倍音とは何か?倍音の意味を分かりやすく解説!
倍音とは?吹奏楽をされている方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。数ある楽器の中でも、ベースは特に倍音が豊富な楽器と言われています。そもそも倍音とは一体何なのでしょう。ここでは、倍音の意味を分かりやすくご紹介します。
記事の目次
倍音とは?
私たちが普段聞いている音の中には、様々な音が含まれています。聞こえていなくても、様々な音が鳴っています。これを自然倍音といい、鳴っている音の中で一番低い音の成分を「基音」、それ以外の成分を「上音」と呼びます。
倍音とは、上音の中で、周波数が基音の整数倍(2倍、3倍…)に該当する音のことを指します。
ちなみに、基音のn倍の周波数の倍音を第n倍音と呼びます。
ここで、基音を「ラ(A4)」としたときの倍音を探してみましょう。純正律で考えます。
「ラ(A4)」の周波数は440Hzです。
- 第2倍音は、440Hz×2=880Hzで、「ラ(A5)」に相当します。
- 第3倍音は、440Hz×3=1320Hzとなり、「ミ(E6)」に相当します。
- 第4倍音は、440Hz×4=1760Hzとなり、「ラ(A6)」に相当します。
- 第5倍音は、440Hz×5=2200Hzとなり、「ド#(C#7)」に相当します。
以下の動画は、人の声による倍音を確認したものです。
意識して聞いてみてください。
倍音による音色の違い
楽器により、構成される倍音成分は異なります。特にベースは、楽器の中でも倍音が多い一方、フルートは倍音が少なく、純音に近いと言われています。やわらかく透明な音色が出ますが、逆にいえば、音色に味気がないともいえます。
また、フルート以外の吹奏楽器や弦楽器は倍音が多く含まれています。そのため、豊かな音色になります。倍音成分により、各楽器の音色が決まります。
つまり、倍音がないと、どの楽器でも同じ音色になるということです。倍音成分の組み合わせによっては、耳障りな音や、濁った音色になります。
平均律での倍音とのずれ
ここで、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ピアノなどの楽器では倍音にずれが生じるのでは?
確かに、ピアノやギターなど平均律で調律された楽器では、倍音とのずれが生じます。
以下は、基音を「ラ(A3)」にした場合の第2~6倍音の周波数をまとめたものです。
※純正律での周波数は、基音の周波数220.000Hzを、整数倍(2倍、3倍…)して算出したものです。
平均律での周波数は、音階周波数を載せています。
基音、第2、第4倍音は純正律での周波数と一致しますが、第3、第5、第6倍音は純正律での周波数と少し異なりますね。
ここで、ピアノ(平均律の楽器)で、「ラ(A3)」と「ド#(C#4)」を同時に鳴らした場合を考えてみましょう。
これらの2音の倍音の中で、理論上は「ラ(A3)」の第5倍音と、「ド#(C#4)」の第4倍音の周波数が一致します。
平均律で算出すると
- ラ(A3)(周波数220.000Hz)の第5倍音
- ド#(C#4)(周波数277.183Hz)の第4倍音
両者の周波数は一致せず、8.732Hzの差がありますね。
周波数の一致しない音が同時に鳴るので、うなりとして聞こえ、綺麗には聞こえません。ただ、この差が倍音の同士の差であることから、目立ってずれていると感じることは少ないようです。