ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を解説!
「音楽の父」とも呼ばれるベートーヴェン。
彼は多くの名曲を後世に遺しました。
交響曲「田園」は彼が書いた曲の交響曲の中でも人気の高いものです。
また、ベートーヴェンの交響曲の中では、数少ない表題のついた曲です。
この「田園」の魅力、構成について解説してゆきましょう。
ベートーヴェンの「田園」とはどのような曲?
クラシック音楽の歴史を語るうえでの重要人物の一人、ベートーヴェンは、生涯にて9つの交響曲を作曲しました。その中で「田園」は、六番目に作られた交響曲です。
交響曲にを標題を付けたことはほとんどないという彼ですが。この「田園」は、みずからが標題をつけた楽曲と言われています。
「田園」は1808年に完成されましたが、この時期のベートーヴェンは非常にアクティブに創作活動をしています。
交響曲第5番「運命」、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノ独奏曲「エリーゼのために」、ピアノソナタ26番「告別」などのクラシック史に残る名曲はこの頃に相次ぎ生まれているのです。
同時期に作られた「運命」など、シリアスな雰囲気を持ちますが。「田園」は牧歌的で明るい曲調をもち、「運命」とは対をなすものとして語られることも多いようです。
ベートーヴェンの「田園」を解説
この曲には楽章ごとに、写実的なサブタイトルがつけられています。これらは一見、情景を表すかに見えますが、実は背後にある感情の動きや情念の表現に重きを置いているという説もあるのも、興味深い事です。
また、楽章の切れ目は、一度音楽が終止するのが常ですが。この曲は、第三楽章以降はノンストップで続いてゆくのも、特筆すべき所です。
第一楽章「田舎に到着したときの晴れやかな気分」
アレグロ・マ・ノン・トロッポ Fdur 4分の2拍子 ソナタ形式
交響曲の第一楽章は、華やかで派手に始まることが多いのですが、この曲は例外で、穏やかに始まります。第一主題は、牧歌的なフレーズ、第2主題は、弦楽器から木管楽器群へバトンタッチされます。
同じモチーフが変化しながら幾多も現れてきます。展開部に於いても、第一主題のモティーフを使っています。
第二楽章「小川のほとりの情景」
アンダンテ・モルト・モッソ Bdur 8分の12拍子 ソナタ形式
穏やかで安らぎ感のある楽章です。この楽章の第一主題では、弦楽器群が小川の流れる様子を表しています。
また、後半部分では、フルートがナイチンゲールを、、オーボエがうずらを、クラリネットがカッコウの声色を模した、写実的な音型が出てきます。
第三楽章「農夫達の楽しい集い」
アレグロ Fdur 4分の3拍子 スケルツォ
この楽章からラストまではノンストップで進んでゆきます。この楽章の雰囲気は陽気でユーモラスなものです。
田舎の踊りといった風情ののどかな主題、その後のオーボエの旋律に、おかしななタイミングで入ってくるファゴットもユーモアたっぷりです。最初の主題がだんだんテンポアップし、次の楽章に向かっていきます。
第四楽章「雷雨、嵐」
アレグロ fmoll 4分の4拍子
楽しい第三楽章から一転し、激しい雨や雷の場面となります。まるで遠雷のような低弦パート、不気味な半音階の音型、雷のようなティンパニなどが写実的です。
激しい嵐の続いた後、次第に雷も遠ざかり、再び晴れ間が顔をのぞかせますが。其処で、オーボエ、フルートで次の楽章へつながるメロディが、穏やかに奏でられます
第五楽章「牧人の歌−嵐のあとの喜ばしい感謝に満ちた気分」
アレグレット Fdur 8分の6拍子
ロンドソナタ形式
激しい嵐も去り、再び穏やかな情景となります。雄大な自然への感謝をささげるメロディが、クラリネットやホルンで奏でられてゆきます。
そののち、このメロディを受けた、牧人のパッセージがヴァイオリンからヴィオラ、チェロ、ホルンに受け継がれ、喜びをうたいあげます。