさまざまな表情を魅せ、歌詞ではその歌声を最大限生かすべく言葉を紡いでいくシンガーソングライター。
彼女の歌声に刺激を受け、多くのミュージシャンやクリエーターが楽曲を提供しています。
Aimerはこれまで数々のタイアップを獲得してきました。
この「茜さす」という作品でも、見事に架空の世界と現実とを重ね合わせています。
それは、歌声のすばらしさだけなく、Aimerがクリエイターとして、またシンガーとして類まれな存在であるからでしょう。
国内のみならず国外からも熱い視線を注がれている新時代の歌姫!今後益々Aimerの活躍が期待されます。
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