【サカナクション】アネッサCMソングとしても人気な『多分、風。』について徹底考察!
『多分、風。』はサカナクションが2016年にリリースした曲です。アネッサのCMにも起用されており、耳にした人も多いでしょう。『多分、風。』は80年代の歌謡曲、テクノポップに影響を受けて作られました。今回はサカナクションの『多分、風。』を掘り下げていきます。
『多分、風。』から見るサカナクションの戦略性
サカナクションは1つ前のシングル『新宝島』で1つの完成形を作りだしました。
特徴的なイントロから始まり、キーボードの印象的なリフ、間奏のギターソロ等、耳に残るフレーズが随所に散りばめられています。
メロディはAメロ→サビというシンプルな構成と、サビのキャッチーさと高揚感。
全てを語らずにリスナーに委ねる歌詞の奥深さ。
次とその次と
その次と線を引き続けた
次の目的地を描くんだ
宝島
このまま君を連れて行くと
丁寧に描くと
揺れたり震えたりした線で
丁寧に描く
と決めていたよ
PVは『ドリフ大爆笑』のオープニングのパロディです。今は亡き志村けんさんも出演されています。
新宝島は『80年代の音楽』と『現在音楽』を融合させ、サカナクション独自のスタイルへと昇華させたものです。
結果的にこの曲はbillboard JAPAN HOT 100チャートで首位となり、サカナクションの新たな代表曲となりました。
このヒットから山口一郎はこの方向性で『多分、風』を制作する事を決意します。
そして、「新宝島」で手に入れられた、自分の中の新しい“テーブル”の上で、最初にローンチされた作品が、この曲だと感じています。
『多分、風。』の当初のタイトルは「渚のアップビート」であり、明確に80年代を狙ったものでした。
楽曲作りは難航し、イントロだけで10パターン、メロディも2種類候補があったとインタビューでも語られています。
僕らが感じている80年代の先進性や遊び心と、現代のフェス需要であったり、十代の若いリスナーが聴き慣れて、求めている感覚、それをどう取り混ぜて、バランスを取るのか。そこにすごく悩んで、それで予定より、お時間をいただくことになってしまいました。
単に80年代の音楽を取り入れる分には『オマージュ』という方法もありますが、それでは10代の若いリスナーはついてきません。
80年代特有のサウンドと、ファンが求めているサウンド。それらをうまく融合させたのが『多分、風。』なのです。
80年代はデジタル技術の発達により、鍵盤楽器が大きな進歩を遂げました。この頃は『鍵盤の音が出すぎてない?』と言う位に鍵盤楽器を前面に押し出した曲が多いです。例えば80年代に流行ったイギリスのニュー・オーダーというテクノバンド。
この頃はみんなのうたの楽曲にもテクノの要素が含まれています。代表的なのがコンピューターおばあちゃん。
明治生まれ(楽曲制作時期は1981年)にもかかわらず博識で英語も堪能なハイスペックおばあちゃん。何気に編集を坂本龍一が担当しているのが凄いです。
『多分、風。』の細かなアレンジを聴くと、この曲にも通じるものがあります。80年代の鍵盤音楽の雰囲気がかんじとれましたか