ハープシコードとはどんな楽器?その特徴や音色をご紹介!
ハープシコードという楽器についてご存じでしょうか?ハープシコードは鍵盤楽器ですが、ピアノなど他の鍵盤楽器との違いについても知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、ハープシコードの特徴や音色、その歴史についてご紹介します。
ハープシコードとはどんな楽器?
ハープシコードとは、一般的に「チェンバロ」と呼ばれている楽器です。「チェンバロ」の他に、「クラブサン」という呼称もあります。ハープシコードは鍵盤楽器で、その形はグランドピアノによく似ており、しばしばピアノの原型と思われがちですが、仕組みも音色も大きく異なります。
音色
ハープシコードの音色は、力強く強弱も大きいピアノの音色とは異なり、強弱がつけにくく繊細な音がします。その理由としては、ピアノとハープシコードとでは音が鳴る仕組みが異なるためです。
ピアノは鍵盤と連動したハンマーが打弦して音を発する「打弦楽器」に分類されますが、ハープシコードは鍵盤に連動した部品についた爪が弦を弾いて音を奏でる「撥弦楽器」です。つまり、ハープシコードの音の鳴る仕組みはピアノというよりはギターなどといった弦楽器に近いものとなります。
歴史
ハープシコードの歴史は古く、16~18世紀によく用いられましたが、「貴族の楽器」として大切に扱われ、高価な調度品あるいは装飾品としての意味合いも持っていました。そのため、金箔で装飾が施されていたり、蓋や響板に絵や模様が描かれているものなど、豪華なデザインのものがたくさんあります。
バロック時代以降、ピアノが鍵盤楽器として普及したことによりその地位は奪われていましたが、近代になってハープシコードの価値が見直され、今に至っています。
ハープシコードはどんな曲で使われる?
ハープシコードは、ルネサンス音楽やバロック音楽でその音色をよく聴くことができます。
ハープシコード音楽の作曲家としてとりわけ有名な人物として、シャンボ二エールやクープラン、スカルラッティが挙げられます。
さらにJ・S・バッハはこれらのハープシコード音楽をより高度なものに高めました。例えば「イタリア協奏曲」は、今日ピアノでよく演奏されている有名な楽曲ですが、元々はハープシコードによる独奏曲として作曲されたものです。
J・S・バッハの息子の時代になり、ピアノが本格的に台頭すると、ハープシコードはピアノにその地位を奪われることとなり、使用されることはほぼなくなってしまいます。
しかしながら、近代になってハープシコードの価値が見直され、楽器が復興されただけではなく、現代音楽やポピュラー音楽にも用いられるようになってきています。
ハープシコードとチェンバロの違い
「ハープシコード」と「チェンバロ」は、呼び名が異なるだけで、一般的には同じ楽器として扱われています。
「ハープシコード」は英語(Harpsichord)が由来、「チェンバロ」はドイツ語(Chembalo)が由来となっています。
このほかに、フランス語(Clavesin)由来で「クラブサン」とも呼ばれます。
詳細については、以下の記事をご参考になさってください。
まとめ
ここまで、ハープシコードという楽器についてご紹介しました。
ピアノと比較すると印象が薄いかもしれませんが、近年はその価値も見直されつつあり、ハープシコードの音色を耳にする機会も増えてきているはずです。ハープシコードの音色や音楽を改めて味わってみるのもよいのではないでしょうか?