多様な愛の形を描いた映画「恋人たち」をさらに盛り上げる明星/Akeboshiの主題歌にも注目!
橋口亮輔監督の映画「恋人たち」とその主題歌「Usual life」。二つの作品のつながりや「恋人たち」について解説します。そして主題歌と共に映画内の音楽を担当したAkeboshi に注目して、他の映画や楽曲もご紹介していきます。
奇才、橋口亮輔が監督を務めた名作「恋人たち」
「ハッシュ」「ぐるりのこと。」などで有名な橋口亮輔監督による作品で、『飲み込めない想いを、飲み込みながら生きている人が、この日本にどれだけいるのだろう』という監督の思いをもとに、脚本・編集・キャストオーディションを監督自身が手掛け、2年の歳月をかけて作り上げられた長編映画です。
映画「恋人たち」あらすじ
弁当の仕出し屋でパートとして働く主婦、その主婦の作った弁当を受け取る男、その男から賠償請求の依頼を受ける弁護士の三人は、同じ世界で接点を持ちながらも深く関わることはなく、しかし、同じように心にやりきれない思いを抱えていた。
主婦は身勝手な友人と不倫相手の男にいい様に利用され、男は通り魔殺人で妻を失い自暴自棄から覚せい剤に手を出し、弁護士は同性愛者であるが故に親友の妻から中傷まがいの迫害を受ける、と世の中の不条理をその身に受けた3組の「恋人たち」が、苦しみを乗り越えその先の小さな希望へ向かうという物語です。
物語の焦点は結果ではなく再生の過程に当てられていて、場面ごとのリアルな”人間”は、役者の演技はもちろん橋口監督ならではの切り口で表現がされています。
物語をさらに盛り上げる明星/Akeboshiによる主題歌「Usual life_Special Ver.」
「Usual life_Special Ver.」は「恋人たち」の約一年前に、先だって発表済みだったアルバム「After the rain clouds go」に収録されていたものを、特別バージョンとして編曲したものです。
映画主題歌と「恋人たち」のつながり
"are we getting back to usuail life? you sure we're back to usual life?"
"あの日々に戻れるって、戻りたいって本当に思うかい?"
そんな風な問いかけを淡々としたメロディーに乗せて繰り返すこの曲は、登場人物に投げかけるように映画の中で使われています。
抗えない流れの中で失ったものを、取り戻すのではなく自分の糧として、静かに先へ進んでいく登場人物の姿と曲が映画を見終わった後も心に残ります。
「恋人たち」以外での映画主題歌
ここからは映画の主題歌ともなった「Usual life_Special Ver.」を手掛けたアーティストAkeboshiについてご紹介していきます。
Peruna
こちらは「恋人たち」発表の7年前、2008年公開の「ぐるりのこと。」でも橋口監督の映画の音楽を担当した他、セレクションアルバムを発表するなどして映画音楽の世界に携わっています。
映画の中の背景をそのまま歌詞にしたかのような曲は、作中の年月のように淡々と流れ、何とも言えない寂しさとやさしさを余韻として残します。
点と線
そして最近では野尻克己監督2018年公開の「鈴木家の嘘」という、”家族の再生”をテーマにした映画の主題歌に楽曲が起用されています。
この作品でも音楽全体に携わっていて、「鈴木家の嘘 Original Soundtrack」としてアルバムを残しています。
またAkeboshiと同じように映画などの主題歌に多く起用され、個性を放つアーティストにくるりがいます。こちらに記事があるので気になったかたはどうぞ。
ここまで見ると映画音楽ばかりですが、アーティストとしての活動は独自のライブやアルバム制作などが中心です。次からは映画音楽以外に注目してその作品を追っていきましょう。