【映画】数々の賞を受賞した「万引き家族」、サウンドにも高評価の声が!
2018年に上映された映画「万引き家族」。
数々の賞を獲得した本映画の音楽は音楽界の巨匠、細野晴臣さんが作られています。
映画と同じくらい高い評価を受けサウンドトラックも発売されている、細野晴臣さんによる「万引き家族」の音楽はどのような経緯で作られたのでしょうか。
第71回カンヌ国際映画祭にて、パルムドールを受賞した「万引き家族」
「万引き家族」の功績
映画「万引き家族」はたくさんの賞を受賞し大変話題となりました。
中でも一番の快挙だったのは第71回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞したこと。
日本映画がパルムドールを受賞するのは1997年の「うなぎ」(今村昌平監督)以来21年ぶりのことでした。
パルムドール以外にも第91回米国アカデミー賞では外国語映画賞部門外国語映画賞にノミネートを果たしました。
こちらも日本映画では2009年の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来10年ぶりという久々の快挙でした。
ゴールデン・グローブ賞では外国語映画賞にノミネートされました。
本賞で日本映画がノミネートされるのは2013年の「風立ちぬ」(宮崎駿監督)以来、実写映画で言えば1990年「夢」(黒澤明監督)以来のことです。
海外だけでなく日本国内でもたくさんの評価を得ました。
第42回日本アカデミー賞にて最優秀作品賞を含む8部門で最優秀賞を受賞。
キャスティングされた俳優陣も賞を受け取りました。
数々の受賞結果からどれだけ優れた映画であるかが分かりますね。
「万引き家族」監督は是枝裕和監督
映画「万引き家族」は同じく日本アカデミー賞で最優秀賞6冠を獲得した『三度目の殺人』や『そして父になる』で有名な是枝裕和監督の作品です。
監督自身もドキュメンタリー出身の監督として国内外で大変高い評価を得ています。
様々な「家族のかたち」を描いてきた是枝監督。
是枝監督は「万引き家族」について「10年間考え続けたことを全て込めようと覚悟して挑んだ」と話されています。
「万引き家族」を作ったきっかけは、亡くなった家族の年金を不正受給していたという実際にあった事件。
是枝監督がこの事件をテレビで目にしたとき「犯罪でしかつながれなかった」というキャッチコピーが浮かんだそうです。
血縁の相関図がない「犯罪でつながった家族」の姿を映画にすることで「絆」とは何かを改めて考えてみたかったと是枝監督は語っています。
次は「万引き家族」のあらすじや見どころをご紹介します。
「万引き家族」のあらすじとは?
「万引き家族」のあらすじ
「万引き家族」のあらすじをご紹介します。
東京の下町にある今にも壊れそうな古い一軒家。
そこには家主である初枝、日雇い労働者の治、その妻の信代、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしています。
家主である初枝の年金で生活し、足りない分は万引きで凌ぐ。
彼らに血縁の相関図はありません。
そんな異様な家族ですが、仲は良く笑いが絶えない日々を過ごしていました。
冬のある日、いつも通り万引きを終えた治と祥太が家に帰る途中、団地のベランダに出された小さな女の子じゅりを見つけます。
寒さに震えるじゅりを見かねた治は家へ連れて帰ることにしました。
信代、初枝、亜紀は「どうするつもり」とぼやきながらもじゅりの世話を焼き始めます。
後日、治と信代はじゅりを元の家へ戻そうと団地に向かいます。
団地に着くとベランダから「産みたくて産んだわけじゃない」とじゅりの母親らしき声が聞こえてきました。
それを聞いた治と信代はじゅりを置いていく訳にはいかず再び連れて帰ることにしました。
じゅりの体中に傷を見つけたこともあり、深刻な事情を察した信代はじゅりを娘として育てることを決めます。
長い間、じゅりの捜索願を出された様子はありませんでしたが、テレビで失踪事件として報道されるようになりました。
家族はじゅりのことが世間にばれないように、じゅりの髪の毛を短く切り呼び名を「りん」に変え祥太の妹としました。
治は工場現場で日雇いの仕事をし足りない分は万引きで稼ぎます。
信代は仕事のためクリーニング店へ行き、客から預かった衣服のポケットから見つけたアクセサリーなどを持ち帰ります。
祥太とりんは学校も行かず駄菓子屋で万引き。
初枝はパチンコ店で他の客のドル箱をネコババ。
亜紀は女子高生見学店に出勤するなど、みんな何かしらの不正や犯罪を行っていましたが家族の絆は深まっていきました。
そんな中、ある事件が発生。
それをきっかけに家族はバラバラとなり、それぞれが抱える秘密や思いが明らかになっていきます。
犯罪でしか繋がれない家族に違和感を覚えつつもなぜか応援したくなる。
ラストを見終えたあと、家族とは何なのかを考えさせられるストーリーです。
「万引き家族」注目のキャスト
実力派俳優が揃ったキャストにも注目です。
是枝裕和監督の作品ではおなじみのリリー・フランキーさん。
息子と万引きしたり日雇いの仕事でケガをして働けなくなったりと褒められたものではないけれど、情が深く哀愁がある憎み切れないお父さんを見事に演じています。
是枝裕和監督はリリーさんのことを「何もしない」という映画で一番難しいことができるバケモノだと語っています。
「ラストまででくのぼうでいて」と監督から指定された治役はリリーさんにしか出来ないキャストだったのかもしれません。
名女優の樹木希林さんのキャスト、初枝役もとても素晴らしいです。
「気持ち悪くする」ために髪を伸ばし入れ歯を外して挑んだ初枝役。
この役作りを樹木希林さんは「ヌードより恥ずかしい」と語られていました。
パチンコで玉を盗んでいる場面が印象的です。
カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員長ケイト・ブランシェットさんが高く評価した安藤サクラさんの演技にも注目です。
元々、治役が50代のリリーさんだったので30代の安藤サクラさんのキャストは考えられていなかったそうですが、たまたま街で安藤さんに会った是枝監督は「この2人ならありかもしれない」と思い、翌日には安藤さんへ打診していました。
彼女の演技がなければ「万引き家族」はまた違った映画になってしまっていたかもと思えるくらい彼女の演技は映画のきもとなっています。
ラストの彼女の涙は圧巻です。