【君の名は】新海誠の大ヒット超話題作は主題歌にも注目が集まる？！物語をRADWIMPSがバックアップする！

映画「君の名は。」は日本はもとより、全世界で大ヒットして、それまで一位であった宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」の興行収入を超えて、日本歴代一位という輝かしい記録を打ち立てました。なぜ、「君の名は。」は人々を魅了してやまなかったのでしょう。

その一端として「君の名は。」の音楽を担当したRADWIMPSの音楽が深く影響していることは間違いありません。新海誠監督はRADWIMPSの楽曲を初めて受け取ったときに「すごい楽曲をもらってしまった！」と感嘆したそうです。

彗星が割れてさらに分裂して今まさに地上に落下する瞬間が描かれて映画の幕が開きます。

朝起きた20代前半と思われる男女がそれぞれベッドの上で、忘却の彼方に忘れてはいけない人がいるのではないかとの途轍もない喪失感に苛まれながらも、いつもの日常が動き出します。

そのなんともいえないもどかしさが始まったのはあの彗星が割れてそれが地上に落下した美しい光景を見せた日からのことであるとの2人の告白で物語が動き出します。

東京都心付近に住む大して強くないくせに喧嘩っ早い男子高校生・立花瀧と飛騨・糸守町の伝統ある宮水神社に生を享けた美しい女子高生・宮水三葉は、ある時、突然にお互いの肉体に心が入れ替わってしまうという不思議な現象が起こります。二人はこれは夢だと初めは思うのでした。

しかし、その日を境に心の入れ替わりは週に2～3回起こるのです。ところが、この珍現象が夢ではなく、次第にこの不思議な現象が現実だと思い始める二人。三葉のところに流れる時間は3年前の1000年周期で太陽に近付くティアマト彗星が地球に最も近づこうとしていた時のことでした。つまり、三葉と瀧との間には3年の時のずれがあったのです。これがポイントです。

思うに新海誠監督は「君の名は。」である種の時間論を真正面から提示していると思われます。

初めは、瀧も三葉もお互いに心が入れ替わることに戸惑い、お互いの日常生活を全く知らない二人は、入れ替わった初日、記憶喪失にでもなったかと周囲には思われるのです。ところが、内心ではお互い惹かれ合ってゆくことになってゆくのですが、それを本人達はある時まで気付かないのでした。

そして、この不思議な現象が現実の物と思い始めた瀧と三葉はお互いが入れ替わっている時の禁止事項を作り、それぞれスマホに日記を残すのでした。三葉は瀧の身体になっている時には憧れの東京生活を満喫します。瀧のアルバイト先には美人の奥寺ミキ先輩がいて、瀧に入れ替わっている三葉は、瀧のスマホを見て、瀧が奥寺先輩に片想いしていることを察します。

そんな中、瀧になっていた三葉はバイト中に客に理不尽な因縁をつけられ、それに対して果敢に反論していたところに奥寺先輩が割って入って、その場は奥寺先輩に助けてもらいます。しかし、奥寺先輩はその因縁をつけた客にカッターでスカートを切られていたのです。瀧と入れ替わっていた三葉はすかさず、奥寺先輩のスカートを見事な刺繍で繕います。

「女子力高い」と奥寺先輩に感心された心は三葉の瀧はその日、奥寺先輩と2人で帰ったのでした。

そうして、瀧と奥寺先輩の距離は一気に縮まりました。しかし、他のバイト仲間はそれが面白くなく、瀧に対して嫉妬するのです。瀧は三葉がしたことなので何の覚えもなく、唯、戸惑うばかりなのでした。

一方、三葉に入れ替わった瀧は不慣れな田舎生活に戸惑い、友達のテッシーこと勅使河原克彦とサヤちんこと名取早耶香に不審がられるのでした。

三葉が三葉の時に宮水神社では大切な神事が執り行われます。その神事のために三葉と妹の四葉、そして祖母の一葉で組紐が編み上げられるのでした。三葉の母の二葉は三葉が幼い時に病死しています。父親は、婿養子だったこともあり、妻の二葉の死後に宮水家を出て糸守町の町長になっています。

宮水神社の神事で、三葉と四葉は巫女として舞を神に捧げた後に世界最古といわれる「口噛み酒」の神事が執り行われます。口噛み酒は巫女が米を口で噛んでそれを吐き出し、後は自然発酵するのを待つというものなのでした。

