【ドラマ】弱小吹奏楽部の青春を描く「仰げば尊し」にBUMPの『アリア』が起用!込められた想いを徹底考察!
TBSで放送されていたドラマ「仰げば尊し」。BUMP OF CHICKENが主題歌「アリア」を書き下ろしました。歌詞や曲調が青春を感じる楽曲ですよね。この「アリア」に込められた想いを歌詞や様々な視点から徹底考察していきます!
「仰げば尊し」は実話を基にした吹奏楽部の青春ドラマ
2006年7月に開始されたTBSドラマ「仰げば尊し」は、弱小吹奏楽部をある元サックスプレイヤーが強豪校へと育て上げた”奇跡の実話”をもとにしたドラマです。
問題ばかりを起こしていた生徒たちはその元サックスプレイヤーの情熱に魅せられ、やがて吹奏楽の甲子園「吹奏楽コンクール」に真剣に取り組んでいくという物語です。
ピンポイントで「吹奏楽」が物語の軸にあるドラマはあまりないので、当時の吹奏楽部に所属していた学生や多くの吹奏楽経験者は期待をしてみていた方も多かったのではなかったでしょうか?
主要キャスト紹介
生徒たちの成長に大いに携わった恩師にあたる
元サックスプレイヤー 樋熊 迎一
【寺尾 聰】(写真:右)
樋熊の娘で音楽大学の4年生
後に吹奏楽部の指導に携わり
父の代わりに指揮を振る 樋熊 奈津紀
【多部 未華子】(写真:左)
不良グループの副リーダー的存在で
バンド、吹奏楽部ともにアルトサックス担当 木藤良 蓮
【真剣佑】(現:新田 真剣佑)(写真:左から2番目)
不良グループのリーダーで
バンド時代にはヴォーカルとギター担当
吹奏楽部ではトランペット担当 青島 裕人
【村上 虹郎】(写真:左から3番目)
吹奏楽部の部長で
樋熊に吹奏楽部の指導依頼をした
吹奏楽部ではクラリネット担当 有馬 渚
【石井 杏奈】(写真:一番右)
木藤良と青島とバンドを組んでいた不良仲間
バンド時代はキーボード担当
吹奏楽部ではトロンボーン担当 安保 圭太
【北村 匠海】(DISH//)(写真:一番左)
バンド時代はベース担当
吹奏楽部ではチューバ担当 桑田 勇治
【佐野 岳】(写真:右から2番目)
バンド時代はドラム担当
吹奏楽部ではティンパニ担当 高杢 金也
【大賀】(写真:右から3番目)
以上が主要キャストでしたが、吹奏楽部員だけでも37名起用されています。
今を輝く、またこれからの若手キャストが多く出演している作品でした。
そもそも「仰げば尊し」という楽曲とは?
「仰げば尊し」というタイトルにもなっているこの楽曲は卒業式の定番ソングですよね。
現在では歌うことが減っているようですが、歌わずとも式中にBGMとして流れてはいるのではないでしょうか。
では、仰げば尊しとはどういった曲なのでしょうか。
「仰げば尊し」とは、見上げるほど尊いものを指します。
楽曲ではそのあとに「わが師の恩」と歌詞が続きます。
つまり、
見上げてみてしまうほど尊い教師への恩
を表現した楽曲なんですね。
このドラマでは生徒たちが恩師(寺島聰)を想うシーンが多く出てきます。
「仰げば尊し」というタイトルである意味がとてもわかりますね。
主題歌にはBUMP OF CHICKEN『アリア』が起用された
ドラマの為に書き下ろしをされた「アリア」は、BUMP OF CHICKENにとって約4年ぶり3作目のドラマ主題歌で、前作から約1年9か月ぶりのリリースでした。
BUMP OF CHICKENとは?
