音楽の「アルス・ノヴァ」の意味を解説!
アルス・ノヴァをご存じですか?
音楽史、特に西洋音楽史において大きな節目、14世紀ヨーロッパに生まれた、「新しい音楽」を意味します。
曲の作りや表記方が、従来とは大きく変わり、それは現代の音楽の記譜法の根幹になります。
では、アルス・ノヴァの流れを見てゆきましょう
アルス・ノヴァとは?
フランスの音楽家ヴィトリが、14世紀初頭の新しい音楽について理論的にまとめ、それをアルス・ノヴァと発表しました。
このため西洋音楽史に於いては、この時期の音楽をアルス・ノヴァと呼ぶようになりました。
少し前の時期の音楽様式はアルス・アンティクワ(古芸術)と呼ばれます。
アルス・アンティクワ期
アルス・アンティクワの時代には、音符の高さだけではなく、音符の長さまで厳格に規定する定量記譜法が進んでゆきました。
また、オルガヌム(多声楽曲)がさまざまな形で発展していく経過で、定旋律(主旋律)の上声部に、説明的歌詞が付加される形が広がりました。
これは、モテトゥスという形式の音楽です。
モテトゥスには様々な国の言葉が使われ、徐々に世俗的な歌詞や旋律が使用されるように変わっていきます。
アルス・ノヴァ期ヘ
アルス・ノヴァの音楽は、上記の変化を受け継ぎつつ、さらに新しい技法が進化しました。
特徴の一つとして、この時期の作曲家の多数が、作品を書くときにポリフォニーの技法を用いたことが上げられます。
一つの旋律しか持たないモノフォニーに対し、ポリフォニーとは、複数の独立したパートで出来ている音楽です。
また、この時期には、さらに定量記譜法(音符の長さを厳密に記すもの)が一層発達しました。
シンコペーションなどを用いた高度なリズム技法が発達し、それに伴い記譜法の改良が進みます。
マクシマ、ロンガ、ブレヴィス、セミブレヴ、ィス、ミニマなど、小さい音価も含む、幅広い音価の音符が用いられるようになりました。
また、従来は、キリスト教の影響から3拍子が主体であったのが、次第に2拍子を中心の音楽となってきたのも特徴です。
さらに分割の方式は、作品の最初に置かれたメンスーラ記号によって示され、それが現代の拍子記号の元になりました
このように、アルス・ノヴァの時期には、クラシックの音楽史の流れのなかで非常に意味のあることが生まれてきました。
私達が現在使用している記譜法の礎が、このころに構築されてきたのですね。
この時代の作品には宗教作品も少なからずありますが、作風の世俗化の傾向が著しくなってきます。
アルス・ノヴァの代表的な作曲家
この時期、新しい手法で美しい曲を残した作曲家は数多くいますが、代表的なのは下記の2人です。
ギョーム・ド・マショー
アルス・ノヴァ期の最も有名な、フランスの作曲家です
140程の作品の大部分は、世俗曲です
ポリフォニー音楽の中で、パズルのような技巧的な手法を用い、それは後進の音楽家に引き継がれました。
代表曲としては「ノートルダム ミサ」などがあります
フランチェスコ ランディーニ
フランス人のマショーに対し、「イタリアのアルス・ノーヴァ」とも呼ばれます
14世紀後半活躍しました。
作品のほとんどは世俗曲です
自分の曲に歌詞を付けているものも多いです。
代表曲としては「Ecco la primavera」などがあります。