三葉に入れ替わった瀧は糸守町での生活にも慣れ、その喧嘩早くて運動神経抜群な様を同級生に見せつけるのです。

ある日のことです。その日は宮水家の人がご神体に口噛み酒を奉納する日なのでしたが、その奉納の日に瀧が三葉に入れ替わっていました。宮水神社のご神体があるところは宮水神社からかなり遠く離れたところにあり、瀧が入れ替わっていた三葉は、祖母の一葉を背負って道行くのです。

その一葉が「結び」について三葉と四葉に語りかけます。そこで、一葉は時間が組紐のようだとの話をします。ある時はもつれて、ある時は途切れ、ある時は先に戻り、そして、再び元に戻るのを繰り返しながら、時間も組紐のように編み上げられているというのです。

この一葉が語ることが新海誠監督の時間論の本質であり、物語は一葉の言葉のように時間が錯綜しながら進むのです。

宮水神社のご神体に到着した宮水家の人たちは口噛み酒を奉納します。そして、一葉が三葉が夢を見ているのではないかといい、すると三葉と入れ替わっていない瀧が目覚めるのでした。すると奥寺先輩から連絡が瀧に入ります。

それまでの経緯はというと、瀧に入れ替わった三葉は奥寺先輩と昵懇になり、奥寺先輩とデートの約束をします。しかし、デートの時は三葉は瀧とは入れ替われず、そして、何故だか分からずに、三葉は涙を流し涙は頬を伝わるのでした。

瀧はというと、その日が奥寺先輩とのデートの当日で、三葉の伝言から瀧はその日が奥寺先輩とのデートだと分かったです。急いで瀧は家を出て、待ち合わせ場所の四ツ谷駅に走ってゆくのでした。

四ツ谷駅に着くとすぐに奥寺先輩に声をかけられ、瀧は、奥寺先輩のオシャレをした美しい姿に息を呑むのでした。瀧は奥寺先輩のリードの下、デートしますが、瀧はデートをしたことがなかったために会話が続かず、四苦八苦するのでした。

一方、その日は糸守町ではお祭りの日なのでした。三葉はバッサリと髪を切り、テッシーとサヤちんをびっくりさせるのでした。浴衣姿の三葉はそれでも美しいのです。三葉が少し先を歩きテッシーは三葉が何故髪をバッサリ切ったのかを邪推するのでした。それをサヤちんが諫め、すると長く尾を引いたティアマト彗星が鮮明に見えたのでした。

ティアマト彗星はしかし、突然割れて割れたものが大気との摩擦熱で真っ赤になり、落下するのでした。そして、三葉の顔のアップで「キン」という音とともに真っ暗となり、場面は奥寺先輩と分かれ、三葉に電話をする瀧へと変わるのでした。

その二人の入れ替わりが、彗星が割れてその割れたものが飛騨・糸守に落下した時を境にピタリと起きなくなってしまうのです。

すると瀧は何かに取り憑かれたように記憶をたどって飛騨・糸守のスケッチを描き始めます。何枚かのスケッチが描き終わったところで、瀧は飛騨へと向かいます。瀧が駅に着くとそこには奥寺先輩と友達の藤井司が瀧を待っていたのでした。

仕方なく三人で飛騨に向かうことになった瀧は、奥寺先輩と司の旅気分の浮かれた様子に腹を立てつつも飛騨の人たちにスケッチを見せ、その場所を知らないか尋ね回るのでした。しかし、手がかりは全くなかったのでした。

そこで、瀧は食事処「高山ラーメン」で東京に帰ると奥寺先輩と司に伝え、高山ラーメンを食べ終えた後にスケッチを取り出して、それを見つめていると、高山ラーメンの女将さんがそのスケッチを見て、それは糸守というのです。ざわつく奥寺先輩と司。高山ラーメンの主人が糸守出身で、主人もそのスケッチをまじまじと見るのでした。

瀧たちは高山ラーメンの主人が運転する車で、糸守へと向かうのでした。糸守へ着くと瀧は糸守を襲った惨劇の跡を目の前にして、呆然とします。

そして、三人は相部屋の旅館で一泊することとなり、瀧は糸守を襲った隕石の落下事件の資料を手当たり次第に片っ端から当たり、やがて、死亡者名簿に宮水三葉の名前を見つけてしまうのでした。

