【西城秀樹】ヒデキの名曲『ギャランドゥ』、インパクトのある曲名の所以は?歌詞から徹底考察

『ギャランドゥ』は男性アイドルとして一時代を築いた西城秀樹の代表曲のひとつです。パワフルなメロディと甘いヴォーカルで世代を超えて愛されている曲ですが、曲名の由来はしばしば議論の的になります。この記事では西城秀樹の「ギャランドゥ」の意味を考察します。

記事の目次

  1. 1.昭和のアイドル、ヒデキでお馴染みの西城秀樹
  2. 2.ヒデキの大ヒット曲『ギャランドゥ』
  3. 3.『ギャランドゥ』に込められた想いを徹底考察
  4. 4.まとめ

昭和のアイドル、ヒデキでお馴染みの西城秀樹

ヒデキこと西城秀樹は郷ひろみ・野口五郎とともに「新御三家」と称された昭和のアイドルです。新御三家の中でも特に歌唱力の評価が高く、「傷だらけのローラ」「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」など多くのヒット曲があります。

ロック少年・西城秀樹

西城秀樹は1955年、広島県に生まれました。子どもの頃から音楽に親しみ、小学生の時にはすでにロックミュージックを志向していたと言われています。少年時代に培われた音楽性はその後の歌手人生に大きな影響を与えます。

「西城秀樹」デビュー。ワイルドな17歳

16歳で上京、シングル「恋する季節」でメジャーデビューを果たします。5thシングル「情熱の嵐」、6thシングル「ちぎれた愛」がヒットし、トップアイドルとしての地位を確立します。同学年の野口五郎・郷ひろみとともに、時代を代表するアイドルとして「新御三家」と呼ばれるようになりました。

その後もヒット曲を飛ばし続け、1974年、10thシングル曲の「傷だらけのローラ」でNHK紅白歌合戦初出場、翌1975年には男性ソロシンガーとしては初めての日本武道館でのリサイタルを行います。

独立第一弾のシングル「ギャランドゥ」

その後も連続してヒット曲を発表し、28thシングル「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」はミリオンセラーとなります。この曲は洋楽カバー(The Village Peopleの"Y.M.C.A.")ですが、曲中YMCAを体で表す振り付けはアメリカに逆輸入されたというエピソードがあります。

1983年、それまで所属していた事務所(芸映)を退社し独立を果たします。独立後初めて(通算44枚目)発表されたシングルが「ギャランドゥ」です。

絶唱系歌手・西城秀樹

その後も精力的に歌手として活動しますが、2000年代に入ると二度の脳梗塞を発症、闘病をしながらの芸能活動を余儀なくされます。そして、2018年、全国のファンに惜しまれながら、63歳でその生涯を閉じます。

西城秀樹は歌謡曲全盛の時代にロックミュージックを志し、デビュー後は派手な衣装・激しいダンスと「絶唱系」と称されたエネルギッシュな歌唱法で日本の歌謡界に新しい風を吹き込みました。

また、スタジアムでのコンサートや現代の音楽フェスにつながる野外ライブ、ツアーのドキュメンタリー映画化など、日本の音楽界に与えた影響は計り知れません。

Photo bylograstudio

ヒデキの大ヒット曲『ギャランドゥ』

「ギャランドゥ」は西城秀樹の通算44枚目のシングル曲で、作詞作曲は「ダンシング・オールナイト」で知られているもんたよしのりです。ノリノリのリズムセクション(特にベースのスラップがブリブリ曲を進行させている)とタイトなホーンセクション、魅惑的な女声コーラスを従えて、ヒデキがファンキーに歌い上げます。

動きのあるイントロ~Aメロに対し怪しげなBメロ、そしてパワフルなサビという彩り豊かな構成で、ギターソロもあります。とても3分8秒の曲とは思えない、要素がギュッと凝縮された作品です。

レコードは1983年にRCAビクターからリリースされました。オリコンチャート最高順位は14位、13.7万枚を売り上げ、その年の第25回日本レコード大賞では金賞を受賞しています。

『ギャランドゥ』に込められた想いを徹底考察

さて、曲中でもたびたび歌われる「ギャランドゥ」とは一体何なのでしょうか。「ギャランドゥ」について、歌詞をもとに考察します。

2つの『ギャランドゥ』

「ギャランドゥ」の由来は、次の2つの説が良く知られています。

  1. "gal and do"や"gal un do"、など、英語gal(ギャル)とdoを組み合わせた言葉で、行動的・魅力的な女性を表している。
  2. 作詞者・もんたよしのりが作った女性の名前
いずれにしても造語であることには変わりはないのですが、1の"gal and do"の場合、魅力的な性格の女性一般を指しているように解釈できる一方で、2は女性名ということで、特定の女性を表していると考えることができます。

近年では作詞者のもんたよしのり氏の証言を根拠として2の女性名であるという説が有力であるとされています。曰く、深い意味のないデタラメ英語とのことで、作詞作曲時に生まれたと言われています。

へそ毛・ギャランドゥ

本筋からは逸れますが、ある一定の世代では、へそから下の体毛を指す名称として「ギャランドゥ」という言葉が定着しています。これはもちろん西城秀樹の「ギャランドゥ」から派生した言葉で、ブーメランパンツを履く西城秀樹の姿を見た松任谷由実(ユーミン)が命名したというのが定説となっています。
 

