世界3大ピアノブランドの一つ、ベーゼンドルファーとは

世界三大ピアノブランドの一つ、ベーゼンドルファーのピアノをご存知でしょうか?一体どんな歴史があり、どんなアーティストに愛されたのか、ベーゼンドルファーの特徴をまとめています。
世界に5万台しかないと言われるベーゼンドルファーの魅力にあなたも触れてみませんか?

記事の目次

  1. 1.世界最古のピアノメーカー、ベーゼンドルファーとは
  2. 2.ベーゼンドルファーは2007年に日本のYAMAHAの傘下に
  3. 3.世界三大ピアノブランドの一つと言われる所以
  4. 4.ベーゼンドルファーのピアノの特徴
  5. 5.ベーゼンドルファーのピアノを聴いてみよう!
  6. 6.世界最古のピアノメーカー、ベーゼンドルファーのまとめ

世界最古のピアノメーカー、ベーゼンドルファーとは

ベーゼンドルファーは1828年に創業

みなさんは、ピアノのメーカーというとまずどのメーカーを思い浮かべますか?有名なところで、日本のYAMAHAやカワイなどがすぐに浮かぶでしょうか。ピアノを始めるのに最初に買ってもらったピアノがYAMAHAあるいはカワイだった、という方も多いでしょう。

しかし世界にはもっとすごいピアノメーカーがあります。そのうちの一つがベーゼンドルファーです。

ベーゼンドルファーはオーストリアにあるピアノメーカーで1828年、イグナーツ・ベーゼンドルファーによって創業を開始しました。世界で最も古いピアノメーカーとしても有名で各国の王室などの御用達として選ばれるピアノとして広く知られていくようになります。

あのリストの激しい演奏にも耐えた、ということで評判にもなり、数多くのピアニストを魅了してきたベーゼンドルファー。今回はその最古のピアノメーカーであるベーゼンドルファーのピアノの特徴や魅力についてご紹介していきます。

ベーゼンドルファーは世界に5万台しかない

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1828年に創業し、2020年現在でおよそ190年以上の歴史があるベーゼンドルファーですが、ピアノの生産の方はというと、全て手作業で、1台を1年以上かけて作られるピアノなため、この190年の間に作られたピアノはなんと、5万台しかないそうです。

なんとも希少なピアノですよね。YAMAHAのピアノの100分の1、と考えるとさらに、いかに少ないかが分かって頂けると思います。

ベーゼンドルファーは2007年に日本のYAMAHAの傘下に

ベーゼンドルファー
Photo byOpenClipart-Vectors

1828年に創業したベーゼンドルファーは、全て手作りによる丁寧なピアノ制作を行ってきましたが、創業を始めた頃はそれでもよかったのでしょうが、大量生産ができるメーカーが出来たことなどにより、当然といえば当然かもしれませんが経営は悪化していきます。

そこで動いたのがYAMAHAでした。そうなのです、世界三大ピアノブランドの一つ、ベーゼンドルファーは現在はYAMAHAの傘下にあるのです。

しかしYAMAHA側は自分たちの体制(大量生産など)を押し付けることはせず、あくまでベーゼンドルファーのやり方や伝統や技術に一切口出しをすることもなくベーゼンドルファーのピアノを「守る」ことに重きを置きました。

結果、ベーゼンドルファーは黒字に回復したそうです。

世界三大ピアノブランドの一つと言われる所以

世界三大ピアノブランドとは

ベーゼンドルファー
Photo by Yasuhiko Ito

「世界三大ピアノ」というくくりがあります。その三つのピアノメーカーとは、
スタインウェイ(アメリカ)、ベヒシュタイン(ドイツ)、そして今回ご紹介しているベーゼンドルファーです。

そこにヤマハやカワイは入ってきません。販売のシェア数からいけば、この2つが入ってもおかしくはないのですが、どうやら「世界三大ピアノ」はそういう基準では選ばれていないようです。

世界三大ピアノとは、あくまで、最高の素材や技術、そして伝統をもったピアノメーカー、そして世界中の芸術家たちに愛され、絶大な信頼を持たれているピアノメーカー、そういったことを総合して、選ばれているのです。

生産国も、アメリカ、ドイツ、そしてオーストリアと様々な国ですね。ちなみに、三大ピアノメーカーには入っていませんが最近注目のファツィオリピアノはイタリアを拠点としています。

ベーゼンドルファーが世界三大ピアノと呼ばれる理由

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それではベーゼンドルファーが世界三大ピアノブランドに堂々と名を連ねているその理由はなんでしょうか。

一つには、優れた技術者によって手作りで、時間をかけて丁寧に作られていくその過程。優れた技術者たちが誠意をもって向き合う、その姿勢でしょう。年間生産数は少ないですが、そこにこそ希少価値が生まれます。「ピアノのロールスロイス」と呼ばれているようですが、分かりますね。

そして、上記しましたが、世界中の芸術家たちに愛されるピアノであること、も「三大ピアノ」に選ばれる重要な要素です。ベーゼンドルファーはフランツ・リストも絶賛したピアノですが(彼の激しいピアノプレイにも耐えた)、そのほか、ドイツ出身の有名なピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウスが愛用していることでも有名です。

また、ジャズ界の巨匠、オスカー・ピーターソンもベーゼンドルファーを愛用しています。最近活躍するピアニストではアンドラーシュ・シフやパウル・バドゥラ=スコダ、イェルク・デームスなどがコンサートなどでベーゼンドルファーのピアノを弾いています。

