【サマーウォーズ】夏といえばこの映画。主題歌には山下達郎「僕らの夏の夢」が起用されている

2019年に公開から10周年を迎え、いまなお愛され続ける長編アニメーション映画「サマーウォーズ」。毎年夏が来るたびに観たくなる「サマーウォーズ」の魅力と映画の世界観を踏襲した山下達郎の主題歌「僕らの夏の夢」を徹底考察します!

記事の目次

  1. 1.夏といえばこの映画、「サマーウォーズ」
  2. 2.映画「サマーウォーズ」の主題歌は山下達郎の「僕らの夏の夢」
  3. 3.「僕らの夏の夢」だけじゃない、山下達郎の夏ソング
  4. 4.映画「サマーウォーズ」の主題歌「僕らの夏の夢」に込められた意味を徹底考察
  5. 5.映画「サマーウォーズ」の主題歌「僕らの夏の夢」のまとめ

映画「サマーウォーズ」の主題歌「僕らの夏の夢」に込められた意味を徹底考察

それでは、「サマーウォーズ」のために書き下ろされた山下達郎の「僕らの夏の夢」の歌詞を詳しく見てみましょう。
映画のストーリーと重ね合わせながら考察してみたいと思います。
 

あの丘の向こうから

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あの丘の向こうに
僕らの夏がある
変わらないもの
美しいもの
すべてそこにある

太陽の行方を
向日葵が追いかける
風の音さえ
聞こえないほど
僕らは見つめ合う

導入部の冒頭に出てくる“あの丘”とは、「サマーウォーズ」では長野県信州上田市ということになるでしょう。
映画を観た人からすれば、自然豊かな信州の風景を想起することになります。

ただ、これを歌詞上の比喩表現と捉えたなら、ある一定の時間(記憶)を示しているようにも感じます。
曲中の主人公(映画では健二)が少し歳を重ね、あの日の夏(青春時代)を思い起こしている情景が浮かびます。

ここでの“夏”は、季節としての夏だけでなく、“人生における夏”を意味しているのではないでしょうか?

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“太陽”も“向日葵”も夏を象徴するものです。
ただ、“太陽の行方を向日葵が追いかける”とあります。
あまり知られていませんが、向日葵が太陽のある方角を向くのは成長期だけです。
人間でいえば、まさに青春時代といわれる時期でしょうか。

少しだけ大人になった主人公が、そんな夏の日の自分と重なっていく…
そんなストーリーが隠されているように思います。

小さな奇跡が生まれる

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心と心を重ねて
光の滴で満たして
手と手を固く結んだら
小さな奇跡が生まれる

この曲をラブソングとして捉えるなら、“見つめ合う二人の心が重ねって愛が生まれる”と考えることができます。
「サマーウォーズ」の登場人物でなら、真希と健二ということになるでしょうか。

でも、この作品での愛は、もっと普遍的な愛であるように思います。
“光の粒”は希望や信頼のことで、その先で人と人の間に小さな奇跡として、“愛(つながり)”が生まれるのでは?

劇中では、主人公の健二がみんなの期待や信頼に応えたいと思うことで、実力以上の奇跡を起こします。
世界を救うという大きな使命のためでなく、すぐそばにいる人たちを守りたいという信念が起こした奇跡といえるでしょう。

信じてほしいんだ

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信じて欲しいんだ
未来が見えるんだ
君の暗に
空の碧さが
映るそのたびに

零戦が空を飛ぶ
はるかな時代から
僕らがここで
出会えることも
きっと決まってた

“信じてほしい”や“未来が見える”とは、希望を失わないでほしいというメッセージ。
未来の自分が、過去の自分を“君”と言っているようにも思えるし、不特定多数の“Everyone”を指しているのかも?

“空の碧さ”という歌詞で、“青”ではなく“碧”を選んだことを深読みすると、
碧は、緑に近い青緑色を意味するだけでなく、光り輝く宝石のような石という意味もあります。
“光り輝く宝石”=“希望”と考えるとなんだかしっくりきます。

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“零戦”は、第二次世界大戦期における日本海軍の艦上戦闘機のことです。
「サマーウォーズ」での戦争は、過去の戦争に比べかなり未来的な戦いですが、そんな過去を経て現在があることに違いはありません。

戦争の是非はともかくとして、そのような状況の中でも未来を信じた人々がいたからこそ、未来は失われなかったのです。
そのことを、“僕らがここで 出会えることも きっと決まってた”という歌詞から慮ることができます。

僕らの歴史が始まる

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幾千の愛の記憶を
僕らは辿って行こうよ
とこしえに君を守るよ
僕らの歴史が始まる

幾千年の時を超え、幾千という人々がつないできた、今という未来に僕らは生きている。
そして、それはこれから先も続いていく。いつだって、今その瞬間から僕らの歴史は始まるんだ。

“僕ら”には、君と僕という最少単位と、希望を失わないすべての人という最大単位のつながり、その両方を指しているのではないでしょうか。
 

僕らの奇跡が生まれる

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Oh 運命が
ここから
どこへと
向かおうと

雲に描いた
白い約束
決して忘れない

心と心を重ねて
僕らは夏の夢を見る
手と手を固く結んだら
小さな奇跡が生まれる
僕らの奇跡が生まれる
真夏の奇跡が…

“雲に描いた白い約束”は、とても詩的な表現です。
雲は形を留めてはおけません。白い雲に描いた白い約束は、純粋な想いであり、またその不確かさを表しているのでしょう。

そんな不確かでありながら、どこまでも清らかで強い信念のことを“夏の夢”と例えているように思います。
そして、これから先どんなことが起ころうとも、夏の夢を信じることができれば、僕らの奇跡が生まれるのだと伝えています。

映画「サマーウォーズ」の主題歌「僕らの夏の夢」のまとめ

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映画「サマーウォーズ」では、リアルな日常と先進的な仮想現実が同時進行で描かれています。

現実と仮想、平凡と非凡、アナログ(人間)とデジタル(人工知能)など、相反するものを違和感なく融合させた世界観が「サマーウォーズ」の魅力です。

この作品が、もっと未来的で非現実的なファンタジーアニメーションであったなら、これほど多くの人から高い評価を受けることはなかったでしょう。
アニメファンやSF映画ファン以外からも支持されたのは、この作品のテーマが“人(家族)”であり、“愛(つながり)”であったから。
同じ未来でも、その未来は私たちが紡ぐ未来!
一人ひとりが希望を胸に描く未来であることを、主題歌である「僕らの夏の夢」も物語っています。

あなたもこの夏、映画「サマーウォーズ」を観て、“夏の夢”を思い起こしてみてはみてはいかがでしょうか?




 

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