【マイケル・ジャクソン】『ビリー・ジーン』にはご用心?!甘くて危険な恋の歌にこめられた想いとは?
マイケル・ジャクソンの大ヒット曲、『ビリー・ジーン』の歌詞を読んだことがありますか?実は結構きわどく衝撃の内容となっているんです。こちらではマイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』の歌詞を徹底考察!この曲の背景に何があったのかを解説します!
『ビリー・ジーン』の歌詞を徹底考察&解説
それでは、『ビリー・ジーン』の歌詞を独自に和訳、そして意味を考察していきましょう。
She was more like a beauty queen from a movie scene
I said don't mind,
but what do you mean I am the one
Who will dance on the floor in the round
She said I am the one will dance on the floor in the round
「彼女はスクリーンの映画女優なんかよりもっと美しかった。
僕は”気にしないで”と言った。そして”でも僕こそがその人ってどういう意味なんだい?誰がダンスホールの真ん中でみんなに囲まれて踊るって?”とも言った。
彼女は”あなたこそがダンスホールの真ん中で踊る人よ”って言ったんだ」
ディスコかどこか、ともかく大勢が集まるようなところで主人公「僕」は彼女と出会います。彼女はそこらの映画女優なんかよりも美しくて、歌詞には特に記されてはいませんが「僕」は一目で惹かれたのでしょうね。そうでなければこのような描写はしないでしょう。
その後のやり取りは、少々回りくどいですが、彼女にダンスに誘われた、と解釈して良いと思います。一緒にダンスホールで踊らないか、と誘われたので、「僕」はそれが信じられなくて聞き返して確認をしたのでしょう。
She told me her name was Billie Jean,
As she caused a scene
Then every head turned with eyes
That dreamed of being the one
Who will dance on the floor in the round
「彼女は、自分の名前はビリー・ジーンだと言った。
そうしたら周囲が大騒ぎさ。
周りのみんなが一斉に振り返ったよ。
みんな、このダンスホールの真ん中で踊るその人になりたいと夢みるような目でね」
彼女はビリー・ジーンだと名乗ります。すると周囲が一斉にざわめきます。「caused a scene」は「騒動を引き起こす」や「騒ぎを起こす」というような意味があります。彼女はきっとこの界隈では有名な女性なのでしょう。そしてどんな男性も彼女に誘われたがっているのでしょうね。「That dreams~」以下の歌詞でそれが分かります。彼女と踊れることをみんなが望んでいる、そんな女性から「僕」は声をかけられたのです。
ここまででも「僕」の気持ちやいかに、という感じですよね。男性ならもちろんですが女性であってもこのときの「僕」の気持ちは分かると思います。みんなからの憧れの女性に声をかけられて嫌な気持ちになるはずがありませんよね。
それを踏まえて、次へとすすみましょう。
People always told me
Be careful of what you do
And don't go around
Breaking young girls' hearts
And mother always told me be careful of who you love
And be careful of what you do 'cause the lie becomes the truth
「みんなはいつも僕に"自分のすることには気を付けろ”って教えてくれた。
とっかえひっかえして若い女の子の心を傷つけちゃいけないって。
お母さんもいつも言ってた、恋をするときは気を付けなさい、
そして自分の行動にも気を付けなさい、
嘘が真実になってしまうこともあるのだから、って」
「what you do」を和訳すると「あなたのすること」となります。もっと深く訳すとなれば、「行動には責任をもて」とまで言っていいかもしれません。
そして「go around」は周回するとか回るとかいう意味がありますが、女の子というワードが出てくるので、ここは「色んな女の子の間を行ったり来たりすること」というような訳がぴったりくるかなと思います。色んな女の子にちょっかいだして傷つけることのないように、ということでしょう。
そして最後の「lie becomes the truth」。この部分は後に出てくる歌詞とリンクするので、心にとめておいて下さい。
Billie Jean is not my lover
She's just a girl who claims that I am the one
But the kid is not my son
She says I am the one,
But the kid is not my son
「ビリー・ジーンは僕の恋人じゃない
彼女はただの、僕こそが恋人だと言ってるだけの女の子だし、その子供は僕の子供じゃない
彼女は、僕が運命の人だって言うけど、その子供は僕の子供じゃないんだ」
母親や周りの人たちからさんざん警告されていたのに、「僕」はおそらく彼女と関係を持ったのでしょう。そしてビリー・ジーンは子供を見せて、「これはあなたの子供だ」と言ってきたのですね。
「But」で繋げているところから、子供は自分のではないと否定していながら、子供ができるような行為はしたのだろう、と推測できます。
どちらも否定するなら「and」でいいと思うのですが、「but」としているところから、彼女が「僕」を恋人だと思ってしまうような行動はとったのでしょうね。
これに関してはこの後、それを匂わせるような歌詞が出てくるのでそこでもまた解説します。
For forty days and forty nights
The law was on her side
But who can stand when she's in demand
Her schemes and plans
'Cause we danced on the floor in the round
So take my strong advice,
just remember to always think twice
(Do think twice)
「40日と40夜、法律は彼女の味方だった。
だけど彼女が陰謀と計画をもって請求してきたら一体誰が立ち向かえるっていうんだい?