BUMP OF CHICKENは1996年にインディーズデビューをした男性4人組のバンドです。
バンド名は「臆病者の一撃」という意味で過激なネーミングですね。
メンバー全員幼なじみでバンドリーダーは「メンバーは皆平等」という考えからいません。
アニメやCMのタイアップ曲が多く、中でもにドラマ「天体観測」の挿入歌で使用された「天体観測」は最も知名度の高い楽曲ではないでしょうか。
現在も音楽チャートの第一線で活躍する人気バンドです。
「アリア」とは?
そもそもタイトルの「アリア」とはオペラでオーケストラの伴奏で独唱する叙情的な曲を意味します。
日本では「詠唱」と呼ばれています。
アリアは、オペラなどの劇中歌で登場人物が心を強く動かされた場面や、物語の進行に大きく関わる場面でよく歌われます。
アリアの名曲
アリアの名曲は多くありますが、
歌劇「トゥーランドット」より
誰も寝てはならぬ/プッチーニ作曲
は、冬季オリンピックにて荒川静香さんが使用されていたので
現代でオペラにさほど興味がない人でも全世界的に知名度の高いアリアではないでしょうか。
BUMP OF CHICKENの「アリア」というタイトルの意味
アリアのそもそもの意味やアリアがどういった楽曲なのかは上記で述べました。
つまりBUMP OF CHICKENのアリアのタイトルの意味は、
登場人物たちの心情が大きく揺さぶられることや
それによって大きく変化した未来
をアリアの本来の意味となぞらえて付けられたんではないでしょうか。
樋熊に出会ったことで生徒たちの未来が大きく変わっていきます。
アリアの本来の意味と類似していますよね。
BUMP OF CHIKEN『アリア』に込められた想いとは?歌詞を徹底考察
「アリア」というタイトルの意味を考察しましたので、次は主題歌としてのこの楽曲に込められた想いを歌詞から考察していきます。
歌詞を考察!「僕らはお揃いの服を着た 違う生き物」
あの日の些細なため息は ざわめきに飲まれ 迷子になったよ
ありふれた類だったから どこに転がったって その景色の日常
彼には辛いことや悩みがあったのでしょう。
それは彼にとって大きな問題なのですが他人から見るとそうでもないことで、どうしたらいいかと困っています。それが彼にとっては日常的なことのようです。
言葉は上手に使ったら 気持ちの側まで 近づけるけれど
同じものにはなれない 抱えているうちに 迷子になったよ
人は他人の気持ちを理解しようとしても、言葉で聞いて気持ちに寄り添うことは出来ても、全く理解するということは出来ません。
逆に言えば、自分の辛いことや困ったことも、他の人には自分と同じようにはわかってもらえない
ということですね。
それを総括して
僕らはお揃いの服を着た 別々の呼吸 違う生き物
と表現しています。
私たちは人間という同じような皮をかぶって似たような服を着て同じように見えるのに、理解し合えない別々の生き方をしている、違う生き物だと言っています。
特に彼と彼以外の人を二分する表現に感じます。
ドラマの中でも問題や苦労を抱えどうしたらいいかと迷う生徒たちが不良となっていたり、これからに迷ってもわかってくれる人がおらずに気持ちと行動が反比例するような行動をする生徒が多くいましたね。
歌詞を考察!「何も言えなかった」
見つけたら 鏡のように 見つけてくれた事
触ったら 応えるように 触ってくれた事
自分が言ったことや自分の想いに対して最も近く理解してくれる人が現れたようです。
その後に
何も言えなかった 何を言えなかった
と歌詞が続きます。
上記の流れからこの嬉しさをどう言葉にしたらいいかわからず、何も言えなかったと解釈すると納得できます。
ドラマの中でいうと生徒たちのその良き理解者がまさしく、樋熊迎一です。
歌詞を考察!「もう傷まないけど 治らない傷」
曲がって落ちた紙飛行機 見つめ返せなかった まっすぐな瞳
曲がって落ちた紙飛行機は以前の彼の行動のことでしょう。
実は自分を理解しようと歩み寄ってくれていたのになかなか受け入れられず、向き合うことが出来なかったのだと思います。
