リップノイズとは?ボーカリストは知っておくべきリップノイズと除去についてご紹介
ボーカリストならば「リップノイズ」とは何なのか、その原因と除去方法は最低限知っておきたいところですよね?一般的に知られている除去の仕方の他、意外な改善方法もありました。今回はボーカリストに知っておいてもらいたい「リップノイズ」の原因と除去について紹介します。
リップノイズとは
リップノイズとは上下の唇が開き、離れる時に生じる「プチッ」「パッ」という音や、唇を動かす時に生じる「ペチャペチャ」というような音を言います。
インターネット配信者がライブ配信をしている時や声優がキャラクターに声を当てる時もそうですが、主に歌手が歌をレコーディングする際には雑音として認識され、エンジニアやミックス師を悩ませてしまう音です。
リップノイズを発しているかどうかは本人が気づいていないことが多いのと、日常会話程度では気にならないのですが、マイクで声を拾うと強調されてしまいます。
エンジニア・ミックス師を悩ませるだけでなく、声を聞いている人を不快にさせてしまう原因にもなりかねません。
どのような人でも小さなリップノイズは発しており完全に防ぐことは不可能ですが、大音量で出てしまう人には必ず原因があり、対策方法もちゃんとあります。
リップノイズが起こる原因
それではまず、リップノイズが起こる原因から見ていきましょう。
マイクでダイレクトに自分の声を拾う前に、次の状態になっていないかチェックしてみてください。
リップノイズが起こる原因①:唇が乾燥している
唇が乾燥しているとリップノイズは起こりやすくなります。
乾燥している状態で口を閉じていると、上下の唇が密着している部分に湿り気が溜まって、離れた瞬間に「パッ」と鳴ってしまうからです。
唇の乾燥は紫外線の影響だけでなく内蔵の不調や更年期、女性の場合は生理前かどうかが主な理由として挙げられます。
ストレスが原因になることもあるそうです。
また唇を舐めて皮膚を濡らした状態を継続していたり、刺激物の飲食やアルコールの接種も、乾燥を招いてしまいます。
リップノイズが起こる原因②:口内が乾燥している
口の中が乾燥すると粘膜同士が付きやすくなってしまうため、離れにくくなり「ペチャペチャ」という音が出やすくなります。
喉が乾いているわけではないのに、口の中だけが乾燥している方も多いのではないでしょうか?
これは唾液の分泌機能が上手に働いていないことに原因があるようです。
この状態は「ドライマウス」と呼ばれ、病気・薬の副作用・加齢・ストレスが主に理由として挙げられます。
いわゆる精神的な部分が多く、クッキーや煎餅など水分の少ない食べ物が飲み込みづらいと感じた場合は要注意です。
リップノイズが起こる原因③:口内の唾液が多い
口の中の唾液が多いと、やはり「ペチャペチャ」という音が生じやすくなってしまいます。
唾液の量は年齢が若いほど多い傾向にあり、高齢になるに従って少なくなるようです。
ただし「オーラルフレイル」といって、高齢になるに従いねばねばした唾液が出やすくなることもあります。
他にも妊娠や、ストレスや糖尿病などの病気が理由として挙げられるそうです。
唾液の飲み込みは通常、生理現象と同じように自然とできるものですが、これが上手くいかなくなった場合は一度医師に相談する必要もあります。
リップノイズを除去する方法
リップノイズを除去するには、どうしたらよいのでしょうか?
具体的な改善や対策方法を紹介します。
気を付けていればすぐにできることばかりで、決して難しいことではありません。
いざマイクへ向かう前に、取り入れてみてください。
リップノイズの除去方法①:水分を摂る
喉を潤す際に、いつも何を飲んでいますか?