それに僕は彼女とダンスを踊ってしまったんだよ
だからいいかい僕のアドバイスをよく聞いて
いつだって一度踏みとどまってもう一度よく考えることだよ」
とうとう裁判沙汰にまで発展してしまったようです。本当にこの歌詞はリアリティがありすぎますよね。
おそらく子供の認知や養育費などのことを要求されたのでしょう。
しかも「僕」は彼女と「ダンスを踊ってしまったのだから」と言っています。ただダンスを踊っただけで子供はできませんから、これはおそらく、そういう関係を持ってしまった、ということの比喩と解釈していいと思います。
そういう事実があるから「僕」には否定もできず、もうどうにもできなかったんですね。
「think twice」は二度考える、という直訳ですが、物事を決めるのに一度踏みとどまてもう一度考えてみる、つまり慎重になる、というような意味になります。
あの時その場の雰囲気に流されず、よく考えることができたら彼女の誘いには乗らなかったかもしれませんね。
また、上に出てきた「lie becomes the truth」というのはここで生きてきます。相手が言っていることが嘘であっても、己の軽率な行動によって、そして相手の出方によってはその嘘が真実になってしまう…おかあさんの言っていたことがまさにここで本当のことになってしまったわけです。
She told my baby we'd danced 'til three,
Then she looked at me
Then showed a photo my baby cried
His eyes were like mine(oh, no!)
'Cause we'd danced on the floor in the round, baby
「彼女は、”ねえベイビー、私たちは夜中の3時まで踊ったじゃない?”と言った。
それから彼女は僕を見て、泣いている赤ん坊の写真を見せてくるんだ。
彼の目はなんとなく僕のに似てる気がする(なんてこった!)
だって僕たちはダンスフロア―で一緒に踊ってしまったんだから」
「僕」は大分混乱しているのでしょうか、「my baby cried」と、自分の赤ん坊が、と言ってしまっていることに表れているように思います。
絶対に違う、と言い切れないところがあるのでしょう、目が自分の目に似ている気がする、とまで言ってしまってるんですね。
しかし一夜とはいえ関係を持ってしまった女性から「これあなたの子供よ」と写真をつきつけられたら誰でもこうなってしまうのかもしれませんね。
People always told me
Be careful of what you do
And don't go around
Breaking young girls' hearts
She came and stood right by me
Then the smell of sweet perfume
This happened much too soon
She called me to her room
「みんなはいつも”自分のすることには気を付けろ”って忠告してくれた。
色んな女の子と付きあったりして彼女たちの心を傷つけたりしちゃいけないって。
彼女は僕の前にやってきた。
彼女からは甘い香水の香りがした。
それからすぐだよ、あの出来事があったのは。
彼女は僕を部屋へ誘ったんだ」
サビ前、同じ歌詞の繰り返しのあと、見事に「オチ」へと持っていっていますよね。これまで「彼女とダンスをした」という言い方をしていましたが、ここではっきりと「部屋へ誘われた」としています。敢えてこの言い方でとめてはいますが、これは「そういう関係をもった」と解釈していいと思います。
こうなると、彼女との出会いは本当にダンスホールだったのか、別の場所かもしれないですよね。全てを「ダンス」に例えているだけ、とも考えられます。しかし歌詞だけではそのあたりははっきりしません。
Billie Jean is not my lover
She's just a girl who claims that I am the one
But the kid is not my son
「ビリー・ジーンは僕の恋人じゃない
彼女はただ、自分が僕の恋人だと言いふらしてるだけの女の子さ
だけどあの子供は僕の子供じゃない」
ビリー・ジーンが見せた写真の赤ん坊が本当に「僕」の子かどうか、は歌詞からはわかりません。本当は別の男性との子だけど「僕」との子だと信じているのか、違うと分かっていながら「僕」を気に入ってしまったからそう言ってきているのか、最初から「僕」をだますつもりで近寄ってきたのか…色んな風に考えられますね。
しかし一つだけ言えることは、この曲は「自分は一夜限りのお遊びだと思っていてもとんでもないしっぺ返しをくらう時もあるから行動には責任をもって気を付けなさい」という歌だ、ということです。
甘いひと時が地獄に変わる、そんなふうにも受け取れますね。
『ビリー・ジーン』の歌詞は実話をもとにしている?
