ソナタ形式の意味とは?ソナタ形式について分かりやすく解説!

ピアノ曲でよく耳にするソナタ。ソナタの楽章の中ではソナタ形式という展開で作られている場合があります。今回はソナタ形式とはどのような作りなのかを分かりやすく解説します。ソナタ形式を理解して曲を聴いてみるとまた違った音楽のように聞こえるので、ぜひご覧ください。

記事の目次

  1. 1.ソナタ形式とは?
  2. 2.有名な曲からソナタ形式を学ぶ
  3. 3.その他ソナタ形式で有名な楽曲
  4. 4.まとめ

ソナタ形式とは?

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ベートーヴェンの「月光」やモーツァルトのピアノソナタなど、有名な音楽家のソナタは一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ソナタ形式というものはハイドンによって作られたと言われています。ベートーヴェンのソナタは後世にも伝えられ、ロマン派の作曲家によるソナタにもベートーヴェンの影響が残っています。

ソナタ形式は本当によく考えられている楽曲形式で、楽曲の展開が自然でもあり印象に残るような構成で作られています。

今回はそのソナタの構造となるソナタ形式について具体的な曲の例と共に解説していきたいと思います。

ソナタ形式の基本構造

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ソナタ形式というのは基本的に起承転結のストーリーのように成り立っています。

主題と言われるテーマを提示して、テーマが段々と展開していき、再度テーマを弾き終わりを迎えます。

この構造を言葉にすると

  • 提示部
  • 展開部
  • 再現部
となります。
ソナタ形式は主にこの3つの種類から成り立っていると覚えてみてください。

大きな規模のソナタ形式となると提示部や再現部の前後に序奏やcodaが付きます。

ソナタ形式の種類

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ソナタ形式の3つの種類について解説していきたいと思います。

①提示部

提示部は楽曲のテーマを表しています。この曲はこういう曲ですと初めに説明をするような感じですね。1番重要なメロディであると考えてください。

提示部の中も細分化されていて、第1主題と第2主題が存在しています。どちらもメインのテーマとなっていて、第2主題は第1主題の属調(その調と近い属性の調)に転調する場合が多いです。

②展開部

展開部は提示部で表したテーマを変化させていくという箇所です。ソナタは一曲通すと似たような雰囲気となりますが、展開部がある事で曲に工夫を加えるような感じですね。

展開部は主題と似たようなメロディで奏でられ、どんどん曲が盛り上がるように変化したり、インパクトがある印象を与える事が多いです。

そして再現部が更に良く聞こえるような効果も与えています。

③再現部

曲が展開をしていき、提示部で表されたテーマに戻っていきます。これを再現部と言います。再現部も第1主題、第2主題と弾いていき、最後にcodaとして曲が終わります。

再現部では提示部と似たテーマを弾きますが、提示部から転調されている場合が多いです。同じようなテーマで安心感を与えながらも、転調する事で曲に変化を加えています。

再現部にて曲の終盤を迎えるので、この一曲はどのように終わるのかという事も聞きどころですね。
美しい曲だった、エモーショナルでカッコいい曲だった、と色々な感想が生まれると思います。

有名な曲からソナタ形式を学ぶ

今回はベートーヴェンのピアノソナタ「月光」の第3楽章を例にソナタ形式を学んでいきましょう。

月光はメロディアスな第1楽章が有名ですが、この第3楽章もとても人気があり激しくもカッコいい曲です。現在ではCMでも使用されています。

第3楽章では物語性のあるソナタ形式となっていて、ご紹介した動画からどの部分が提示部や展開部なのかを解説していきます。

提示部 第1主題(0〜35秒)

第3楽章の初めから第1主題が提示されています。主題の前に序奏で曲を表すモチーフ(動機)を表す事もありますが、この曲では序奏はありません。

この曲で示されているテンポはPrest agitato。これはとても速く、そして感情を揺さぶるように激しくという意味を持っています。確かにこの曲は感情に訴えかけるような強い印象があるイメージですね。

第1主題では右手が16分音符の分散和音を奏でていて、どんどん階段を上っていくように音が上へ上がっていきます。そして1番高くなった音で両手でダ、ダ!と弾きます。
そして16分音符の細かい動きが続き、緊張感と激しさを感じられるテーマとなっています。

提示部 第2主題(36秒〜)

第2主題の始めは第1主題とは対照的なメロディの綺麗さを表しているテーマとなっています。緊張感から解かれ、歌のような美しいメロディです。ベートーヴェンらしい悲しげな旋律と、第1主題の激しさを受け継いだ疾走感のある伴奏が相まって、第3楽章の印象深さを表しています。

第2主題の途中(1分10秒〜)からは8分音符の連打となっていて、この箇所は気持ちが煽られて駆り立てられるような雰囲気ですね。

展開部(3分33秒〜4分20秒)

月光の第3楽章は短めの展開部となっています。展開部は提示部の第2主題と同じようなリズムで表され、左手がメロディとなったり8分音符の連打であったり、提示部第2主題からの影響や変化が感じられます。
展開部もテンポは変わらず、16分音符の連続した動きで、疾走感と緊張感を持ったものとなっています。

再現部〜coda(4分21秒〜終わりまで)

展開部から提示部で表した第1主題と第2主題が再現されています。再現部は動画で見ても分かる通り、提示部と全く同じというわけではないんです。少しアレンジを加え、音やリズム、装飾音なども違っています。
この部分は一度聞いたメロディをもう一度聞くという安心感や、この曲のテーマはこういうものだったと改めて分かるような説得力も感じられる所です。

coda(5分56秒〜)からは最後の締めの部分となります。このcodaは急な即興のようなメロディを奏でています。突拍子もない感じなのでびっくりするような作りですね。
この部分がある事でもっと緊張感がある印象を与えています。即興のような部分から聞き馴染みのある提示部第2主題と似たメロディとなり、3連符や6連符などが波のように上がり下がりで繰り返され、ドラマチックなcodaとなっています。

月光第3楽章は最後まで感情を揺さぶるようなかっこいい作りとなっているソナタ形式でした。

その他ソナタ形式で有名な楽曲

今回ご紹介した月光の第3楽章以外にも有名なソナタ形式のクラシック曲があります。

ベートーヴェン ピアノソナタ悲愴第1楽章

ベートーヴェンの悲愴第1楽章もソナタ形式で出来ています。悲愴第1楽章はソナタ形式の中でもとても壮大な作りとなっています。

長い序奏から提示部第1主題、第2主題、コデッタ(小さなコーダ)、展開部、再現部、コーダとなっています。
どの部分が提示部や展開部なのか見つけながら聞いてみてください。

モーツァルト ピアノソナタK545

こちらもピアノ曲で有名なモーツァルトのソナタK.545ハ長調です。このピアノソナタもソナタ形式で作られています。

K.545は小さなソナタ形式となっていて序奏が無く、提示部第1主題、第2主題、展開部、再現部から成り立っています。
 

まとめ

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ソナタ形式という楽曲形式は理解して聞いてみるととても分かりやすく曲の変化を表現しています。テーマが表され、展開して、また元のテーマを再現して終えるというのは頭にスッと入っていきやすいですね。

曲のテーマが分かり、次の場面にそのテーマがどのように展開していくかというのが面白さなのではと感じます。
自分好みの展開となる曲が見つかるとクラシックを聞くことがもっと楽しくなると思います。

ご紹介した曲の他にもソナタ形式の曲を見つけてみてください。

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