疲れて椅子に座ったまま寝てしまった瀧は宮水神社のご神体に三葉の口噛み酒を一葉と四葉とで奉納したことを思い出し、奥寺先輩と司には置き手紙をして、そこへと一人で向かいます。ご神体の場所に着いた瀧はうろ覚えだった記憶が現実だったことを思い知らされます。奉納した三葉の口噛み酒の入った徳利を手にし、そして、瀧は一口、三葉の口噛み酒を飲むのでした。瀧は立ち上がろうとした途端に、足をすべらせて倒れるのですが、その途端に瀧の脳裡には三葉の受精卵から、誕生、母・二葉との死別、父が宮水神社から出て行ったこと、そして、祖母の一葉に育てられ、今に至ったことが走馬灯のように駆け巡り、瀧は倒れたときに頭を軽く打って気を失ってしまうのでした。

すると、奇跡が起きたのか、再び、三葉は瀧に入れ替わります。時は彗星が割れて地球に隕石となって落下する当日のことなのでした。心は瀧の三葉は糸守の町民を救うべく、奔走します。

そんな時、心が瀧の三葉は、瀧が糸守に来ていると感じ取り、瀧がいる宮水神社のご神体へと向かいます。心が瀧と三葉は黄昏時に宮水神社のご神体の場所で三年の時のずれを超えて出会います。すると、入れ替わりは解けて、瀧は瀧へと三葉は三葉へと戻っているのでした。黄昏時は短く、お互いの名前を忘れないようにと三葉が瀧の手に三葉の名前を書こうとした時に三葉は忽然と姿を消すのでした。

急いで糸守高校へと戻った三葉はテッシーと落ち合います。テッシーが家から発破を持ち出し、変電所を爆破します。そして、糸守は、一瞬で灯りが消え、停電となります。

お祭りの屋台のお店が列をなしている中、三葉とテッシーは町民を糸守高校へと避難させようと試み、会う人会う人とに声をかけ、一方でサヤちんは、町内放送を乗っ取り、高校から町民への避難を呼びかける放送をしているのでした。

しかし、誰一人、非難する人がいず、ティアマト彗星が割れるのを見て三葉は三葉の父親の町長を説得するしかないと、三葉は町役場へと駆け出すのでした。

町役場へ着いた三葉は父親へと詰めよるところで、この場面は終わります。

時は流れ、瀧が「入れ替わり」という不思議な出来事に遭ってから5年後、つまり、糸守の住民が避難訓練をしており奇跡的に一人の死者も出なかった糸守町への隕石衝突から8年後へと場面は変わります。瀧は就活の毎日で、三葉たちは東京で暮らしているのでした。瀧も三葉もお互い「誰か」を探していることだけを感じながら、時に東京の街中ですれ違うことはあってもどちらかが気付かずにすれ違いの日々を送っていたのでした。

ある春の日、三葉が併走する電車にまさしく探していた男性を見つけるのです。そして、瀧も女性に気付きます。次の駅で共に電車を降りた二人は、お互いに会うために東京の街を走るのでした。そして、坂の階段でお互いが出会うのです。しかし、お互いにすぐには声がかけられずに、すれ違って行く二人なのですが、瀧は坂の上で、その女性を呼び止めます。女性の方はうれしさで涙を流しながら、それに答えます。「君の名は。」と。

そもそもRADWIMPSが新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」の作品に深く関わることになったのは、新海誠監督がRADWIMPSのファンであったためです。

 

新海誠監督はRADWIMPSのことを「すごい人たち」と尊敬にも似た感情で感心ひとしおといった筋金入りのRADWIMPSのファンなのです。

その新海誠監督が「君の名は。」の音楽の担当を決める段になったときに、RADWIMPSが好きといったのが事の発端です。その場でRADWIMPSのほぼ全ての歌の作詞・作曲を担当しているボーカル・ギター・ピアノの野田洋次郎と知り合いのスタッフがLINEで野田洋次郎に連絡を取ったのでした。それであれよという間に「君の名は。」の音楽がRADWIMPSに決まったのです。

野田洋次郎やベース・コーラスの武田祐介らRADWIMPSのメンバーも新海誠作品のファンで「君の名は。」以前の新海誠作品を既に観ていました。

武田祐介は、新海誠監督が1人で作った「ほしのこえ」のクオリティの高さに感心しきりで、熱心な新海誠監督のファンだったのです。

野田洋次郎は、新海誠監督は一体どんな人なんだろう、と新海誠監督という人間に特に興味があったのです。それはRADWIMPSの歌で展開する野田洋次郎の繊細にして鋭い観察眼から紡がれる心の微妙な動きを巧みに捉えた歌さながらなのです。