【サカナクション】世界的に評価の高い「ネイティブダンサー」PVに注目!歌詞についても独自で徹底解説!

日本の音楽シーンを牽引するサカナクション。2009年に発表されてネイティブダンサーは10年経った今でも名曲として人気があります。歌詞や背景を読み解くと、サカナクションの当時の心境が読み取れます。今回はサカナクションのネイティブダンサーの徹底考察を行います。

記事の目次

  1. 1.世界的に評価の高い邦楽ロックバンドサカナクション
  2. 2.ネイティブダンサーを制作した頃のサカナクション
  3. 3.中でも評価の高い「ネイティブダンサー」のPVとは?
  4. 4.サカナクションが「ネイティブダンサー」に込めた歌詞について徹底解説
  5. 5.サカナクションの『ネイティブダンサー』をremix したレイ・ハラカミ
  6. 6.サカナクションとくるりのコラボ‼︎『ネイティブダンサー』と『ばらの花』
  7. 7.まとめ

ネイティブダンサーのPVはシンプルな構成です。山口一郎の腰からのミドルショット、そして軽快にステップを刻む足だけのダンスが交互に映し出されます。他のメンバーは登場しません。

サビからはホログラムが随所に盛り込まれており、光と影の対比が素晴らしいですね。

オシャレでかっこいいスニーカーですが、こちらは『NikeAir Force 180 Clerks』と言い、限定500足しかありません。既に生産中止となっており、撮影から期間も経っており、手に入れるのは難しいでしょう。

背景には『冬の花』を思わせる雪がちらついているのですが、曲の最後には東京の夜景を思わせる景色が映し出されます。山口一郎はその都会の中を歩き、PVは終了します。

ネイティブダンサーは北海道と東京の景色を重ねている楽曲です。どこか切なげな山口一郎の顔が、当時の心境を思わせますね。

ちなみにこのステップですが、TECKTONIK、Cwalk等、多くの種類のダンスを取り入れています。ちなみにCwalkはこんなダンスです。とてもかっこいいですね。
 

とても軽快な音楽であると共に、皆楽しそうにダンスをしていますよね?

ところがネイティブダンサーは、ダンスとは裏腹に明るい楽曲や歌詞ではありませんし、山口一郎の顔も決して楽しそうではありません。



山口一郎は『NF』のインタビューで『本来混ざり合わないものを混ぜる事で新たな価値観が生まれる』と話していましたが、この楽曲もその一つだと(個人的には)思っています。


皆さんは『山口一郎ってこんなダンスも出来るんだ!』と思っているかもしれませんが、実はスニーカーの人物は山口一郎ではありません。

余談として伝えますと、ダンスの為に猛練習したらしいですが、本番直前に足を捻り、別の人物が担当しています。もし山口一郎が踊っていれば、PVの映し方も違っていたかもしれません。

PVを制作した児玉裕一とは?

サカナクションのPVは完成度が高く、どれも秀逸です。『ネイティブダンサー』を制作したのは、東京事変や椎名林檎のPVに関わった児玉裕一、振付師のユニットの振付稼業air:man、スタイリングの北澤”momo”寿志になります。

この製作陣は実績も高く、2008年にはユニクロの広告動画でカンヌ国際広告賞の大賞を受賞しています。大賞に選ばれるのは3つだけであり、狭き門です。

キレのあるダンスはネイティブダンサーにも通じるものがありますね。非常にオシャレな広告であり、ユニクロの売り上げにも貢献しました。

以前紹介したレキシの『きらきら武士』も彼が担当しています。

ちなみに児玉裕一は椎名林檎と事実婚関係になります。関連したPVを多く制作した経緯からでしょうか?

サカナクションが「ネイティブダンサー」に込めた歌詞について徹底解説

山口一郎は幼少期から文学を嗜んでいます。文学の種類で分けると、俳人の寺山修司や種田山頭火、小説家の安部公房や向田邦子等、詩人の石川啄木や宮沢賢治に影響を受けています。

そんな彼なので歌詞は非常に文学的です。ネイティブダンサーの歌詞を読み解いてみましょう。

いつかあの空が僕を忘れたとして
その時はどこかで 雪が降るのを待つさ

季節は僕らを追い越して行くけど
思い出は立ち止まったまま 冬の花のよう

『あの空』とはメンバーが住んでいた北海道の故郷の空の事でしょう。北海道から離れて住む事で、『あの空』は自分の事を忘れてしまうと山口一郎は思っているのです。


次の歌詞に出てくる『どこか』とは東京の事ですね。

仮に北海道の空が自分を忘れても、東京と言う新たな場所で、新しい冬を迎えたいと考えているのです。

『季節は僕らを追い越して行くけど』と言うフレーズは、冬が春に変わっても、自分の気持ちは時が止まったまま進んでいないと言う事でしょう。

冬の花とは、雪の結晶の事だと思われます。思い出を綺麗な冬の花と表現する事で、北海道への望郷の念を未だに抱いている事が分かります。

僕はいたって最後方 思い出したのは辛い事
心が何年も何年もかけて 染み付いた汚れ落ちてしまえ

この街のずっと最後方 思い出したのはあの事
言葉が何遍も何遍も 繰り返し回り始めた

先程サカナクションは2007年にデビューしたと書きましたが、その時点で山口一郎は27歳です。メジャーシーンで活動を始めるには遅咲きと言え、少なからずコンプレックスを抱いていた事が後にラジオで語られています。