キース・ジャレットの名盤、「ザ・ケルン・コンサート」にもこのベーゼンドルファーが使われています。

数々の芸術家、アーティストたちを魅了するベーゼンドルファーは、なるほど、世界三大ピアノとして選ばれるにふさわしいのですね。

では、次からは、ベーゼンドルファーのピアノの魅力、そして特徴についてまとめていきましょう。

ベーゼンドルファーのピアノの特徴

室内、少人数向けとして設定

ベーゼンドルファー
Photo byTama66

オーストリアはウィーンで設立されたベーゼンドルファーは時代も時代でしたし、室内用、そして少人数~中人数向けを想定した設計になっています。この時代の「室内」といえば、貴族や裕福層たちが集まる「サロン」を想像してみてください。せいぜい規模として多くて1000人くらいです。

つまり、1000人相手に綺麗な音を聞かせること、ということでそこまで大音量は必要ではなく、繊細な音作りにこだわりました。しかしその美しい響きには多くの芸術家たちが虜になったのです。

1939年にはオーストリア皇帝から「宮廷及び会議所ご用達のピアノ製造者」の称号を与えられるという大変名誉な出来事がありました。

その後時代の移り変わりとともに、エンターテイメントが盛んになりつつあったアメリカではスタインウェイが大型ホール向けのピアノの開発を行い始めました。当時はPAのような機器がありませんから、そういうものに頼らず、1万人の観衆に聴かせよう!という趣旨でピアノを開発したのです。

ベーゼンドルファーももちろんその波に乗るべく、大型会場向けにと開発は進めてきました。しかしながら、あくまで従来の「繊細な音」にはこだわり続けました。

「至福のピアニッシモ」とも言われるベーゼンドルファーの音の質は今も健在なのです。

ウィンナートーン

ベーゼンドルファー
Photo byPexels

ベーゼンドルファーのピアノの音色の特徴はしばし「ウィンナートーン」とも呼ばれます。これは「ウィーン風の音色」という意味で、まるでオーケストラを思わせるような、という意味で使われるようです。

ウィーンに集う芸術家たちの助言によって生まれたピアノですからそうなるのも分かる気がします。

どんな音かというと、スタインウェイを引き合いに出すと、スタインウェイはきらびやかな響きを持ち、パーカッションを思わせる音を持つのに対し、ベーゼンドルファーは鍵盤を弾いたあとの持続音が長く続き、柔らかく暖かい音がするのが特徴です。

クラシック演奏にはもちろんですが、ポップスやジャズにも合う音色です。ジャズプレイヤーが愛用するのも分かる気がしますよね。

ピアノ全体が共鳴する

ベーゼンドルファー
Photo byVladvictoria

ベーゼンドルファーで使われる木材の90%近くはスプルースです。さらに、海抜1000メートルの中央アルプスの、特定の地域で育ったスプルースのみを使用しています。これは楽器にはもっとも最適ともいわれ、しかし最長で6年間、天然乾燥をさせてから使用されます。

この時点ですでに驚くほど長い時間をかけて作られているのだ、ということがわかりますよね。

そしてこのスプルースを通してまるでピアノ全体が共鳴をしているかのような深みのある音が出るのです。この音色もベーゼンドルファーならではの特徴と言えます。

97鍵盤のモデルがある

ベーゼンドルファーの最大の特徴として、97鍵盤のモデルがある、ということが挙げられるでしょう。通常のピアノの鍵盤は88鍵です。しかしベーゼンドルファーには97鍵のものがあるのです。

それは、高い音の方ではなく、低音部の方、通常ではイ音までとなっていますが、ベーゼンドルファーには6度下のハ音まで作り、8オクターブのピアノがあります。これが「モデル290インペリアル」と呼ばれるもので、これに憧れるピアニストも数多くいます。

しかし、弦が増えたことにより、中低音の響きが豊かにはなったものの、高音とのバランスを考えて弾かなければならず、弾きこなすのには相当の鍛練が必要、とも言われています。

しかし97鍵、一体どんな音が出てどんな弾き心地なのか、憧れますよね。

ベーゼンドルファーのピアノを聴いてみよう!

まずこちらの動画を見てみてください。世界三大ピアノの弾き比べをしているものです。
動画には解説も表示されるので聞きながら分かりやすいと思います。

どうでしょう、ベーゼンドルファーのピアノの音の響き、きちんと文章でうまく伝えることは難しいのですが、あきらかに他の2台とは違う、というのは分かりますよね。

スタインウェイのピアノの音はさすが、ぱっと華やかで派手な印象があります。しかしベーゼンドルファーは落ち着いた深みのある美しい音がしますよね。

こちらは4名のピアニストによる連弾です。圧巻ですね!つい、4人でどう弾いているのだろうと見入ってしまうのですが、音色もすごいです。低音部の迫力はさすがですね。

 

世界最古のピアノメーカー、ベーゼンドルファーのまとめ

ベーゼンドルファー
Photo by PlatonM

こちらでは、世界三大ピアノブランドの一つ、ベーゼンドルファーのピアノについて、なぜ三大ピアノの一つなのかその所以、そしてベーゼンドルファーのピアノの特徴などを詳しくまとめてきました。

アップライトのピアノよりグランドピアノの方が音が良い、ことは漠然と分かっても、ピアノのメーカーによってここまで特徴が違う、ということまでは、なかなか分かるものではありません。

興味を持たれたら、是非とも、試弾だけでも、してみてはいかがでしょうか?極上の音色に触れてみてください。

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