ONE OK ROCK『Stand Out Fit In』がHONDAのCMで起用!歌詞について徹底考察!
HONDAのCMに起用されたONE OK ROCKの『Stand Out Fit In』はその歌詞が大変話題となりました。『Stand Out Fit In』で彼らが何を訴えたかったのか、ここでは歌詞をじっくりと掘り下げ、考察、解説していきます!
世界を舞台に活躍するロックバンドONE OK ROCK
”ワンオク”メジャーデビューは2007年
ONE OK ROCK、読み方は「ワンオクロック」と読みます。デビュー前、練習スタジオに集う時間が深夜料金の安い時間、午前1時(one o'clock)だったことが多かったことから、それと「一つの良いロック」という意味合いを掛けてつけられたバンド名だそうです。
「ワンオク」の愛称で親しまれていますが、海外ファンの間では「rock」の「r」を「l(エル)」の発音で読めないため、「ワンオーケーロック」と呼ばれています。
ワンオクは2006年にインディーズデビュー、そして2007年にデビューシングル『内緒秘書』でメジャーデビューを果たします。
以降、アルバムを9枚発表、近年リリースの3枚に関してはオリコンで1位を獲得する人気ぶりとなっています。
また、CMにも多数タイアップしています。
ワンオクのメンバー紹介
ONE OK ROCKのメンバーを紹介しましょう。2020年現在、メンバーは4人です。
- Taka(本名:森内貴寛)…ヴォーカル。1988年4月17日生まれ。森進一と森昌子を両親に持ちます。ジャニーズのNEWSの初期メンバーでもあったという経歴の持ち主。
- Toru(本名:山下亨)…ギター。1988年12月7日生まれ。ワンオクの原型となるバンドを結成し、2005年にTakaを勧誘しました。
- Ryota(本名:小浜良太)…ベース。1989年9月4日生まれ。Toruとは小学生時代同じダンススクールにいた頃からの知り合い。
- Tomoya(本名:神吉智也)…ドラム。1987年6月27日生まれ。ワンオクのメジャーデビュー1ヶ月前にメンバー入りしました。
海外の反応もすごい
ONE OK ROCKは海外での活動も盛んに行っています。2015年にはアメリカのワーナー・ブラザーズと契約、現在はフュエルド・バイ・ラーメンに移籍をしています。
アメリカだけでなくワールドツア―も行っており、海外での反応がいかに大きいか、ということですよね。日本発でありながら海外でも多くのファンを集め、ライブまで行えるというのはなかなかないでしょう。
アルバム「Ambitions」は日本でも1位を獲得するアルバムでしたが、海外版もビルボードチャート総合で106位、ハードロックアルバムでは2位を記録するなど、海外ではセールスとしても好調なのです。
『Stand Out Fit In』がHONDAのCMで起用された
ONE OK ROCKが2019年2月13日に発売されたアルバム、「Eye of the storm」に収録されている曲、『Stand Out Fit In』が、「ONE OK ROCK×HondaJet 『Go, Vantage Point.』」篇第3弾CMに起用されました。
ちなみに彼らは「ONE OK ROCK×HondaJet 『Go, Vantage Point.』」篇第2弾には『Change』を提供していて、同じくこのアルバムに収録されています。
『Stand Out Fit In』は曲のすばらしさももちろんですが、その意味深なタイトルからも話題となりました。
こちらではこの曲の歌詞の意味を考察、和訳つきで解説するほか、公式MVの内容についても触れていきたいと思います。
『Stand Out Fit In』歌詞を和訳と合わせて徹底考察!
歌詞に何度も出てくる『Stand Out Fit In』の意味は?
まず、タイトルとなり、歌詞中にも何度も登場する「Stand out fit in」の意味について解説しましょう。
「stand out」には、目立つとか際立つとか、傑出した人、注目を浴びる、というような意味があります。
そして「fit in」には適合する、調和する、という意味があります。
この曲のMVには下に和訳テロップがでます。そこには「はみだして なじめ」という和訳がついています。
どうでしょう、この2つのワードは相反して矛盾すると思いませんか?はみ出せ、突出しろ、と言いながら、馴染め、適合しろ、とはどういうことなんでしょうか。
彼らがこの曲で何を言いたいのか、以下、和訳して考察していきます。
歌詞の和訳と意味を考察!