その心情を表しているのが、『僕はいたって最後方』『心が何年も何年もかけて染み付いた汚れ』と言うフレーズでしょう。

その後の『この街のずっと最後方』とは自分達が上京してきた新参者と言う自虐的な意味合いだと思われます。

前述した通り、ネイティブダンサーは一人で多摩川で夜釣りをしている時の風景から生まれた曲です。山口一郎の脳内には『あの事』『あの言葉』が流れてくるのですが、それが何なのかは言及されていませが、明るい話ではないのは間違いありません。

 

淡い日に僕らは揺れた ただ揺れた
そういう気になって

思い出のように降り落ちた ただ降り落ちた
そう雪になって

淡い日に僕らは揺れた ただ揺れた
そういう気になって

思い出のように降り落ちた ただ降り落ちた
そう雪になって

サビはPVでも表現されているように、軽快なダンスチューンとなっていますが、歌詞からは前向きな言葉や心情は感じ取れません。

『そういう気になって』『そう雪になって』と掛け言葉となっていますが、意味合いは全く異なります。

歌詞の『淡い日』とは希望に満ちていた頃であり、『そういう気になって』とはレーベルに属して上京を打診された時のエピソードでしょうか?

舞い上がった気持ちと、思い出を振り返る気持ち、それらの感情が揺れ動く様を『ダンサー』と表現したのかもしれません。

いつかあの空が僕を忘れたとして
その時はどこかの 街で君を待つのさ

季節に僕らが 積み重ねてきたものは
思い出に立ち止まったまま 冬の花のよう

僕はいたって最後方 思い出したのは君の事
心が何年も何年もかけて 染み付いた汚れ落ちてしまえ

この街のずっと最後方 思い出したのはあの事
言葉が何遍も何遍も 繰り返し夜に流れた

ネイティブダンサーのサビは1題目も2題目も同じですが、AメロとBメロは内容が少し異なります。

2題目では『どこかの街で君を待つ』となっており、君の存在が言及されています。

山口一郎の歌詞には『君』と言う言葉が多用されていますが、特定の人物や音楽、自分自身等、意味合いは曲により異なります。この歌詞では、色々な意味がありそうです。

君を待つと言う事から、山口一郎は上京した人から、誰かを待つ人になりました。この歌詞からは北海道には帰れないと言う強い意志が感じられます。

ネイティブダンサーの歌詞は抽象的ですが、当時の山口一郎の心境が詳細に綴られていますね。

 

サカナクションの『ネイティブダンサー』をremix したレイ・ハラカミ

サカナクションが渾身の思いで制作した『シンシロ』はオリコン8位となりますが、元々のサカナクションとはテイストが異なる為、賛否の分かれる作品となりました。

しかしネイティブダンサー自体は発表当初から名曲も評され、ライブでも定番の1曲となりました。2010年にはスマッシュヒットとなる『アルクアラウンド』が発売しますが、B面にはエレクトロニックミュージシャンのレイ・ハラカミがネイティブダンサーをリミックスしています。

山口一郎はレコード店でアルバイトをしていた時、レイ・ハラカミの『lust』に収録されたowari no kisetsuを聴いて衝撃を受けました。いつかこの人にremixをして欲しいと言う願いが、彼の音楽へのモチベーションとなっていました。

レイ・ハラカミの楽曲を聴くと、サカナクションが大きく影響を受けた事が分かると思います。

レイ・ハラカミがremixした『ネイティブダンサー(rei harakami へっぽこre-arrange)』はサカナクションのB面集『懐かしい月は新しい月』に収録されています。より冬の花である雪を基調としたサウンドが特徴です。このアルバムには他にも多種多様な種類のアーティストによるremixも収録されています。

懐かしい月は新しい月 ~Coupling&Remix works~

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山口一郎は「目が明く藍色」という曲を制作。レイ・ハラカミにremixのオファーをしていましたが、スケジュールの兼ね合いで見送られています。

そして2011年7月、レイ・ハラカミは40歳の若さで脳出血で急死します。ネイティブダンサーは彼の遺作の1つとなりました。

山口一郎はその死を悲しみ、自身のブログでその思いを綴っています。

僕の中の音楽には沢山の音が鳴っていますが、
確実にレイハラカミさんの音が混ざっています。

と述べています。レイ・ハラカミの意思はサカナクションの楽曲の中で生き続けています。

サカナクションとくるりのコラボ‼︎『ネイティブダンサー』と『ばらの花』

ネイティブダンサーは今でもサカナクションの中でも評価の高い曲の1つです。2019年には相良鉄道が都心直通線の開通を記念して、ネイティブダンサーとくるりの『ばらの花』がマッシュアップされた楽曲が制作されました。ボーカルはFLOWER FLOWERのyuiが担当しており、かなり豪華なメンバーとなっています。

マッシュアップって何?

マッシュアップとは2つ以上の楽曲からボーカルトラック、伴奏を取り出して1つの楽曲にミックスする手法です。

こちらがくるりの『ばらの花』です。くるりは時期により曲の雰囲気が大きく異なっており、打ち込みの要素が多く含まれた楽曲になっています。

こちらが『ばらの花』と『ネイティブダンサー』をマッシュアップさせたものです。両方とも10年前の曲とは思えませんね。

楽曲の素晴らしさは当然の事、二階堂ふみと染谷将太の2人が大正から令和の時を超えて出会うストーリー自体も非常に完成度の高いものとなっています。
 

まとめ

今回はサカナクションの名曲ネイティブダンサーを紹介させていただきました。山口一郎の当時の心境を知る事で、曲の印象も変わるのではないでしょうか?

レイ・ハラカミやくるりとのマッシュアップ等、様々なアレンジを経て未だにネイティブダンサーは多くの人達の心を揺さぶっているのです。

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