歌詞から考察(1)魅力的な女性

まずは曲の前半の歌詞を読んでいきます。前半は有名な「くやしいけれどお前に夢中」というフレーズが印象的ですが、可視中の主人公の男性の心情が書かれているのはこの冒頭部分だけで、前半(いわゆる1番)の歌詞は美しい女性の描写が多くを占めています。

くやしいけれど お前に夢中
ギャランドゥギャランドゥ

その熟れた肌 うるんだ瞳
ギャランドゥギャランドゥ

透き通る白い肌 黒いドレスに包み

髪を振り乱したままで 踊るギャランドゥ
はじけるドレス 愛をちらつかせて
男の視線集めては お前は光る

Aメロ後半で女性の肌と瞳の魅力を歌い、Bメロでは「黒いドレス」というアイテムが出現します。白い肌との対比も見えます。そしてサビではその魅力的な女性が激しく踊る姿が描写されています。

曲が進行していくにつれて、「ギャランドゥ」の姿がだんだん明らかになっていく作りになっています。Bメロの部分だけでは「ギャランドゥ」の容姿しかわかりません。この段階では美しい静かな女性像と読むこともできます。しかしサビに入って「ギャランドゥ」が動きのあるエネルギーを持った女性であることがわかります。

Photo bynastya_gepp

歌詞から考察(2)ギャランドゥのとりこ

続いて、後半(2番)の歌詞を読んでいきます。2番の歌詞は、主人公が「ギャランドゥ」と出逢い、その魅力にのめり込む様子が描かれています。1番と比べて主観的な表現が多く、主人公の心が具体的に表現されています。また、男たちを魅了する「ギャランドゥ」の様子も書かれています。

衝撃的なお前との出逢い
ギャランドゥ ギャランドゥ
一夜限りの恋でもいいさ
ギャランドゥ ギャランドゥ

男を誘っては クルリと背を向ける

そんな仕草に憎いほど 燃える
ギャランドゥ
みんなが俺に言うぜ あいつにゃ近づくなと
走り出した恋の汽車は 止まりゃしないぜ

その魅力ゆえに男たちから「近づくな」とさえ言われる「ギャランドゥ」。男たちを翻弄するその「仕草」に恋心は燃え上がり、「止まりゃしないぜ」とのめり込んでいきます。

映像のように緻密に構成された1番とは打って変わって、2番では主人公の「ギャランドゥ」に対する熱情が表現されています。歌詞も曲調もヒートアップしてくる場面です。

Photo by Staropramen1969

歌詞から考察(3)恋の行方は

最後にエンディング(コーダ)部分の歌詞を読んでいきます。エンディングの歌詞は一転して客観的な描写になります。2番の歌詞で最高潮に盛り上がった主人公の恋はの行方は分からないまま曲は終了します。

真紅な唇がキラリと光るたび

狙った男落としてく
ギャランドゥ ギャランドゥ
狙った男落としてく
ギャランドゥ ギャランドゥ

「狙った男落としてく」という歌詞からは、「ギャランドゥ」の恋愛に対する積極さが読み取れます。そして、エンディングの歌詞の繰り返しは、「ギャランドゥ」の魅力を強調するとともに、彼女を求め追いかける主人公の男の心情が表現されていると考えられます。

結論・どちらの説か

2つの『ギャランドゥ』のところで「ギャランドゥ」の由来に関する2つの説を紹介しました。おさらいすると、以下の通りです。

  1. "gal and do"や"gal un do"、など、英語gal(ギャル)とdoを組み合わせた言葉で、行動的・魅力的な女性を表している。
  2. 作詞者・もんたよしのりが作った女性の名前
結局どちらの説が妥当なのでしょうか。2の説の方が有力であるとされていますが、歌詞から考えていってもやはり、抽象的な存在である1よりも、作中の特定の人物のことを指している2の説、つまりギャランドゥ=女性の名前と考えた方がしっくりくるようです。

1番、2番の歌詞の冒頭には「お前」と言うことばが出てきます。また、1番の歌詞には容姿が表現され、2番の歌詞にはある女性にほれ込んだ男の心情が描かれています。これらの表現は「ギャランドゥ」が特定の女性を表していることの裏付けになるでしょう。

そう考えると、曲中で何度も連呼される「ギャランドゥ」ということばは、愛する女性に対する心の底からの呼びかけのことばであると読むことができます。

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まとめ

1983年にリリースされた西城秀樹の44thシングル「ギャランドゥ」は、作中に登場する魅力的な女性の名前だと考えられます。つまり、この曲は「ギャランドゥ」と呼ばれる特定の女性に情熱的な恋をした男の歌といえるのではないでしょうか。

そしてその女性像は「静かでおしとやか」ではなく、その魅力で男たちを翻弄していく強いエネルギーを持ったものであることもわかりました。そのエネルギーは、所属事務所を独立し、新たな船出を迎えた西城秀樹自身を象徴しているように見えます。また、「絶唱」するシンガーであった西城秀樹のパワーに対して、作詞作曲のもんたよしのり氏がパワーで答えた結果であるとも考えられます。

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