ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を解説!
オーケストラやピアノ曲など多くの名曲を生み出すベートーヴェンの代表曲の一つともいえるおなじみの交響曲第5番。日本では「運命」と呼ばれていますね。悲壮感たっぷりの曲調とダイナミックな音のインパクトが魅力の一曲です。
今回はベートーヴェンの交響曲第5番についてまとめていきたいと思います!
ベートーヴェンの「運命」とはどのような曲?
ベートーヴェンの交響曲第5番は、「ジャジャジャジャーン」(または「ダダダダーン」)という、有名の中の有名ともいえるあのフレーズ。コマーシャルソングをはじめ、もはや効果音などとしても知られている曲です。
アニメで怒られる前であったり、惨事に見舞われる直前にこのフレーズがよく使われます。
交響曲のなかでも何番だったか分からなくなったり、曲名は知らなかったとしても、一度は耳にしたことがあるという方もたくさんいらっしゃるかと思います。
日本では「運命」という名前で呼ばれることも多くありますが、その名の通りめぐり来る運命を受け入れたかのようにセンセーショナルな曲。
ベートーヴェンの「運命」を解説
【ベートーヴェンの引越し】🏠
— 今川 裕美 (@piano_you_sumi) June 3, 2020
交響曲「運命」など有名曲を書いたベートーヴェン🧑💼
彼には生涯の間、なんと79回も引越しをしたという逸話が残っています。衝撃!笑
かなり気難しい人だったようなので、近隣住民とうまく行かなかったのでしょうか?
私の隣が彼でなくてよかったです。笑#音楽豆知識 pic.twitter.com/Y811eAgAXs
ベートーヴェンの「運命」についていくつか情報をご紹介していきます!
歴史
1807年から1808年の間に作られたと言う「運命」。基本的によく聴くフレーズは限られているかと思いますが、実際のフル尺演奏時間は35分をも超過する大作です。
日本では「運命」という名前で呼ばれることが多くありますが、「運命」という名称はベートーヴェンが名付けたものではないそう。
ベートーヴェンの弟子であるアントン・シンドラーが冒頭の4つの音が何を表しているのかベートーヴェンにたずねたところ、「このように運命は扉をたたく」と返答したことをきっかけに「運命」と呼ばれるようになったという節があります。
田園や他の曲との関係性
「田園」や「エリーゼのために」「ピアノソナタ」などベートーヴェンが生涯をかけて遺した名曲たちが「運命」と近い時期で生まれたと言われています。ベートーヴェンがたくさんの曲を生み出していた時期です。
特に交響曲第6番の「田園」に関しては「運命」の双子的な関係性にもあると言われています。
第1楽章
第1楽章は交響曲第5番「運命」の顔となる有名なフレーズがメインの楽章です。
痛烈な葛藤に苛まれる様、感情的で痛々しいほどの表現がみられます。
第2楽章
メディテーションな様を描く第2楽章。
切なくも感情が薄々と感じられるようなメロディラインで、1楽章とは打って変わって大人しい雰囲気です。
第3楽章
不穏な空気を感じさせ、心臓の鼓動を刻んだような描写が垣間みれる3楽章。
ところどころつぎの第4楽章に繋がる表現も見られ、バランスの良い感覚があります。
第4楽章
第4楽章はフィナーレにふさわしい歓喜の歌です。
先程の3楽章からは想像もできないほどきらびやかで華やかな印象ですね。
ファンファーレを吹き鳴らしたくなる、そんな明るさがあります。
交響曲第5番「運命」初演
初めてこのベートーヴェン交響曲第5番「運命」を披露することになった際、演奏会の会場に暖房がなく、演奏者は体力消耗に悩まされ客もあまりの寒さに襲われ結局コンサートは失敗に終わったというエピソードがありました。
交響曲第5番以外にもいくつか長い時間の曲が演奏プログラムに入っていたとの事ですが、初演にして失敗だったという記録は残念な感じもします。
なお、この時は交響曲第5番が「田園」、そして「運命」が交響曲第6番として演奏されました。
ベートーヴェンも気に入ったあのフレーズ
交響曲第5番といえば先程も触れた「ジャジャジャジャーン(ダダダダーン)」というフレーズ。
実はこのフレーズはベートーヴェンが作ってきた曲の中でこの交響曲第5番だけに使用されていたというわけではないそうで、気に入って書いたフレーズであるゆえに他の曲でも使用していたそう。
それでも交響曲第5番ではこの有名なフレーズを特に重視して作曲されていますから、交響曲第5番「運命」にベートーヴェン自信がどれほどの熱量を注いでいたかがくみとれますよね。
楽器編成
楽器編成はオーボエ、クラリネット、ファゴット他が2本ずつ、ホルンとトランペット他が2本ずつ、ティンパニー、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、そしてフルートが1本とのこと。
非常に少ない楽器編成で演奏するべく作曲されていることがわかりますね。
まとめ
今回は多数の有名曲を生み出してきたベートーヴェンの作曲のなかでも、とくにメジャーである交響曲第5番「運命」についてまとめていきました!
ベートーヴェン自身は運命と名付けていないのにそう呼ばれるようになったきっかけであったり、交響曲第5番の初演で起きたハプニングなど掘り起こしていくとたくさんのエピソードがありましたね。
とくに「ジャジャジャジャーン」というフレーズをベートーヴェン自身が気に入っていて、「運命」以外の曲にもこのフレーズを登場させていたということには驚きました。
「運命」を生み出した時期に作曲し、双子のように育てた「田園」もあわせて世界中の人々の心に強く刻み込んでいく曲となりました。
大半の方が有名なフレーズの部分以外の楽章は聴いたことがないのではと思いますので、ぜひこの機会にベートーヴェンの「運命」をフルで聞いていただければと思います。
楽章ごとに構成されたメッセージが浮いてきて面白いですよ。