ところで、ビリー・ジーンは実在する女性の名前などではなく、1960年代彼らの周りにいたグルーピーたちをそう呼んでいた、ということでしたが、ここまでこの歌詞を見てきてあまりのリアルさに驚いた方も多いと思います。実際当時は大分センセーショナルだったのではと思います。
この曲は、ジャクソン5だったころ、マイケルの兄弟たちに起こった実話を元にして書かれた曲のようです。特に、兄、ジャッキー・ジャクソンが実際遭遇した出来事である、とも言われます。
また、マイケルに対して「この子供はあなたの子供よ」と手紙と写真をしつこく送ってくる女性もいて、随分と悩まされた、ということもあったようです。「あなたとの子供を中絶した」という手紙とともに銃を送ってこられたこともあったとか。もうここまでくると異常というか、送った女性の方も単に恐喝したいのか本当にそう思い込んでいるのか、すでに分からない状態です。
しかしもっとも話題になったのは、マイケルの死後、2014年に起こった「マイケル隠し子騒動」ではないでしょうか。
これは、R&B歌手のブランドン・ハワードがDNA鑑定の結果99.9%の確率でマイケル・ジャクソンの子供である、という報道がされたものです。彼の母親はミキ・ハワードといい、彼女もまたソウルシンガーとして活躍していました。また、マイケルの父親が彼女の代理人をつとめていたこともある、という事実もあるのです。さらにはミキ・ハワードの当時の愛称が「ビリー」だったそうで、この報道がされた時は「ビリー・ジーンはミキ・ハワードのことでは」という報道がなされました。
しかしミキ・ハワード本人がそれを完全否定しており、その後そのことについてはどうなったのかは不明です。本人死後もこういった話題が出てきてしまうのが大スターの証、ということでしょうか。
『ビリー・ジーン』は「甘い誘惑にはご用心」というような警告の歌、とも受け取れますが、マイケル本人が遭遇したストーカーまがいの事件を歌にすることで、今後そういう噂があったとしてもそれらは全て事実ではない、というメッセージなのでは、と思います。
キング・オブ・ポップは常に華やかなステージに立っているようで、しかしその裏ではファンからの様々な行為に苦しんでいたこともあったのでしょう。
マイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』歌詞解説まとめ
マイケル・ジャクソンの一番のヒット曲とも言われる『ビリー・ジーン』について、この曲が生まれた背景、歌詞の和訳や考察をまとめました。
筆者も、『ビリー・ジーン』について歌詞を深く考えたことはありませんでした。しかしある時ふとしたきっかけで歌詞に触れ、すごい歌詞だったんだなと改めて感じました。ビリー・ジーンといえばムーンウォーク、というイメージが強くて歌詞の内容まで深く見たことがなかった、そういう方は多いのではないでしょうか。
「Bad」でもそうなのですが、彼は割と、このように社会を痛切に批判したり皮肉ったりするような曲を結構作ってきています。それは彼が決して楽な道を進んであのようなトップに君臨したからではなく、あそこまで辿りつくには本当に様々な苦悩、苦労をしてきたからなのだと思います。
マイケル・ジャクソンといえばパフォーマンス、ダンスの人、という印象がありますが、彼はそれだけではなく、作曲や作詞に関してもこのように才能を発揮していたんですよね。まさにオールラウンダー、後にも先にも、彼のような「スター」はもう出てこないのかもしれません。
『ビリー・ジーン』、是非、改めて歌詞と共に聞き返してみてください。
- 1
- 2