I know they don’t like me that much
Guess I don’t dress how they want
I just wanna be myself, why?
Can’t be someone else
「彼らが僕を嫌ってることは知ってるさ
多分、彼らが望むものを着てないからだと思う
僕は僕らしくありたい
なぜなら、他の誰にもなれないから」
「dress how they want」の部分は直訳しましたが、MVを見ると、服のことではなく肌の色や見た目のことをさすのだ、と思います。
MVの内容についてはこの後の項で触れたいと思うのですが、この部分はMVの主人公であるアジア系の少年がクラスのみなから人種差別的な扱いを受けているシーンになります。
しかし嫌われたってなんだって、自分は自分らしくありたい、と歌っています。
なぜなら、「僕」という人間は「僕」にしか成れない。
そして「僕」は「僕」以外にはなりえないのです。
この部分は、MVの和訳では以下のようになっています。
「僕は嫌われ者
見た目が違うから
でも ありのままでいたい
僕は僕だから」
Try to color inside their lines
Try to live a life by design
I just wanna be myself, why?
Can’t be someone else
Be someone else
「彼らが線を引いた内側を塗るだけとか
あらかじめデザインされた人生を送ろうとしてみたけど
でも僕は僕らしくありたい
なぜって、僕は僕以外にはなれない
他の誰にもなれないからさ」
線を引いた内側を塗る、つまり、はみ出さずに生きる、決められた枠の中だけで生きる、ということでしょう。
あらかじめデザインされた人生を送る、これは周りから「こう生きろ」と押し付けられた人生、ということでしょう。
しかし、そうしようとしてみたけどやっぱり無理だった、と歌っています。
なぜって僕は僕だから。
僕の生き方は僕が決めるものだから。
just be myselfは色々な解釈ができますが、自分に正直でありたい、そのようなニュアンスも含まれるような気がしますね。
そしてこの部分はMVの和訳では以下のようになっています。
「誰かが敷いたレールに乗って
生きるなんてできない
ありのままでいたい
他の誰かになんて
なれないよ」
They yell, they preach
I’ve heard it all before
Be this, be that
I’ve heard it before
Heard it before
「みんなはうるさく説教してくる
前にも聞いたよそれ
これをしろ、あれをしろって
前にも聞いたし
もううんざりだ」
yellには怒鳴るとか大きな声をあげる、という意味があります。エール、という言葉があり、これは応援のニュアンスもありますがこの場合は怒鳴りつけてくる、そういう解釈のほうが合ってると思いますね。
そして子供のとき親にあれをやれこれをやれとうるさく言われたときのことを思い出しませんか?まさにあの状況です。
うるさいな前も聞いたよ、と言い返したこともあるのではないでしょうか?
大人になっても、「良い人間とはこうあるべき」となにかと押し付けられることもありますよね。
この歌の主人公がこういったことに辟易している様子が伝わってきます。
そしてこの部分はMVの和訳では以下のようになっています。
「彼らは口うるさく言ってくる
何度も
ああしろ こうしろと
何度も言われて
もう うんざりだ」
Big boys don’t cry
Shoot low, aim high
Eat up, stay thin
Stand out, fit in
Good girls don’t fight
Be you, dress right
White face, tan skin
Stand out, fit in
Stand out, fit in
Stand out, fit in
「男は泣くな
狙いは低く、望みは高く持て
たくさん食べろ、太るな
人より目立て、そして馴染め
女は喧嘩をするな
あなたらしくあれ、服はきちんとしたものを着ろ
白い肌がいい、健康的に焼けろ
人より目立て、そして馴染め
型にはまるな、馴染め
型にはまるな、馴染め」
ここはサビの部分です。どうでしょう、全てにおいて「矛盾」だらけのワードが並んでいます。
狙うなら低いところを攻めろと言っておきながら、望みは高く持てと言ったり、よく食べなさいと言いながら、不健康に太るなと言ったり、そもそも冒頭に「男は泣くな」というのもひどい押し付けです。
女性に対しては「争いはするな」、そしてあなたらしくあればいいのよと言いながら正しい服装をしてと言ったり。