喉に良い飲み物として例に挙げられるものはさまざまありますが、最も適しているのはやはり水です。
リップノイズを改善するのにも、水を摂取するのが一番良いとされています。
時々お茶を飲んでいる方がいますが、お茶にはタンニンという成分が含まれているためリップノイズが出やすくなり、喉の乾燥を招く原因にもなってしまうのです。
ちなみにコーヒーやスポーツドリンクは、最もリップノイズを引き起こしやすい飲み物に含まれるので避けましょう。
リップノイズの除去方法②:リンゴジュースを飲む
リップノイズを改善するには水が最も効果的だとお話したばかりですが、声優業界ではリンゴジュースが最も良いとされているようです。
これはリンゴジュースに強い除菌・保湿効果があるからで、ねばねばした口内をサラサラにしてくれるだけでなく、程よい湿り気具合にしてくれます。
水でも効果が望めない方は1度試してみるとよいでしょう。
リップノイズの除去方法③:唇にリップクリームを塗る
唇の乾燥でリップノイズが起こりやすくなることはお話した通りで、リップクリームは歌手の必須アイテムのようです。
ただ商品によっては自分の皮膚に合わないものもあるため、レコーディングなどの際には普段使っているものを持参しましょう。
リップノイズの除去方法④:唇にオリーブオイルを塗る
基本的に油は乾燥を防ぐ効果があります。
喉にオリーブオイルや唐揚げが良いとされるのもそのためで、あくまで炎症や不調を治す効果はないということは踏まえておきましょう。
冬場や乾燥した部屋で声を発しなくてはいけない時に活躍してくれます。
食用のものならば唇が荒れる心配もないでしょう。
ちなみにごま油も乾燥を防ぐ効果がありますが、匂いがきついのであまりおすすめできないかもしれません。
リップノイズの除去方法⑤:ポップガードを使う
基本的なことですが、特にレコーディングの時にポップガードは必ず使ってください。
ポップガードとはボーカルがレコーディングする際に、マイクと口の間にセッティングするものです。
このポップガードがないとリップノイズをはじめ、声を発することで生じる雑音がダイレクトに拾われてしまいます。
安価なものもあるので、次の記事を参考に購入してみてください。
リップノイズの除去方法⑥:空腹は避ける
経験があるかもしれませんが、空腹時は口の中に唾液が多く分泌されやすくなります。
歌う前にゲップが出るのを避けるためだったり、声が良く出るようにするためだったり、ご飯を食べずにいるボーカリストも多いです。
ただ空腹も過ぎると、リップノイズが出やすくなってしまいます。
軽い食事を、目安としてだいたい1時間半~2時間前に摂っておけば、全ての問題が解決されるでしょう。
リップノイズの除去方法⑦:食に気を遣う
内蔵の不調が、唇が乾燥する原因になりリップノイズの原因になることは先ほどお話しました。
食生活が乱れていると内蔵の不調につながるため、リップノイズは出やすくなります。
ちなみに胃腸が悪くなっても口内が乾燥したり唾液が出やすくなったりするため食事というのは、声を使うことを生業にする人よって、リップノイズを防ぐためのかなり大事な仕事のひとつとも言えるでしょう。
あまり過敏になりすぎる必要はありませんが、できる限り偏食を避けるように心がけてください。
リップノイズの除去方法⑧:歯磨きする
口の中は密閉されやすく菌が繁殖しやすい空間でもあるため、どうしてもねばつきやすいです。
マイクを前に声を発することが多い人であるなら、歯磨きは習慣づけたほうがよいでしょう。
菌によって粘ついた口内が「クチャクチャ」と鳴ることの防止にもなりますし、マイクが口臭で臭くなることも少なくなります。
リップノイズの除去方法⑨:スタジオで録音する
経験を積んでいるボーカリストなら分かるかもしれませんが、まだ歌い手として歴が短い場合や自宅で自由に録音している人の場合、リップノイズは自分で気付き辛いものです。
一度ちゃんとしたレコーディングスタジオで、レコーディング関連の専門家に録音を願い出て、確認してみるとよいでしょう。
客観的に聞いてもらうことによって、どういった音の時にリップノイズが鳴りやすいかも明確になると思います。
リップノイズの除去方法⑩:いいマイクを使う
レコーディングの際にはライブハウスで手で持ちながら使ったり、カラオケで使ったりするダイナミックマイクではなく、よりクリアで繊細な音を拾ってくれる「コンデンサーマイク」を使うことが多いです。
ダイナミックマイクと比較すると、ものによってはかなり高額なものもありますが、あまり安価なコンデンサーマイクを使用するといろいろなノイズを拾ってしまいがちです。
マイクを変えたことによって、リップノイズが気にならなくなったというパターンもあります。
信頼できるコンデンサーマイクは次の記事で紹介されているので、参考に入手してみてください。
リップノイズの除去方法⑪:ボイトレに通う
リップノイズは間違った歌い方や、歌う時に使う筋肉の動きが正しく機能していない場合も生じてしまいます。
そのためボイトレ(ボイストレーニング)でレッスンを受けることにより、改善される場合もあるのです。
どうしてもリップノイズが防げない場合は、専門のボーカル講師にみてもらうとよいでしょう。
まとめ
声を発する時に生じる雑音である「リップノイズ」とは何なのか、その原因と除去方法を中心に紹介しました。
特にレコーディングやインターネット生配信などの活動をするボーカリストは、知っておくべき知識です。
この記事を、ボーカリストとしてレベルアップするための参考にしてみてくださいね。