1番の歌詞で自分がその人を自分の理解者だと認識する前の話ですね。
もう痛まないけど 治らない傷
以前の理解してくれようとしたその人への自分のした行動が悔やまれるのだとここでは言っています。
ドラマの中では不良生徒たちを樋熊が更生させていきました。
当初の彼らの樋熊に対する態度と更生後の態度がまるで違いますが、きっと歌詞のように不良少年たちも樋熊に対して同じように思っていたのでしょう。
歌詞を考察!「君と僕だけの 世界になったよ」
ここで冒頭の歌詞がくりかえされます
あの日の些細なため息は ざわめきに飲まれ 迷子になったよ
しかし、この後が大きく変わります。
名前を呼んでくれただけで 君と僕だけの 世界になったよ
以前は辛いことや困ったことがあっても他人には理解してもらえないから自分の殻の中でどうにかしなければかったけど、もうその人がいるから救われた、この人がいてくれれば何も怖くないと言った嬉しさをここで表現しています。
歌詞を考察!「僕らの間にはさよならが 出会った時から育っていた」
彼にとってとても悲しい出来事です。
僕らの間にはさよならが 出会った時から育っていた
育っていたというのは月日が経つにつれて別れが近づくことを意味してます。
人の人生の時間は有限であると理解したのでしょう。
それかその人は別れる時を決めていたんでしょう。
まさにドラマでもっとも悲劇な出来だった樋熊の癌は、生徒たちと出会ったころから進行しており、別れが近づいていたということですね。
歌詞を考察!「見つめ返せなかった 忘れたくなかった」
笑うから 鏡のように 涙がこぼれたよ
一度でも 心の奥が 繋がった気がしたよ
その人との別れを理解し、その人に別れる悲しさと、理解をしてくれた嬉しさを伝えているように感じる歌詞です。
見つめ返せなかった 忘れたくなかった
先程の歌詞とは裏腹に、その人は覚悟している別れる現実を彼はやはり理解は出来るが理解をしたくないといった心情でしょうか。
嬉しかったその人とのことが思い出となっていつか消えてしまうのが怖いのでしょう。
歌詞を考察!「冷えた手が 離れたあとも まだずっと熱い事」
先程のサビが繰り返されます
笑うから 鏡のように 涙がこぼれたよ
一度でも 心の奥が 繋がった気がしたよ
その後に、
冷えた手が 離れたあとも まだずっと熱い事
見つけたら 鏡のように 見つけてくれたこと
と続きます。
もうすでに別れてしまったのでしょう。
別れてしまったもういないその人に出会えた嬉しさと、その人が優しさや人と理解をしあえる素晴らしさを教えてくれたことに感謝を伝えているように感じます。
「まだずっと熱い」と言っているので前の殻にこもる自分には戻らないということを表現しているように感じます。
あの日 君がいた あの日 君といた
何も言えなかった 忘れたくなかった
確かにその時その人はいて、確かに彼はその人といたということに対して、言葉にはならないけれど忘れたくない思い出になったということでしょう。
ドラマの中でも最終回で樋熊が癌で亡くなってしまいますが、生徒たちは樋熊に出会えたことが
自分たちの高校生活や今後の人生にとってとても大切なことであったと感じています。
まとめ
この曲に込められた想いとは、ずばり人との出会いの尊さだと考えます。
自分以外の人の誰もを敵だと敬遠せずにいれば、必ず自分を受け入れてくれる人がいてその出会いはその人の人生を豊かにするはずです。
しかし、その人との同じ時間は永遠ではなく必ず別れがあるものです。その別れがただ悲しいものになるだけにならないように、その出会いが自分の人生の糧となるように同じ時間を大事に過ごすことが出来れば、自分の良いこれからにきっと繋がっていくと言いたいんではないでしょうか。
考察をしていけばいくほど、ドラマに沿った楽曲なんだと感じさせられます。
「アリア」というタイトルも、この歌詞にもBUMP OF CHICKENの沢山の想いが詰まった楽曲だと考察をしたことで改めて感じました。
生徒たちが樋熊と出会い、そして別れる物語のすべてがこの一曲に詰まっていますね。