【映画】くるりが主題歌を務める映画は名作ばかり?!「ジョゼと虎と魚たち」について徹底考察
くるりが主題歌を務めた映画『ジョゼと虎と魚たち』。名作と評価されるこの映画の主題歌に起用された『ハイウェイ』とはどんな曲なのでしょうか。今回はくるりの名曲『ハイウェイ』や映画『ジョゼと虎と魚たち』についてご紹介していきたいと思います。
大人気バンド、くるり
1998年にシングル『東京』でメジャーデビューを果たしたくるり。
くるりと言えば、これまでに幾度ものメンバーチェンジを経ており、あまりにもメンバーチェンジが多いので「くるりはブラック企業」という噂がある、とまで言われるほど。
現在の正式メンバーは岸田繁(Vo./Gt.)、佐藤征史(Ba./Vo.)、ファンファン(Trp./Key./Vo.)の3人で活動しています。
くるりの楽曲の特徴は、とにかく幅広いその音楽性です。ポップからハードまで、彼らの音楽は1曲ごとに違ったキャラクターを持っています。
たとえば、くるりの代表曲であり「チオビタドリンク」のCMソングとしても有名な『魔法のじゅうたん』。
懐かしさを感じさせるフォークソングチックな楽曲で、CMを通して多くの視聴者を魅了してきた名曲です。
2001年1月24日にリリースされた『ばらの花』は、TBS系のドラマ『オレンジデイズ』の挿入歌に使用されました。
切ないメロディーや天才的なセンスで綴られた歌詞が評価され、『ばらの花』なしではくるりは語れない、名曲中の名曲としてファンからも愛されている楽曲です。
一方で、クラシック音楽を取り入れたアルバム『ワルツを踊れ Tanz Walzer』などもリリースしており、
かと思えば『Tokyo OP』のようなプログレの曲を発表したりもしています。
古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンド。
くるりは公式ホームページのプロフィールで自身のことをこのように述べていますが、くるりというバンドは本当にいろんな音楽に影響を受け、それを吸収しながら”くるりの音楽”として私たちに届けてくれる最強のロックバンドです。
「ジョゼと虎と魚たち」でも主題歌をつとめる
2003年に公開された映画『ジョゼと虎と魚たち』。この映画の主題歌をくるりが手掛けました。
映画『ジョゼと虎と魚たち』は田辺聖子の短編小説を原作としており、妻夫木聡と池脇千鶴が主役を務めました。
監督はさだまさしの小説を原作とした映画『眉山』(2007)や野村萬斎が主演を務め大ヒットを記録した映画『のぼうの城』(2012)、『引っ越し大名!』(2019)など数々の話題作を手掛ける犬童一心。
物語は、大学を卒業したばかりの管理人・恒夫(妻夫木聡)と、足が不自由なためにほとんど外に出たことのないジョゼ(池脇千鶴)のラブストーリーとなっており、この作品ではキャストも適役と大評判でした。
特に池脇千鶴の演技力は非常に話題となり、純粋なジョゼの怒ったり笑ったりする表情や、その存在感まで全てにおいて完全にジョゼを演じきっていたと評価されています。
映画『ジョゼと虎と魚たち』は決して明るい作品ではなく、重く暗い作品とも言われていますが、それでもどこか生きていく力をくれるような不思議な魅力を持った映画です。
恒夫とジョゼの恋はまさに青春で、眩しくて尊くもあるのですが、そうした明るい部分だけではなくてほろ苦い部分も描かれており、人生は長くて、それをどうやって生きていくのかということ、生きていかなければならないということに改めて向き合わせてくれる作品だと思います。
たとえば、映画の中でジョゼが車椅子を使って歩道を進むシーンで、自転車をこぐ学生などがジョゼの横を通って彼女を追い越していくシーンがあります。
こうしたシーンにも、ジョゼと他の人たちの生活の違いがさりげなく表されているように感じられます。
これは、決して足の不自由なジョゼとそうではない人との生活の違いだけではなく、誰もが1人1人違った生活を送っていて、どんなに愛し合っても入りきれない部分があると思い知らされるような、そんな絶望感がとても穏やかに表現されているように感じられるのです。
障害を抱えた人生や、若い2人の恋。一見ドラマチックなように思えて、でも実際には人生というのはそんな映画みたいなことはなかなか起こらない。
ある恋がただ始まって終わるところが描かれた、リアリティ溢れる作品となっているのがこの映画の魅力です。