しかしこれらは全て実際に現実世界にはびこっている意見ですよね。
あなたのなりたいものになるべき、と言いながら、人と違ったことをすれば叩く、今の世界にはこういうことが多いと感じます。
「Stand out fit in」というタイトルは、そういった現実に、世界に対してこれは矛盾してるだろう?と疑問を投げかける、そういう曲なのだと思います。
この部分はMVの和訳では以下の通りです。
「男は泣くな
現実をみて・夢を持て
よく食べ・健康に
はみだして なじめ
女は争わず
見た目もきちんと
心は白く・美しく
はみだして なじめ
はみだして なじめ」
同じことの繰り返しで
飽き飽きしている日々
ただ自分らしくありたい
ありのままで
Can’t be someone else
歌詞は2番に入って日本語が混じります。
結局、型にはまった生き方、はみ出さない生き方というのは、本来自分がなりたいと思うものがあった場合には退屈で飽き飽きすることです。
人と同じことをして、目立たないように生きる、息苦しいことですよね。
そしてそんな自分に嫌気がさしてきたりもします。
自分は自分以外にはなれないですし、「僕」という人間は「僕」にしか演じることはできないのです。
I am who I am, no matter what
Never changing, no matter what
No matter what
サビを繰り返したあとのフレーズ。
「僕は僕だ、何があったって
決して変わることはない、何があったとしても
何があったとしても」
歌の主人公が改めて決意するところですよね。
周りから何を言われようともどう押さえつけられようとも
自分は自分であり、誰かに言われて作るものではないし、「自分」という人間は「自分」がやっていくものなのだ、というメッセージです。
『Stand Out Fit In』のMVは歌詞の意味とマッチしている
ところでこの『Stand Out Fit In』は曲の良さもそうですがMVも話題になりました。それは、この曲の歌詞と非常にマッチした内容で、差別を扱ったものになっているからです。
MVの少年はどうやらアジア系の少年のようです。教室に入ればクラスメートから目を吊り上げるような仕草をされて(これはアジア系の人に対する差別的な仕草です)、ランチのシーンでは隣の女の子たちが彼が食べている麻婆豆腐のようなものをみて気持ち悪がるような様子も見せます。
しかし彼はそれに反論することもなく、ただじっと耐えています。
彼の家はどうやら中華料理店を営んでいるようで、両親は真面目に働いています。彼も手伝いをしながら勉強をしたりと、親孝行な様子。
しかしとある若い男女のグループが堂々と食い逃げをしていきます。
それを見た瞬間、彼の中で何かが崩れていったようでした。
場面は変わって青年になった彼が登場します。彼はランチに中華系のご飯ではなくサンドイッチを食べ、周りのみんなと楽しそうにやっているようでした。
また、クラスで、違う人種の生徒に対してゴミを投げつけたりもしています。
放課後には店に遊びにきた友人たちと勉強も手伝いもそこそこに遊びに出かけていきます。両親は何か言いたげですが彼が楽しそうならと諦めの境地なのか何もいいません。
彼らは酒を飲み、そのままドライブへ。そして恐れていた事態…事故が起こります。
そこへ現れる謎の仮面の人物…これは中国の伝統芸能の一つ、「変面」というものです。その後、次第に彼の髪が金髪になっていくさま、そして周りのダンサーに押さえつけられていく様子は印象的です。
ここは、周囲に合わせようと無理やり、彼らの食べるようなものを食べ、異色の人をいじめたり、飲みたくもない酒を飲んでいた彼のこれまでを象徴しているのかなと思います。
最後少年の姿に戻った主人公。自分のルーツはここなのだと気づいたのでしょう。まさに「I am who I am」であり、「Never changing」、「Can't be someone else」なのです。
ONE OK ROCK『Stand Out Fit In』歌詞和訳などまとめ
こちらではONE OK ROCKの『Stand Out Fit In』の歌詞の和訳や、この曲が伝えたいことが何なのかの考察をまとめました。
悲しいことに、「差別はいけない」「ありのままの自分を」という意見は正しいことだと分かっていながら、人は人と違ったことをしている人、マイノリティーを叩いてしまうという風潮はなくなりません。
しかし最近では『This is me』のように「わたしはわたしよ」と強くメッセージを投げかけた曲が大ヒットするなどもしています。
『Stand Out Fit In』もまた、そのように声を上げていくような曲の一つになるといいなと思います。